研究課題/領域番号 |
23K20499
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補助金の研究課題番号 |
21H00572 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03020:日本史関連
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研究機関 | 公益社団法人部落問題研究所 |
研究代表者 |
竹永 三男 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (90144683)
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研究分担者 |
中村 元 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (20710346)
廣川 禎秀 (広川禎秀) 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (30047237)
富山 仁貴 明治大学, 文学部, 専任講師 (30912662)
藤本 清二郎 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (40127428)
坂井田 徹 (森下徹) 公益社団法人部落問題研究所, その他部局等, 研究員 (40529921)
塚田 孝 大阪公立大学, 大学院文学研究科, 客員教授 (60126125)
町田 哲 鳴門教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (60380135)
鬼嶋 淳 専修大学, 文学部, 教授 (60409612)
本井 優太郎 武庫川女子大学, 文学部, 講師 (60898013)
高田 雅士 駒澤大学, 総合教育研究部, 講師 (00876261)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,120千円 (直接経費: 12,400千円、間接経費: 3,720千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 地域構造の変容 / 部落問題 / 奈良県 / 比較分析 / 大字 / 地域構造 / 近現代 / 地域構造変容 / 地域構造分析 / 比較研究 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、奈良県を対象として地域支配構造論の視点・方法によって部落問題の歴史的研究を推進した鈴木良の研究を、 ①対象時期を戦後高度成長期から現段階までのばすとともに、 ②新たな史料に基づいて地域の内部構造の分析を深化させることによって、地域構造の変容と部落問題に関する歴史的研究を発展させることをめざすものである。 研究の主対象地域は、主題に関する史料が遺存し、異なった地域変容過程をたどった奈良盆地南部の旧南葛城郡大正村(現御所市域)と北西部の大和郡山市域に設定する。
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研究実績の概要 |
(1)史料調査・撮影の推進 旧大正村地域では、①地元協力者の助力で確認した社会・民俗調査「大正村風俗誌」の全文を翻刻し、②南葛城郡最大規模の地主で旧櫛羅村外七ケ村組合=大正村の政治・経済運営の担い手の地主家文書「棚田家文書」(部落問題研究所所蔵)の保全措置を講じるとともにその大半を撮影し、③奈良県内で最有力の部落改善団体・西松本矯正会の文書群「吉川家文書」の撮影を研究協力者によって継続した。一方、大和郡山市域では、①奈良盆地中北部を中心に地域医療運動を推進した医師・青木康次と青木診療所に関する「青木康次文書」の撮影を研究協力者の手で推進するとともに、②大和郡山市議会文書の調査を進め、総計747GBに達する史料撮影データをポーブルハードディスクに記録して研究組織全体で共有した。 (2)史料分析と研究成果の発表 旧大正村地域については、①「大正村風俗誌」の全文翻刻を研究組織で共有するとともにその概要を分析し、②「棚田家文書」については撮影に合わせて各文書の内容の特徴を地域構造分析の視点から確認した。また、二つの重点対象地域の地域構造・地域構成の特徴を把握するため、①戦前・戦後の町村合併を通しての行政構造の変化、②人口の推移、③高度成長期の人口増加と大字の変化に視点を据えてその概要を把握した。さらに、岡島永昌氏の奈良盆地の鉄道敷設と地域の変容に関する客演報告によって、交通の展開・発展に着目して近世・近代を通した地域変容の実際を確認した。また、他地域との比較研究の一環として兵庫県神戸市・明石市、大阪府和泉市を対象として近現代の地域の変化の分析を進めた。 以上の研究成果は、研究組織の研究例会の外、御所市元町歴史研究会との共催研究会、部落問題研究者全国集会歴史Ⅱ分科会で報告するとともに、『部落問題研究』に発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
(1)研究課題の中の「奈良県の地域構造変容」については、2つの主対象地域の行政的構成の特徴を把握し、①市町村合併による市町村数の変遷を、戦前・戦後を通して、全国および奈良県と比較において確認し、旧南葛城郡が一郡一市となったのに対し、旧生駒郡は大和郡山市はじめ6市町が存続するなど地域の行政構造に差違があることを確認し、②人口の推移の点では、御所市域の人口減少が大和郡山市域に比べて20年早く進行しているなどその差違を確認し、③人口の推移が住宅団地開発などとの併行の有無によって大字数の差違を結果していること(大和郡山市域における多数の大字の新設)など地域の行政的構成の差違を確認した。 (2)研究課題の中、「地域構造の変容と部落問題」の関連については、①「大正村風俗誌」の翻刻と構成上の特徴を検討することを通して、1村8大字の中の3つの大字が部落であるという同村において、村と部落、部落外大字と部落の関係を社会関係に即して分析する史料条件を整え、②「棚田家文書」の撮影を通した文書内容の通覧によって、村内最大規模の地主経営の構造に即して実証的に分析する条件を整えた。 (3)研究課題の副題である比較分析については、研究分担者がそれぞれフィールドとしている地域、新たに取り組んだ地域の分析を進めることで、奈良盆地の対象2市域との具体的比較を進める準備を整えた。この中、本井優太郎は現明石市域を対象として戦時期の軍需工場の誘致・建設が地域構成・地域構造に与えた影響を分析し、森下徹は大阪府南部の泉北地域を対象として高度成長期の大規模な地域開発と地域の変容を文化財も問題に視点を据えて分析し、東京西郊の八王子地域の分析を進めてきた中村元は近代神戸の地域構造分析を進めた学会報告へのコメントで都市の開発と社会の関係を考える視角について提言した。 以上のように、2023年度は研究課題に即した研究を着実に進めた。
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今後の研究の推進方策 |
(1)地域構造と部落問題に関わる「棚田家文書」、「大正村風俗誌」と「奈良県風俗誌」、「吉川家文書」、地域医療運動史料である「青木康次文書」、対象地域とした御所市・大和郡山市の行政文書などの史料調査を、研究協力者の協力を得て引き続き推進し、これらの史料群の撮影を完了するとともに、全撮影データを研究組織内で共有した上で、その内容分析を本格的に進める。また、必要に応じて対象地域に係る現地調査を実施する。 (2)研究例会を系統的に開催し、研究課題に即した、2つの対象地域に係る史料分析に基づく研究発表を、本科研の研究例会、部落問題研究所歴史研究会、部落問題研究者全国集会歴史Ⅱ分科会などの研究会で行う。 (3)(2)の発表内容を、『部落問題研究』およびその他の学術雑誌に、史料の翻刻・紹介、各主題に基づく研究論文として発表する。 (4)最終年度となる2025年度は、5年間の研究期間に達成した成果を「翻刻史料集」「研究論文集」として集成し、「研究報告書」として公表する。
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