研究課題/領域番号 |
23K20468
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補助金の研究課題番号 |
21H00533 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02080:英語学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00329054)
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研究分担者 |
Detey Sylvain 早稲田大学, 国際学術院, 教授 (00548927)
PAREZRAMON RUBEN 早稲田大学, 国際学術院, 講師(任期付) (40976015)
矢澤 翔 筑波大学, 人文社会系, 助教 (50844023)
生駒 美喜 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (90350404)
天野 成昭 愛知淑徳大学, 人間情報学部, 教授 (90396119)
小西 隆之 早稲田大学, グローバルエデュケーションセンター, 講師(任期付) (90780982)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 英語の多様性 / アジア英語 / アフリカ英語 / 第二言語方言習得 / 多様な英語の音声理解 / 音声習得 / 第二言語音声習得 / 多様な英語 / 第二言語音声理解 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、アジア・アフリカなどの新興英語圏の英語の特性を調査し、日本語母語話者が新興英語圏の英語をどの程度理解できるかを検証するものである。その上で、音声学、言語習得の面から、①なぜ第二言語では学習したモデルの発音から逸脱した方言への対応が困難か、②第一言語から第二言語への音声理解へのストラテジーを考察し、③第二言語音声習得が方言習得とどうかかわるのかを検証し、方言音声を含む第二言語音声理解のメカニズムを包括的に研究するものである。
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研究実績の概要 |
2023年度は日本語の分節音と韻律の特性、日本語訛の英語の分節音と韻律の特性、また日本語母語話者の英語上級者が英語のモデルアクセントとして一番精通しているアメリカ英語の分節音と韻律の特性について、音響解析を行った。合わせて、知覚実験に使うアジアとアフリカ英語の音声録音を行った。 アジア英語はインド英語(第一言語ヒンディー語)、シンガポール英語(第一言語北京語)バングラディシュ英語(第一言語ベンガル語)と、香港英語(第一言語、広東語・北京語)の話者を対象に英語音声録音を行った。アフリカ英語はナイジェリア英語話者(第一言語イボ語)一名の音声録音を行った。その他、第二言語としての英語のサンプルを増やすため、比較的訛の強いドイツ語母語話者の英語の録音も行った。様々な発話の種類の発話を録音することで、それぞれの英語の特徴が生じやすい音声環境を作る目的で、英語録音は無意味の英語フレーズ80例、文献調査からアジア・アフリカ英語の特徴が現れれやすいと考えられる音声を含む単語のうち、比較的頻度の高い初級の英単語160語、その他、英語版「北風と太陽」のテキスト、趣味についての自由会話の四つのタスクの録音をした。 条件に見合う話者があまり集まらなかったバングラデシュ英語、インド英語、シンガポール英語話者は、第一言語の訛がそれほど強くなく、以下に述べるように典型的な現地の英語の発音特性とは異なる英語であったが、その中でも多少現地の英語の特性が垣間見られた。ナイジェリア英語話者は、典型的なイボ語の訛のある英語発話の録音ができた。香港英語話者は個人差はかなりあるものの、典型的な香港英語の特徴を含む発話の録音ができた。 これらの音声特性が生じている単語の発話を元に、知覚実験用の刺激音を作成し、2024年度に知覚実験を行う計画となっている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ禍の影響が長く続いたために、1年目と2年目にアジアとアフリカ英語の母語話者で、知覚実験に見合う発音や声質の話者を見つけることがとても難しく、音声録音が可能となった現在でも、理想的なアジア・アフリカ英語の典型的な発音を持つ話者を見つけることが難しい状態が続いている。理由の一つとして、話者を研究協力者やその勤務先などの大学や研究所を通じて紹介してもらったためか、教育程度が高く、子供の時からインターナショナルスクールなどで教育を受けてきたり、アメリカやオーストラリア、イギリスなどで学位や研究の仕事を長くしてきた人が集まる結果となり、各話者の出身地の一般的な英語の発音とはかけ離れた英語を話す話者が多かった。ナイジェリア人の話者は、理想的な現地の英語の発音であり、人数が多かった香港の話者の約半数からは、香港英語の特徴がよく表れた音声の録音ができたので、これらの英語の刺激音の作成は可能であると思うが、インドやバングラデシュ、シンガポールの英語は、2024年度に追加で録音をする予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は、これまで収集したアジア英語とアフリカの英語の音声と、先に収集したアメリカ英語の音声に加え、新たにインドまたはインド亜大陸を中心とする南アジア、シンガポールと、アフリカ英語話者の英語音声を録音する予定である。 これらの音声を基に刺激音を作成し、分かりやすさ(comprehensibility)、明瞭度(intelligibility)、外国語訛度(foreign accentedness)、母語話者度(nativelikeness)についての知覚実験を行う予定である。被験者としては、一般的な英語レベルの大学生と、英語力の高い学生及び英語を専門とする被験者を対象とした実験を行う計画を立てているが、アメリカ英語の音声刺激音とアジア・アフリカ英語の音声に対する反応の違いが出ることが予測される。 文節音の分かりやすさ、明瞭度、外国語訛度や母語話者度の評価に加え、アジア・アフリカ英語に対する一般的な印象についても調査する。その際には、英語が流暢でありながら母語訛を持つ、他の言語を母語とする英語学習者の音声を比較対象として加える。既に録音してあるドイツ語訛の英語に加え、他の言語を母語とする話者の英語発話も収集し、様々な英語に対する日本語話者の印象や反応を調査する。合わせて、英語母語話者を対象とした実験も行いたい。 これらの実験を通して、文脈の推測がない環境で、どのような文節音の調音の変化が、英語理解度に影響を与えるのかを検証し、英語母語話者の反応及び評価と比較し、訛への対応が第一言語と第二言語でどのように異なるのか精査する。そのうえで、第二言語の訛への対応にこたえるための音声教育について考えたい。
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