研究課題/領域番号 |
23K20522
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補助金の研究課題番号 |
21H00601 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03050:考古学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
田畑 幸嗣 早稲田大学, 文学学術院, 教授 (60513546)
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研究分担者 |
北川 香子 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 教授 (30565635)
久保 真紀子 立正大学, 仏教学部, 専任講師 (40793386)
佐藤 由似 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 企画調整部, 主任専門職 (70789734)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2023年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2022年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | ポスト・アンコール時代 / アンコール時代 / クメール陶器 / 交易 / 貿易当時 / バイヨン寺院 / アンコール・ワット近世碑文 / カンボジア / アンコ0ル時代 / 刻文資料 / ポスト・アンコール / 日本産陶磁器 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、出土陶磁器と交易関連文書に基づく、前近代(15~18世紀)日本=カンボジア間の交易・交流史の復元である。 考古班は器種組成からみた輸出陶磁としての性格、年代・産地・資料の分布から、生産=流通=消費モデルを構築し、文献班は交易の主体者、仲介集団、国際政治上の両国関係などをモデル化する。最終的には両者を相互検証・統合して日本=カンボジア間交易・交流史を復元する。成果は、国際シンポジウムにより世界的に発信し、さらに研究報告論集の形で公刊する。収集した史資料はオンラインデータベースとして公開する。
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研究実績の概要 |
21年度に引き続き、研究会を実施した。内容は次の通りである。ポスト・アンコール時代研究会第6回:2022年2月20日(日) 久保 真紀子 (立正大学) 「アンコール期クメール美術の仏教説話図をめぐる諸課題」、第7回:2022年10月29日(土) 16:00~18:00 北川 香子(学習院女子大学)「アンコールとポスト・アンコールのはざまをのぞく」、第8回:2022年11月19日(土) 14:00~16:00 松浦 史明 (上智大学) 「明代の史料から見たカンボジア ―漢籍からのぞくアンコールとポスト・アンコールのはざま―」、第9回:2022年12月17日(土) 14:00~16:00 久保真紀子 (立正大学) 「アンコール期の寺院建築にみられるヴェッサンタラ本生図の浮彫について」。 現地調査も本年度から本格的に開始した。新たに美術史の専門家である久保真紀子を分担者にむかえ、美術史班をたちあげ、アンコール時代からポスト・アンコール時代の社会・宗教システム変化理解のために、アンコール時代からポスト・アンコール時代の図像学的調査を実施した。文献班はアンコール・ワット近世碑文の現地調査と読解調査を実施し、考古班は出土クメール陶器資料として、これまでの出土資料の3D計測を実施したほか、ポスト・アンコール時代の窯跡と考えられるスレイ・サントーの窯跡遺跡を踏査した。また、昨年度の研究会の議論の結果、あらたにバイヨン寺院を調査項目として加え、寺院周辺ののGPR調査を開始したところ、バイヨン期以降の増改築と考えられる痕跡を発見することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
美術史班の調査により、アンコール時代からポスト・アンコール時代にかけて宗教図像の変容理解については、仏伝およびラーマーヤナの図像学的研究が有効であることが明らかとなった。文献班のアンコール・ワット近世碑文の調査から、これまで想定されてこなかった、ポスト・アンコール時代には、アンコール・ワット詣での風習があり、王族の寄進や参拝だけでなく、様々な階層・集団の参拝があったことがあきらかとなった。アンコール・ワットに残された17世紀の墨書は、こうしたアンコール・ワット詣でに参加した外国人旅行者によるものであり、当時の風習にのって実施された可能性を指摘できた。 考古班は、考古班は出土クメール陶器資料として、これまでの出土資料の3D計測を実施したほか、ポスト・アンコール時代の窯跡と考えられるスレイ・サントーの窯跡遺跡を踏査した。さらに、バイヨン寺院のGPR調査から、同寺院がアンコール時代の中心寺院だっただけでなく、ポスト・アンコール時代にも増改築がみられ、それは当初そうていされていたものよりも大規模であった可能性を指摘できた。当初の、前近代における日本・カンボジア間の交易・交流史の復元という当初の目的だけでなく、ポスト・アンコール時代における社会変容まで踏み込める研究内容となり、想定以上の調査研究の進捗が見られている。
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今後の研究の推進方策 |
23年度は22年度に設定した調査項目をさらに進展させる。考古班はバイヨンのGPR調査を継続するとともに、カンボジア出土日本産磁器の調査を実施する予定である。美術史班はバイヨン期からポスト・アンコール時代の仏伝およびラーマヤナ関連図像調査を実施し、データベースを構築する。文献班は引き続きアンコール・ワット近世刻文の読解調査と現地調査を予定しているほか、漢籍の読解調査も進める。 研究会も年6回ほど実施し、最終年度に予定されている国際シンポジウムへの準備も行う。
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