研究課題/領域番号 |
23K20486
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補助金の研究課題番号 |
21H00556 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
石川 博樹 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 准教授 (40552378)
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研究分担者 |
新谷 崇 茨城大学, 教育学部, 助教 (30755517)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,580千円 (直接経費: 6,600千円、間接経費: 1,980千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2022年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 人種 / 植民地 / イタリア / エチオピア / アフリカ / ファシズム |
研究開始時の研究の概要 |
1930年代半ばにファシスト政権下でイタリアは第2次イタリア・エチオピア戦争を起こし、エチオピアを植民地とした。本研究では、19世紀以降ヨーロッパで進められたエチオピアの人種・民族に関する研究がイタリアでいかなる展開を見せ、さらにファシスト・軍部・カトリック教会という3つの集団がいかなるエチオピア人種・民族観を構築していたのかを解明したうえで、イタリアのエチオピア支配において実施された民族集団分布に基づく行政区分の導入と人種隔離的人種政策がいかに立案されたのかについて研究を行い、アフリカにおける植民地支配の比較研究やエチオピアにおける民族間関係史研究への寄与を目指す。
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研究実績の概要 |
第2次イタリア・エチオピア戦争によって成立した「イタリア領東アフリカ」におけるイタリアの人種・民族集団政策に関する未解明問題の検討を行う本研究課題の2023年度の研究実績は以下のとおりである。 研究代表者の石川博樹は、19世紀後半からイタリアによるエチオピア占領期までの期間におけるイタリアのエチオピア人種・民族論に関する研究の一環として、「エチオピア人の人類学的位置(La posizione antropologica degli Etiopici)」をはじめとする論考を発表しているイタリア人人類学者ビアスッティ(R. Biasutti)のエチオピア人種・民族論に関わる研究を行った。またエチオピア帝国内で最も多くの人口を擁しながら、皇帝の出身民族集団であるアムハラの支配に甘んじることを余儀なくされた民族集団オロモに関するイタリアの認識に関する研究を進めた。そして本研究課題で得られた知見を活かし、ネマータ・ブライデン著『黒人の歴史(原題:Black History)』(河出書房新社、2023年7月)のアフリカ史関連項目の監訳を行った。 研究分担者の新谷崇はイタリア領東アフリカにおける人種階層の構造を解明することを目的として、ファシズム体制側にくわえ現地の宣教に携わっていたカトリック教会側の動向に着目して研究を進めた。イタリア国立中央文書館およびピサ高等師範学校(イタリア)、ローマ教皇文書館(ヴァティカン市国)で史料調査を実施し、エチオピアを巡るファシズム体制とカトリック教会の利害を分析するとともに、両者の人種観の把握作業を始めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究代表者の石川はイタリアにおけるエチオピア人種・民族論に関する研究成果を学術雑誌に投稿する作業を進めていたが、イタリア人人類学者ビアスッティに関する研究を加味する必要があったことから遅れている。また研究分担者の新谷は、前年度に生じた史料調査への遅れが影響し、主に成果の取りまとめと公開の観点で研究全体が予定よりも遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
研究代表者の石川はイタリアにおけるエチオピア人種・民族論に関する研究成果公開のための作業とイタリアのオロモ認識に関する研究成果の取りまとめ作業を行う。また研究分担者の新谷はこれまで収集した史料にくわえ、本年度実施予定のヴァティカンでの調査で得られるであろう文書の分析も行い、その成果を公開すべく取りまとめ作業を進める。
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