研究課題/領域番号 |
23K20561
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補助金の研究課題番号 |
21H00651 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 京都精華大学 |
研究代表者 |
清水 貴夫 京都精華大学, 国際文化学部, 准教授 (10636517)
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研究分担者 |
和崎 春日 京都精華大学, その他の部局, 京都精華大学特別研究員 (40230940)
Sacko Oussouby 京都精華大学, 人文学部, 教授 (70340510)
伊東 未来 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (70728170)
中尾 世治 京都大学, アジア・アフリカ地域研究研究科, 助教 (80800820)
阿毛 香絵 京都大学, アフリカ地域研究資料センター, 助教 (90876351)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 6,370千円 (直接経費: 4,900千円、間接経費: 1,470千円)
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キーワード | ライシテ / 西アフリカ / イスラーム / 中間集団 / 宗教と政治 / 文化人類学 |
研究開始時の研究の概要 |
「ライシテ」は、公共空間への宗教の不介入を示す用語として、フランス他仏語圏で頻繁に使用される。イスラームが主流の旧仏領の多い西アフリカもその例に漏れないが、キリスト教的価値観を持ち、現代的にはイスラームを仮想対象として扱う欧米とは、ライシテが意味すること、その言葉の運用は大きく異なる。たとえば、家族制度は極めて宗教的な影響を受ける領域であるし、政治と人びとをつなぐ中間組織は、直接間接に各々の国の政治に影響力を持ち、宗教組織により公的な支援の行き届かない部分が保管されている例も少なくない。ライシテを考えることは、混迷を極める西アフリカ諸国の政治、宗教、日常生活の関連性を紐解く鍵になるだろう。
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研究実績の概要 |
本研究課題2年目にあたる2022年度は、初年度に引き続き資料収集を中心に行った。資料収集は、サコ(マダガスカル)、伊東(フランス)、和崎(カメルーン)中尾(ブルキナファソ)、清水(ブルキナファソ)により現地調査が行われた。サコは過去に憲法からライシテを消去した経験を持つマダガスカルの現在のライシテ状況を見分、伊東はフランスの公文書館を中心に、マリが植民地期にあった時期から独立初期の行政文書収集、和崎は長年研究を行うバムン王国の調査を行い、中尾はブルキナファソ公文書館における文書資料の収集、清水はイスラーム宗教職能者のアソシアシオン立ち上げに参与した。また、本研究を当事者であるアフリカ諸国の研究者と共有するため、代表者、分担者は調査先の研究機関を積極的に接触し、特にブルキナファソのジョセフ・キ-ゼルボ大学のシリル・コネ教授(哲学)との共同研究を始めることとなった。 国内においては、4回の研究会(2022年4月14日、7月23日、11月20日、2023年1月13日)を行い、それぞれの調査報告、研究成果の公開についての打ち合わせを行った。これらの研究会を通し、2023年度には日本アフリカ学科での発表を行うこととなり、論集の作成に関する議論も深めている。7月23日には、マルーア大学(カメルーン)のウスマヌ・アダマ准教授を招聘し、カメルーン北部における宗教と難民受け入れの関係性に関する講演会を開催し、同国のイスラームが置かれた状況を共有した。 本研究に関連する業績として、7月30日に行われた「ジョセフ・キ-ゼルボ生誕100周年記念イベント」を京都精華大学アフリカ・アジア現代文化研究センターと共催した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年目の2021年度はコロナ禍の影響により、海外調査が思うように進捗しなかったが、2022年度は5名が海外調査を行い、資料収集を務めた。2年目までは、資料収集を中心とした研究活動を行う予定であり、1年目のマイナスを完全にカバーしきれてはいないものの、研究会dの報告では、西アフリカを中心とした地域におけるライシテの様々な現象が報告されている。予定していた調査以外にも、当初予定しなかった調査結果を得ており、研究全体としてはおおむね順調であると考えている。 一方で、外部者を招聘しての研究会の開催、西アフリカに大きな影響を与えたジョセフ・キ-ゼルボの功績をレビューするイベントへの参加、海外の研究者とのネットワークの形成など、本研究を充実化する活動を活発に行えたことは、2022年度の大きな進捗だと考えている。 懸念されるのが、本研究期間内に発表しうる論集、著作に関する議論が若干停滞していることである。その大きな理由は、執筆者の不足であるが、この不安を払拭するため、若手研究者数名との協働研究も視野に入れ、教育的効果を狙うことはもちろん、若手研究者の意見も積極的に採用し、充実した論集作成を目指していきたい。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の研究活動を踏まえ、本年度以降、以下のように計画を立てている。 まず、本研究に係る資料収集を継続して行うが、本年度は和崎(カメルーン)、伊東(フランス)、阿毛(セネガル)、清水(ブルキナファソ)の他、若手研究者(セネガル)が海外調査を実施する。戦略的に研究成果を得るため、本年度4月に行われた第1回研究会で研究課題が共有された。 次に、国内での研究活動について述べる。本年度は、5月に開催される第60回日本アフリカ学会において本研究を構成するメンバーによるフォーラム「西アフリカのライシテ研究の可能性と課題」を組織し、サコ、和崎、阿毛、伊東、清水が研究成果を発表する。本研究の現在地を示したうえで、外部の研究者との議論を踏まえ、研究の深度を深めていく。 日本アフリカ学会での議論を踏まえ、来年度に予定する研究成果の発表に向け、準備を進めていく。
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