研究課題/領域番号 |
23K20488
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補助金の研究課題番号 |
21H00558 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03010:史学一般関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
佐々木 愛 島根大学, 学術研究院人文社会科学系, 教授 (00362905)
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研究分担者 |
戸田 裕司 常葉大学, 外国語学部, 教授 (10242794)
小川 快之 国士舘大学, 文学部, 教授 (10400798)
大澤 正昭 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (30113187)
石川 重雄 公益財団法人東洋文庫, 研究部, 研究員 (50636678)
小島 浩之 東京大学, 大学院経済学研究科(経済学部), 講師 (70334224)
兼田 信一郎 獨協大学, 国際教養学部, 非常勤講師 (70896993)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)
2024年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2022年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 中国史 / 墓 / 家族 / ジェンダー / 中国 / 宋代 / 法制史 / 家族史 / ジェンダー史 / 家族法 / 近世 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、中国家族史・ジェンダー史の既存の枠組みを革新し、研究を進展させる基盤を形成することを目的とする。これまでの本分野は、滋賀秀三『中国家族法の原理』が1967年以来定説であったが、その所説では、中国の漢から清まで二千年余にわたり家族原理は不変とされていた。これに対し、本研究では中国で古墓を実地調査することに加え、墓葬の考古学的発掘調査報告書のデータや新出土墓誌、貴重資料のデジタルアーカイブなど、滋賀の時代には決して用いることができなかった新たな資料を駆使することにより、滋賀説を不変の原理ではなく歴史的地域的な変化形成の相のもとにとらえる基盤を提示することを目指すものである。
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研究実績の概要 |
①宋代の社会史・法制史の第一級の史料『名公書判清明集』の訳注を本年度で完成させ、『訳注「名公書判清明集」懲悪門』と題して汲古書院より公刊することができた。本史料は1980年代に発見された貴重史料であるが、通常の編纂史料ではほとんど記載されない一般庶民の社会生活に関する記述を多く含む第一級の史料である。また訳注の作成中に、これまで着目されていなかった宋代女子財産権に関する史料を含んでいることが判明するなど、本書は家族史ジェンダー史の分野からも重要な史料といえる。本訳注の作成にあたっては中国で急加速度的に進んでいる史料のデータベース化の恩恵を受け、新史料を全面的に活用して行った。また本訳注は、中国を専門としない、日本史や西洋史の研究者にでもわかりやすいようにということを旨に、訳語を工夫し、注釈をつけた。この訳注の公刊によって、本史料は広く活用できることになったのであり、歴史学界に寄与することができたと考える。 ②台湾の金門島・新竹・苗栗で墓や関連記念物の調査を実施し、その成果を報告書として発表することができた。金門島は、中国大陸厦門地区にほど近いという地理的条件にありながら、台湾施政下にあるために、清代以前の史跡が非常に良好に保存されている。このことに着目し、金門島の家族やジェンダーに関する墓や貞節坊などの史跡のほか、金門から台湾へ移住し栄達を果たした鄭家の墓と史跡を調査した。その結果、福建江西等の中国南方と同様に夫婦別葬の慣習の存在や、本人の顕彰にあたっての墓と貞節坊の意義の相違などを明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
『訳注「名公書判清明集」懲悪門』を本年度で完成、出版することができた。本科研の中心となる研究業績であり、これを公刊できたことは大きい。また、コロナ禍で停止していた海外調査も、台湾金門島に調査先を変更することにより、再開することができた。
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今後の研究の推進方策 |
日本を含め世界はコロナ禍からは脱しつつあるが、中国との間はその後の政治的外交的な問題により、短期滞在者についてのビザ免除措置が復活していないなど、自由な研究調査がしにくい状況が続いている。とりあえずしばらくは台湾での調査に切り替えて、現地調査を行うこととしたい。 また、来年度は本科研の最終年度にあたるため、これまでの研究を総括しつつ、国際シンポジウムを開催するなど、我々の研究成果をより広く知っていただけるような機会を設け、大方の議論を喚起していきたいと考えている。
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