研究課題/領域番号 |
23K20558
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補助金の研究課題番号 |
21H00648 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 立教大学 |
研究代表者 |
門田 岳久 立教大学, 観光学部, 教授 (90633529)
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研究分担者 |
周 星 神奈川大学, 国際日本学部, 教授 (00329591)
島村 恭則 関西学院大学, 社会学部, 教授 (10311135)
川松 あかり 九州産業大学, 国際文化学部, 講師 (20962608)
及川 祥平 成城大学, 文芸学部, 准教授 (30780308)
松田 睦彦 国立歴史民俗博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 准教授 (40554415)
加賀谷 真梨 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (50432042)
田村 和彦 福岡大学, 人文学部, 教授 (60412566)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2021年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
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キーワード | マテリアリティ / 民具 / ジェンダー / インフラストラクチャー / 生活財生態学 / モノ / 物質文化 / 権力 / 消費社会 / 生業 / 新自由主義 |
研究開始時の研究の概要 |
民俗学はその初期からとりわけモノ(民具)に高い関心を寄せてきた。しかしそのアプローチは専ら文化財としての保存や分類にあり、モノと人との相互性やモノがもたらす権力性について深く掘り下げることなかった。本研究は日常におけるヴァナキュラーな権力関係の展開を、主に労働に関わるモノと人との関係のあり方に探るため、日中韓の比較民族誌を展開することを作業目標としている。
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研究実績の概要 |
23年度は現地調査を中心に、研究課題達成に向けて大きく進捗が見られた。門田は新潟県佐渡島において、宮本常一による博物館運動と町並み保存に関する研究史を調査し、マテリアリティを媒介とした民俗学と地域社会との関わりについて明らかにした。島村は世界民俗学における物質文化研究としてのフォークライフ研究についてレビューするとともに、日韓比較民俗学の観点から長崎県対馬における石積聖地について調査を実施した。加賀谷はGHQ統治下日本における避妊具の導入と展開を『日本産児計画情報』や『日本医師会雑誌』等を通じて明らかにした。田村は中国の物質文化研究に関する研究状況の調査および文献資料を収集するとともに、日本の佐渡島にて生活用具の調査を行った。周は中国の陝西省西安・商州および山東省青州の上井塘村において、農民画や定期市・民具に関する資料収集と現地調査を行った。また、農民画に見る民具や定期市に関する研究を進めている。及川は理論的検討作業として、現代人の物質生活を理解するうえで包括的なキーワードとして期待できる「世相」という概念を今日の実践的研究に活かす道筋を考えるため、『世相篇』における柳田国男の方法論を検討する論文を執筆した。同様の理論的検討は『生きづらさの民俗学』においても試行している。また、実践的研究としては、『心霊スポット考』において、マテリアリティを考慮しつつ今日の怪異をめぐる文化を検討した。川松は、インタビューデータをもとに、炭鉱労働経験者たちが戦後機械化の進む炭鉱で労働現場にある装置と自然をどのように認識していたのかを分析し、学会で発表した。加えて共同研究者として、余イは中国における民俗博物館や「民具」概念生成の学説史を明らかにした。以上の研究成果は本研究グループの成果報告書『日常と文化』12号、同13号(いずれも2024年3月刊)でも一部公開している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間前半(2021-22年度)に新型コロナウイルスの関係で部分的にしか実施できなかった現地調査を23年度において全面展開し、大きく挽回する成果を残すことができた。刊行された研究成果として、研究グループ全体の成果報告書『日常と文化』が二冊、研究代表者による単著一冊、分担者により編集・分担執筆された書籍三冊を計上した。以上を踏まえると23年度の研究推進は順調であると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は前半で各分担者の調査・活動を進めるとともに、研究会をオンラインで複数回実施し、成果発表と共に今後の研究成果公開に向けた理論的検討を進める。年度前半で刊行が予定されている『現代思想』52巻6号では複数の分担者が執筆しており、現代民俗学会にて書評会を実施する。また2024年8月には分担者・協力者が中心となったシンポジウムを予定している。
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