研究課題/領域番号 |
23K20543
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補助金の研究課題番号 |
21H00628 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04010:地理学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
松四 雄騎 京都大学, 防災研究所, 教授 (90596438)
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研究分担者 |
松崎 浩之 東京大学, 総合研究博物館, 教授 (60313194)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 宇宙線生成核種 / 地形発達 / ボーリングコア / 削剥速度 / 地理情報システム |
研究開始時の研究の概要 |
一般に,断層の運動やアイソスタシーによって隆起し,侵食基準面の低下が進行する山塊では,流水による河川の下刻とマスムーブメントによる斜面の侵食の相互作用によって流域の地形が発達してゆく.本研究では,テクトニックに隆起する山地が,どのような削剥速度で,どれほどの時間スケールで,どのように開析されてその山容を変化させるのか,という地形学における根本的な問いを,宇宙線由来の同位体(宇宙線生成核種)の加速器質量分析および地理情報システム上での地形発達過程の定量的なモデリングとシミュレーションを通して解決し,その確からしさを,山麓に堆積した地層の大深度ボーリングコアの解析によって検証する.
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研究実績の概要 |
地理情報システム上での地形解析と,鉱物試料の宇宙線生成核種分析を継続して行った.特に河道や斜面の急峻度,流域の開析度,あるいは起伏量といった地形パラメータを変化させ得る内的・外的要因を取り込んで,地形進化のモデル化を試みた.モデリングを行う上でのパラメータ決定のため,河川の下刻や断層の運動に伴う侵食基準面の低下に対する応答としての地形の発達過程が追跡できる場を対象に地形解析と踏査を行った.また,地形進化の途上で起伏量が岩盤強度に規定された閾値を超えると,流域の削剥を担う斜面プロセスが,岩石の風化による土層化と土層の侵食という序列的なものから,より間欠性の強い岩盤崩壊へと遷移しているという着想を得て,削剥速度の指標としている砕屑物中の宇宙線生成核種の濃度希釈に対し,これまでにないモデルを試作して土砂給源域における間欠的なマスムーブメントによる土砂生産と地形発達および宇宙線生成核種濃度に関するモデリングをより精緻に進めた.その結果,山地の地形と流域の削剥速度の対応関係に基づき,テクトニックな隆起を外部強制力とし,河川の下刻を内部フィードバックシステムの駆動力とする地形の発達過程をシミュレートできる基礎プログラムを構築できた.ボーリングコア等を利用した埋没堆積物の分析については,琵琶湖コア試料のリサンプリングと層相の解析および宇宙線生成核種の分析を進めた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
地形の発達シミュレーションのパラメータを定めるための,地形情報と侵食速度のデータベースは着実に増え,岩盤の受食性や間欠的なマスムーブメントの取り扱い,そして,河川から斜面へのシグナル伝播のモデリングにも課題解決の糸口が見えた.地形発達史を復元するためのボーリングコアや堆積物試料を入手し,分析を進めることができた.またいくつかの成果を学会で発表することができ,近畿地方の一部対象地については,国際誌への投稿論文原稿の執筆を進めている.
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今後の研究の推進方策 |
岩盤・堆積物試料の宇宙線生成核種分析を本年度も継続して行う.各地への地形・地質踏査と試料の採取は従来通り随時行い,試料の物理化学処理には京都大学および東京大学の実験室を利用し,それぞれ技術術補佐員を雇用して実験を進める.本年度は,特に河道や斜面の急峻度,流域の開析度,あるいは起伏量といった地形パラメータと削剥速度の関係を記述するモデルの高度化を進め,非定常プロセスのモデリングにもフォーカスした解析を行う.一方で,コア分析からは長期間の定常性を示すデータも出てきており,ソースとシンクの両方から得られたデータの整合的解釈を達成するため,地震性の非定常斜面過程にも着目し,イベントの規模と再現周期,そして土砂シンクにアーカイブされるまでの砕屑物ミキシングを組み込んだモデル化を目指す. 分析データの取得においては,前年度までに対象とした地域および新規地域での鉱物試料の宇宙線生成核種分析を継続して行う.調査としては,地形の発達過程が追跡できる場を対象に踏査を行う.具体的には,北海道南西部および北東部,中部山岳北端から北信・新潟にかけての地域,近畿地方中部,紀伊半島中北部および南東部,四国西部の高縄半島や宇和地域などを検討している.さらには淡路島・屋久島・石垣島といった,分析に適した岩種で構成され,陸化以降の経過時間や侵食基準面低下の履歴が異なる気候環境の異なる島嶼も分析対象として引き続き検討する.ボーリングコア等を利用した埋没堆積物の分析については,琵琶湖や木津川流域下流部のコア試料のリサンプリングと分析を引き続き行い,層相の解析と宇宙線生成核種の測定を進める予定である.得られた成果は,順次海外での国際学会を含む研究発表や論文投稿などにより公表する.
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