研究課題/領域番号 |
23K20487
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補助金の研究課題番号 |
21H00557 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
貴志 俊彦 京都大学, 東南アジア地域研究研究所, 教授 (10259567)
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研究分担者 |
佐藤 洋一 早稲田大学, 社会科学総合学術院, 教授 (10277832)
泉水 英計 神奈川大学, 経営学部, 教授 (20409973)
Ivings Steven 京都大学, 経済学研究科, 准教授 (70817957)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | 英連邦軍 / 占領政策 / パーソナルメディア / 米国民政府 / 冷戦認識 / エゴドキュメンツ / 情報宣伝政策 / 占領 / 米軍 / 引揚問題 / GHQ / 引揚事業 / CIE / 米軍基地 / 軍政部 / 映像分析 / メディア分析 / 地域間比較 / 広報政策 / 冷戦 / 東アジア / アイデンティティ / 帰還 / プロパガンダ / 広報写真 / 華僑 / 西太平洋 / 地域社会 / 琉球列島米国民政府 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、戦後直後あるいは占領期の西太平洋地域(おもに日本、韓国、台湾、中国、フィリピン、香港、シンガポール)を研究対象として、地域社会の冷戦認識に影響をもたらした公式/非公式メデイア、マスメディア/パーソナルメディア/パブリックメディアに着目して進めている。また、これら地域の占領政策に従事した米軍および英連邦軍の統治実態に関する地域間比較を念頭に入れて、集合的記憶の形成に寄与した各種メディアやマスイベント、占領政策に従事した部隊や個人の背景および認識、および占領地域への影響について実態に即した研究を進め、野心的な試みとして冷戦研究の再構築を試みる。
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研究実績の概要 |
【総括班】各班と連携して、国会図書館、呉市編纂委員会などで、日本の中国地方・四国地方の占領政策に従事した英連邦軍に関する公文書および私文書、写真などを収集した。また、昨年収集した英連邦軍ニュースBcon (official all-services newspaper for the British Commonwealth Occupation Forces in Japan)の輪読会を開始し、これにもとづいて、各メンバーが米軍による日本占領イメージを脱構築化するためのテーマの模索を開始した。 【マイグレーションとメディア班】呉市編纂委員会、稚内市立図書館、日本郵船歴史博物館、オーストラリアのキャンベラにあるオーストラリア戦争記念館(AWM)で調査を進めた。これらの調査で、英連邦軍に関する日記、手紙、回顧録、公式文書などを収集し、冷戦初期における英連邦軍メディアの視点を進め、また日本人の引揚問題に関する一部文書の分析を開始した。これら調査成果にもとづき、引揚問題に関する英米の報道と戦後社会、戦後北海道豊富町の樺太アイヌ集落についての論文の執筆を始めている。 【フィールドメディア班・映像メディア班】呉市編纂委員会で合同調査めたほか、米占領下で発行された『オキナワグラフ』『写真ニュース』の目録化を継続して進めている。また、石垣島、西表島、与那国島、南北大東島でフィールド調査をおこない、高等弁務官資金により整備されたインフラ等の遺構を確認するとともに、住民から関連する記憶の聴き取りをおこなった。 【都市メディア班】東京・銀座での主に1945年を中心とした多様な占領期写真の展示企画の検討と提案や、戦後米軍基地(東京・立川、横田など)やその周辺における自動車文化を通じた日米両者の相互交流に関する基礎的な調査を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
オーストラリア戦争記念館および呉市編纂委員会が所蔵する英連邦軍関係資料を収集できたことにより、本プロジェクトメンバーの合意を経て、最終成果ビジョンを提示することが可能となった。とくに、Bcon (The official all-services newspaper for the British Commonwealth Occupation Forces in Japan)の輪読会を開始し、占領文書については各メンバーがそれぞれの関心のもと分析に着手したことの効果は大きく、次年度、University of East Anglia などで研究成果の一端を発表する計画を進めるにいたった。
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今後の研究の推進方策 |
米軍主導というGHQ占領像を脱構築させるためのひとつの手段として、英連邦軍が中心となって統治した中四国地方の占領実態を明らかにすること、それに従事した軍関係者へのヒアリング調査を進めることが重要であることが確認された。それらの資料を通じて、当時の地域社会が抱く占領イメージ、さらには冷戦像を具体化できると考えている。その成果の一端は、次年度、英国のUniversity of East Angliaで開催する合同国際シンポジウムで報告する計画として具体化もできた。
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