研究課題/領域番号 |
23K20462
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補助金の研究課題番号 |
21H00526 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02060:言語学関連
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
井上 優 日本大学, 文理学部, 教授 (30213177)
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研究分担者 |
野田 尚史 日本大学, 文理学部, 教授 (20144545)
原 真由子 大阪大学, 大学院人文学研究科(外国学専攻、日本学専攻), 教授 (20389563)
中西 久実子 京都外国語大学, 外国語学部, 教授 (30296769)
桐生 和幸 美作大学, 生活科学部, 教授 (30310824)
大澤 舞 獨協大学, 外国語学部, 准教授 (70610830)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 主題 / 焦点 / 多言語対照 / 日本語教育 / 外国語教育 |
研究開始時の研究の概要 |
「主題」(その文で何について述べるか)と「焦点」(その文で何を新情報として述べるか)は、文や談話の情報構造に関わる基本概念であるが、主題・焦点を表す言語的手段、および主題・焦点を表す表現の文法的・意味的性質は言語によって異なる。本研究では、各言語の主題・焦点の性質を体系的に把握できる共通の記述の枠組みを構築して、主題・焦点に関する日本語と世界の諸言語の多言語対照研究をおこなう。また、多言語対照で得られた知見をふまえて、日本語学習者に対する日本語の主題・焦点の教授法、日本語母語話者に対する外国語の主題・焦点の教授法について検討する。
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研究実績の概要 |
本研究の2つの軸である「①主題・焦点に関する多言語対照研究」と「②主題・焦点の教育に関する研究」について、次のことをおこなった。 【①主題・焦点に関する多言語対照研究】 研究協力者(茂木俊伸、中川奈津子、金善美、江畑冬生、高橋清子、岸本秀樹、筒井友弥、デロワ中村弥生、米田信子)をまじえた研究会(オンライン6回、対面1回)を開催し、日本語を軸とする「主題・焦点の多言語対照」の枠組みについて検討した。また、その枠組みに基づいて、日本語、琉球語、韓国語、中国語、サハ語(トルコ語から変更)、タイ語、インドネシア語、ネワール語、シンハラ語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、マテンゴ語の主題・焦点について検討し、相互に関連性を有する形で各言語の主題・焦点について記述する基盤を形成した。 【②主題・焦点の教育に関する研究】 分担者の中西久美子は、複文を含む長い文章で学習者が複文の主節や従属節で「は・が」をどのように使用しているかの実態調査(筆記テスト、インタビューテスト、フォローアップインタビュー)を実施した。その結果、誤用の現れ方が学習者の母語や従属節の種類によって異なること、主題の過度の省略や対比主題の「は」の不使用などの傾向が見られることが明らかになった。また、分担者の野田尚史は、中国語や韓国語、ベトナム語を母語とする日本語学習者に日本語の談話音声を聞いてもらい、理解したことやわからないことを自分の母語で話してもらう調査をおこなった。その結果、特に中国語やベトナム語を母語とする学習者は、「~は」と「~が」がそれぞれどこまで係っていくかを適切に判断できないことが多いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「①主題・焦点に関する多言語対照研究」については、日本語を軸とする「主題・焦点の多言語対照」のための枠組みがすでに完成しており、それに基づく日本語、琉球語、韓国語、中国語、サハ語(トルコ語から変更)、タイ語、インドネシア語、ネワール語、シンハラ語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、マテンゴ語の主題・焦点に関する検討も、論文集としてまとめることができる段階に入っている。一部の言語については草稿も作成されている。共通の枠組みに基づいて各言語の主題・焦点について分析することにより、各言語の主題・焦点の研究に新たな進展がもたらされるとともに、従来言語ごとになされてきた主題・焦点の研究の間の相互の関連性が明らかになりつつある。 「②主題・焦点の教育に関する研究」についても、従来あまりおこなわれてこなかった実態調査を実施することにより、日本語教育における主題・焦点の扱い方について検討する基礎となるデータや知見が着実に蓄積されてきている。
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今後の研究の推進方策 |
「①主題・焦点に関する多言語対照研究」については、日本語を軸とする「主題・焦点の多言語対照」のための枠組みに基づく日本語、琉球語、韓国語、中国語、サハ語(トルコ語から変更)、タイ語、インドネシア語、ネワール語、シンハラ語、英語、ドイツ語、フランス語、スペイン語、マテンゴ語の主題・焦点に関する検討が進み、論文集としてまとめることができる段階に入っているので、学会の口頭発表・ワークショップなどでの発表を通じて論文集の内容をよりよいものにすることに重点を移していく。 「②主題・焦点の教育に関する研究」についても、主題・焦点の表現に関する学習者の実態調査を継続するとともに、日本語教育における主題・焦点の扱い方に関する考察に研究の軸足を移していく。
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