研究課題/領域番号 |
23K20457
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補助金の研究課題番号 |
21H00519 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02050:文学一般関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
今橋 映子 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20250996)
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研究分担者 |
波潟 剛 九州大学, 比較社会文化研究院, 教授 (10432882)
佐々木 悠介 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (20750730)
井上 健 日本大学, 国際関係学部, 研究員 (30121867)
佐藤 光 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80296011)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | 比較文学 / 比較文化 / 比較芸術 / 文学理論 / 翻訳論 / 比較思想 / 理論ハンドブック / シラバス調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、従来欧米主導で行われてきた「比較文学」や「比較研究」理論の再構築を行い、「日本発の比較文学理論」を初めて提示し、 それを一般読書界にも還元する試みを行うことである。近代化の諸問題、文化の翻訳や重訳、比較詩学、東アジア比較文学、異文化理解の倫理 なども含め、独自の知見を集大成することが可能となろう。初学者でも十分に読める理論的ハンドブックの公刊、ウェブ上でも情報発信する予定である。
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研究実績の概要 |
2022年度も、5名のメンバーおよび3名の研究協力者によって、順調に研究を推進することができた。1)比較文学比較文化理論を再構築し、ハンドブックとして刊行する計画は順調に推移し、全項目の確定、および数十名の執筆者への個別の依頼を終えた。 2)理論構築のためには、比較理論を大学や大学院などの教育現場でいかに捉えられているのかを知る必要がある。研究協力者2名の加勢も得て、①全国大学、大学院の比較文学/比較芸術・比較文化・比較思想科目のシラバスについて悉皆調査を行い、一括してデータ化することでその傾向を明らかにした。 3)上記の2)と同様もう一つの社会調査として、全国大学、大学院で比較関連教育を担当する教員134名にグーグルフォーム形式の調査を実施し、有効な回答を得た。それを分析する中から、比較関連教育の現状、課題、成果などが具体的に浮かび上がった。上記の二つの社会調査の結果を2022年8月までに集約分析し、9月に東京大学ヒューマニティーズセンターのセミナーで共同発表を行った。なお同時に、ヒューマニティーズセンターの助成金によって韓国・釜山大学韓程善准教授による韓国での比較関連教育のシラバス調査と対比する共同研究も実施した。 4)本課題研究はハンドブックと共に、完全書誌のHP上での公開も目指している。2021年度から始まった書誌作業は、研究協力者1名の協力も得て順調に推移し、旧データ(2006年公開の旧書誌)を全て改めてデータ化し、不備を訂正する作業を終えた。今後は新たなデータを追加し、書誌を再構築する作業に入る準備を完了できた。 5)ハンドブックや書誌の完成のためには、数十名におよぶ執筆者の原稿の質が重要となる。そのために、作業途中でお互いの議論を深める機会が必要と考え、Work in Progressの開催をすべく、準備を始めた(2023年4月29日開催決定)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
コロナ禍にも拘わらず、メンバーの研究推進力が衰えず、数十名の執筆者の内諾が問題無く得られたことが大きいだけでなく、様々な議論がオンライン主体でも進んだ点が大きい。また、二つの社会調査の結果分析を基にして、東京大学ヒューマニティーズセンターでオープンセミナー(今橋映子・井上健・西田桐子・町田樹・韓程善「人文研究と教育の環境を科学する──「比較文学比較文化」の現場から」)を実施し、170名近い聴衆を得た上に、活発な意見や積極的な反応を多く得た。その模様は、https://hmc.u-tokyo.ac.jp/ja/open-seminar/2022/81-exploring-humanities/に記録されている。このセミナーを通じて比較理論を社会学的に調査する意義が認められ、同センターからセミナーの記録を全て収めたブックレットが刊行される予定になっている(2023年5月刊行予定)。こうした全ての作業を効率的に行うことが出来たのは、分担者全員の研究推進の力はもちろんのこと、今年度も若い専門研究者の協力が得られたことも大きい。研究協力者は以下の通り: 西田桐子(和光大学専任講師)=シラバス網羅的収集調査 町田樹(國學院大學助教)=比較文学比較文化教育に関する社会学的調査 松枝佳奈(九州大学専任講師)=書誌情報の再構築 韓程善(釜山大学准教授)=韓国における比較文学比較文化教育調査
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今後の研究の推進方策 |
1)2023年度はハンドブックに収める数十名の執筆者の原稿を締切り、編集に入る。その準備にもなる執筆者のみによる討論会(Work in Progress 2023)を4月29日にオンラインで実施する。世界各国からも参加予定である。 2)2023年8月末で原稿を締切り、編集に入る。完全原稿を2024年1月に出版社に入稿予定であり、2024年秋に出版予定である。 3)2022年度に実施した、日韓両国における比較関連授業のシラバス調査、および担当教員への社会調査の結果を中間的にまとめ、2023年5月にブックレットとして刊行する。その後さらに精緻に分析した最終報告書を2024年度にHP上で公開すべく研究を進める。 4)上記3)に基づいた共同発表を、日本比較文学会全国大会ワークショップで行う(採択済み)。 5)ハンドブックの補完にもなる完全書誌(HP上で公開)の完成を目指して作業を続ける。旧書誌に大幅な追加改訂を加え、専門家も利用できる質をめざす。(近年安定して増えている)東アジアからの留学生にも対応し、さらに書誌研究を強化するために研究協力者を依頼する(李範根氏=学習院女子大学他非常勤講師)。
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