研究課題/領域番号 |
23K20476
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補助金の研究課題番号 |
21H00541 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分02100:外国語教育関連
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
白畑 知彦 静岡大学, 教育学部, 名誉教授 (50206299)
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研究分担者 |
中川 右也 三重大学, 教育学部, 准教授 (10551161)
箱崎 雄子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (50351490)
横田 秀樹 静岡文化芸術大学, 文化政策学部, 教授 (50440590)
大瀧 綾乃 静岡大学, 教育学部, 講師 (60840676)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,510千円 (直接経費: 12,700千円、間接経費: 3,810千円)
2024年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
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キーワード | 第二言語習得 / 明示的指導 / 形態統語の習得 / 音声の習得 / 誤り訂正 / 明示的文法指導 / 修正フィードバック / 英語教育 / 英語教育学 / 明示的指導とその効果 / 文法指導 / 音声指導 / 文法形態素 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の主旨は、以下のとおりである。すなわち、英語が日常的に話されていない日本という学習環境で英語を学習する場合には、受けるインプット量や産出するアウトプットの活動がどうしても制限されがちである。そのような英語活動時間の不足を補うには、明示的に「理屈を教える」ことが有効な手段になって来るのではないかとう仮説を我々は立てている。この仮説に基づいて、日本語母語話者を対象に、彼らの音声習得から統語の習得までメンバーで分担して調査をしている。
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研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本語を母語とする英語学習者 (JLEs) の大学1年生に対して行った「条件」を表す接続詞ifと、「時」を表す接続詞whenの意味上の相違に関する明示的指導の効果を実証的に検証することである。大学生JLEsに接続詞ifとwhenの意味的相違に関する指導をおこない、意味の理解がどの程度向上するか調査した。本研究の仮説は次の2点である。(1)「条件」を表す接続詞ifと「時」を表す接続詞whenの意味上の相違に関する明示的文法指導は大学生JLEsに対して有効である。(2) その指導効果は、指導直後のみならず長期間持続する。 実験参加者は、日本で英語教育を受けて来た大学1年生102名のJLEsであり、明示的文法指導を受ける実験群58名と、明示的文法指導を受けない統制群44名に分けた。実験群のTOEFL (ITP) の平均得点は423点であり、統制群は449点であった。接続詞ifとwhenの意味用法に対する理解を調べるために、訂正を含む文法性判断テストを事前テスト、直後テスト、遅延テストとして3回実施した。第1週目に事前テストを実施した。実験群には、第2週目に指導1回目を、第3週目に指導2回目を、第4週目に指導3回目をおこなった。各指導は説明とペアワークを含め約45分であった。 指導効果を調べるため、第5週目に直後テストを実施した。3回目の指導以降は当該項目に関する指導やフィードバックは行わず、11週間後の第15週目に遅延テストを実施した。その結果、当該項目の意味相違に焦点を当てた本明示的文法指導によって、指導直後にifとwhenの区別に対する理解が増しただけでなく、その効果は指導11週間後でも維持していたことが判明した。したがって、本研究で採用した明示的文法指導は、意味を混同しやすい接続詞の理解について有効な指導法であることが実証的に支持できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度同様に、2023年度も研究発表と研究論文の出版が当初予定していた通りにできたからです。さらに、研究分担者、研究協力者との間の連携も想定通りに上手く行っているからです。
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今後の研究の推進方策 |
接続詞への明示的指導に関しては、今後の主な課題として次の2点を挙げる。1つ目は、実験文のデザインである。本実験で実施した文法性判断テストでは日本語文が与えられていたため、実験参加者がifとwhenの意味を考える際に日本語の表現形式からの影響があったことである。英文のみを与えた場合、どのようにJLEsが文脈を判断し、ifとwhenを使い分けるかを調査することが必要である。2つ目は、ifとwhenの習得困難度の差を考察することである。本実験において、事前テストから直後テストまで一貫して、【when → if】よりも【if → when】の正答率が低くなっていたが、なぜwhenよりもifを訂正する方が難しいのか、すなわち、どうしてJLEsはifを正しいと容認する傾向があるのかを今後さらに考察していく必要がある。学習上の難しさが解明できれば、より効果的な明示的指導案を確立し提案できる。
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