研究課題/領域番号 |
23K20451
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補助金の研究課題番号 |
21H00512 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02030:英文学および英語圏文学関連
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研究機関 | 専修大学 |
研究代表者 |
成田 雅彦 専修大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (00245953)
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研究分担者 |
植月 恵一郎 日本大学, 芸術学部, 研究員 (10213373)
川津 雅江 名古屋経済大学, 法学部, 名誉教授 (30278387)
吉川 朗子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 教授 (60316031)
小口 一郎 常葉大学, 外国語学部, 教授 (70205368)
塩田 弘 広島修道大学, 人文学部, 教授 (80389387)
金津 和美 同志社大学, 文学部, 教授 (90367962)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2023年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 英米ロマン主義 / グリーンケア / 環太平洋エコロジー / 人新世 / 環境災害 / 環大西洋エコロジー / リジリエンス |
研究開始時の研究の概要 |
人文学、とりわけ文学は環境諸問題に対していかなる視座や解決を案出できるのか、という問題意識のもと、本研究では、環大西洋的に展開された英米ロマン主義時代の環境文学・思想の「語り」が、いかに生態系の破壊や気象変動に対する人新世的認識を予見しつつ、傷ついた生態系や心身を癒し再生する「グリーンケア」を構想していたか、そしてそれが現代文化・社会においていかなる意味を持ちうるかということを、個別テクストの具体的検証を通じて追究する。そのうえで、それらのテクストに刻まれた美学や倫理を、国家の枠組みを超えた環大西洋エコロジーの実践として読み直し、その今日的意義を再評価する。
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研究実績の概要 |
1. 今年度は、特に【サブテーマ 1】 環境災害とグリーンケアと【サブテーマ 2】 癒しの「語り」を重点的に行なった。人新世の時代の自然環境を問うことはこの研究の大きなテーマであるが、今年度は特に環境文学とケア、また、人間の関わっていく第二の自然の問題さらにはリジリエンスの概念からロマン派文学を検証するなどの研究が多かった。各メンバーは内外の学会、また研究会で講演や研究発表を行い、その他、学会誌、紀要、共著などで、研究成果の一部を公表した。 2. 公開研究会を2回行なった。2023年9月17日に神戸市外大で開催された第1回研究会(「自然環境と人間――新たな結び目を求めて」)では、金津が「「<景色>の環境詩学――キャスリーン・ジェイミーにおけるケアと視線」、成田が「パストラルと<黒い隣人>について――クレーヴクール『アメリカの農夫からの手紙』を読む」の発表を行うとともに、講師としてトランスアトランティックな海洋文学に精通する石倉和佳氏(兵庫県立大学教授)をお迎えし、講演「海とロマン派――ジョージ・バンクーバーをめぐる人々」をしていただいた。それぞれ活発な議論が行われた。2024年3月24日、サテライト・キャンパス広島で開催された第2回研究会(「エコロジーと人間の再考――第二の自然、ケア、リジリエンス」)では、小口が「コラートンにおける『第二の自然』――ワーズワスの環境実践」、伊藤が「ポーのゴシック・インセクト――“The Gold-Bug”とリジリエンスの展開」と題した発表を行い、そのあとで、ケア文学の研究で広く活躍されている小川公代氏(上智大学教授)を講師にお迎えした講演「エコロジーと魔女文学――ケアの視点から考える」 を拝聴し、活発な議論が展開された。両研究会とも対面とオンラインのハイブリッドで行い、いずれの研究会も多数の参加者があった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は、コロナ終息を受けて海外との行き来はだいぶ楽になったが、ウクライナの戦争や世界的なインフレの影響を受けて航空運賃や滞在費が高騰し、当初計画したようには海外出張ができなかった。ほとんどの科研メンバーは英米での資料収集や対面での学会参加が十分に行えなかったと言ってよい。ただ、2023年度に行われた2回の研究会は、ここ数年でははじめて2回とも科研メンバーが対面で集結することができ、やっと詳細な研究情報の交換や知見の共有ができるようにはなった。また、メンバー各自は徐々に本科研の研究目的にそった研究成果を出しつつある。しかし、上に述べた国際情勢を受けて、研究の進展にも多大な影響を受けたことは否めない。以上の理由で、現在までの進捗状況はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
これで4年間の科研研究期間のうち3年が終わったことになる。次年度は最終年度に当たるので、この研究の総括として報告書を作成し、自然と人間の再生、グリーンケアや癒しに関してとりわけロマン派文学が何を行えるかを明確に提示できるよう努力する。メンバー各自がこれまでコロナ禍後の国際状況の変化のため遅延していた研究の推進速度を早めながら、最終年度に一つの大きな成果のまとめができるように真摯にそれぞれの研究に取り組む。また、過去3年と同様、次年度も2回の公開研究会を開催して、科研内部の研究を深めるとともに、外の研究者や一般の方々への研究成果の公開を行って少しでも自分たちの研究が世に資するものになることを目指す。
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