研究課題/領域番号 |
23K20532
|
補助金の研究課題番号 |
21H00612 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分03060:文化財科学関連
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
清水 則雄 広島大学, 総合博物館, 准教授 (70437614)
|
研究分担者 |
淺野 敏久 広島大学, 人間社会科学研究科(総), 教授 (00284125)
三浦 郁夫 広島大学, 両生類研究センター, 上席特任学術研究員 (10173973)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2025年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2024年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
|
キーワード | オオサンショウウオ / 環境DNA・性判定 / 教育プログラム / 保護モデル / 豪雨災害 / オオサンショウオ / 環境DNA / 交雑種 / 性判定 / スロープ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の最終目的は、近く訪れる「オオサンショウウオの消滅」の回避にある。1)豪雨災害に対し強い修復力を発揮する個体群ケアサイクルの確立、2)コロナ禍に対応した直感型教育普及プログラムの全国展開、3)100年先を見据えた持続可能な河川づくりを実現する環境配慮型工法の実践導入の3点を至近目標とする。合わせて、広島市の河川で確認したチュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体の野外調査とDNA鑑定による現状把握も実施し、これらを総合した全国応用可能な流域保全モデルを構築することで、迫りくる消滅の危機に具体的な答えを出す。
|
研究実績の概要 |
本研究の目的 1)流出個体の捜索、負傷・痩せ個体の緊急保護・回復、交雑個体の確認・隔離、回復個体の放流、放流後のモニタリングまでを総合的に実施することで、流失実態の解明から個体群回復までを網羅した個体群ケアサイクルを完成させ、消滅の負のスパイラルを解消すること。2)展示・副読本の活用、講演会の実施により認知度を高めることに加え、新たな教育プログラム(トランクキットを活用したオンライン授業)を全国を対象に展開することで、極めて深い理解を持つ人を増加させること。3)市民と協働して遡上可能なスロープ、環境配慮型護岸の試験設置を行うことで、オオサンショウウオが自力で元の生息地に戻ることができる豪雨災害に強い持続可能な川作りを進めること。これらを統合し、全国各地の生息地で応用可能な流域保全モデルを構築すること(=社会実装)。そして、本研究の最終目標は、近く訪れる「オオサンショウウオの消滅」の回避である。 東広島市椋梨川の上流部、三原市椋梨川の中流部、三原市のダム湖(白竜湖)に至る約25km の本川と9本の支流(9本計約40km)の30定点の環境DNA解析の結果(2021年度)を元に現地調査を行い新たに2箇所で同種の生息を確認した。 新たに近隣の広島市の八幡川にて外来種であるチュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体を確認し、1年間の野外調査の結果、40頭を捕獲した。このうちDNA鑑定により33頭が交雑個体であることを確認した。全長22cmの交雑第2世代も確認した。 ドローンテレメトリーについては、引き続き夜間飛行に向けた試験運用を実施した。 これらの内容を活用し、地元の小中高校等での出前授業等の教育プログラムを実施し、普及啓発を行うとともに、遠隔授業も実施した。個体群の分断を引き起こしている人工堰堤に、スロープを設置すべく協議を進めたが、地元や県河川との調整のうえ、再調整となった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
東広島市椋梨川において野外調査を11回実施し、31個体を確認した。この中に肥満度4.75の痩せ個体1個体を水田の水路にて確認し、一時保護施設「オオサンショウウオの宿」に緊急保護を行った。本個体は施設での育成を行い、肥満度の回復後に地元の小学校での出前授業、公開ののちに発見場所最寄りの自然生息地への放流を行った。本モデルを活用した成功事例となった。支流(9本計約40km)の30定点の環境DNA解析の結果(2021年度)を元に現地調査を行い新たに2箇所で同種の生息を確認した。新技術により生息実態が新たに明らかとなった。 新たに近隣の広島市の八幡川にて外来種であるチュウゴクオオサンショウウオとの交雑個体を確認し、1年間の野外調査の結果、40頭を捕獲した。このうちDNA鑑定により33頭が交雑個体であることを確認した。全長22cmの交雑第2世代も確認した。 ドローンテレメトリーについては、引き続き夜間飛行に向けた試験運用を実施した。本年度以降の実施体制が整った。 研究成果を活用した展示・講演会については、本種の生息地である東広島市豊栄町の豊栄支所にて7月23日から9月11日に「オオサンショウウオがいるらしい」展を試験的に開催し、この間、2回の講演会を開催した。期間中の来場者は2,442名を数え一定の成果を上げた。小中学生への出前授業も5回実施し、小学生にはクイズと野外観察会、中学生には生活史シュミレーションゲームを試行的に実施し、高評価を得た。オンライン授業については、ユネスコスクールに登録している複数校の高校生向けの授業を実施し、オンデマンド化も実現した。調査も概ね、順調であり、教育普及活動も学校現場から高評価を頂いた。
|
今後の研究の推進方策 |
引き続き野外調査を継続して実施し、個体群の動態、痩せ個体の発見に保護に務める。保護個体については早期の回復と放流を実施可能な保護モデルを構築する。幼体の動向を確認するドローンテレメトリー調査を本格実施する。新たな広域の個体群、流出個体の捜索のための環境DNA調査を継続する。交雑個体確認地域についても野外調査を継続し、遺伝子解析を進め、交雑実態の解明を進める。 これらの研究成果をまとめた、教育普及用のトランキットを開発し、小中高の出前授業、オンライン授業での活用と試行を行う。 個体群の分断を引き起こしている人工堰堤に、スロープを設置すべく協議を進めたが、地元や県河川との調整のうえ、再調整となったが、今後も調整を進め、実施を目指す。 教育普及については、小中高校生向けの取り組みを、学年進行に応じたより体系的なものとなるよう洗練を進める。
|