研究課題/領域番号 |
23K20563
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補助金の研究課題番号 |
21H00653 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
吉田 憲司 国立民族学博物館, 大学共同利用機関等の部局等, 館長 (10192808)
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研究分担者 |
緒方 しらべ 東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 助教 (10752751)
亀井 哲也 中京大学, 現代社会学部, 教授 (60468238)
伊東 未来 西南学院大学, 国際文化学部, 准教授 (70728170)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
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キーワード | アフリカ / 危機 / 文化 / 創発 / アイデンティティ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、内戦や自然災害、近年のCOVID-19を含む感染症の流行など、さまざまな負荷が重複してのしかかる社会的危機下のアフリカにおいて、人類の文化がいかに「創発」され、構築されるのかを明らかにしようとするものである。本研究においては、研究代表者と研究分担者計4名が、それぞれザンビア・モザンビーク、南アフリカ、マリ・ブルキナファソ、ナイジェリアという、社会的負荷の性格を異にする地域を対象に、現地研究機関との共同研究を通じて、社会的危機下での文化の「創発」のあり方を追跡する。得られた成果は、対面、オンラインを併用して全体で共有・分析し、最終的に文化の「創発」のメカニズムを解き明かす。
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研究実績の概要 |
研究計画3年目の2023年度には、メンバーによる対面およびオンラインで3回の研究会を開催し、互いの研究成果の中間報告を実施するとともに、今後の計画について情報交換を行なった。 研究代表者の吉田は8月にザンビアに赴き調査地のチェワ社会において調査を実施した。感染症COVID-19流行により、仮面舞踊の秘密結社ニャウへの加入儀礼が数年ぶりに実施され、これまでにない大人数の加入があったため、これに対応して加入儀礼の祭典化とも呼べるような動きが生起していることを確認した。危機に対応した文化の「創発」を観察できたことになる。(共通指標②儀礼)。吉田はまた、1月にロンドンにて、欧米各国によるベニンへの文化財返還競走とも呼べる状況について、関係各博物館の動静を調査した(共通指標①物質文化④文化の意識化・対象化)。 研究分担者の亀井は8月に南アフリカにてンデベレ社会の調査を実施した。アパルトヘイトという危機的状況下で活性化したンデベレの壁絵運動が、ポスト・アパルトヘイト下でいかに変容し、新たな要素が「創発」されてきたかを継続調査した(共通指標①物質文化⑤アイデンティティ)。緒方は、政治・経済、人権において危機下にあるナイジェリアにて、地方都市イレ・イフェでの個人や家族の様態と、大都市ラゴスのNGO団体の実態を調査した(共通指標③相互扶助組織⑤アイデンティティ)。研究分担者の伊東は、西アフリカのマリを対象に、2020年と2021年の二度のクーデターやテロの頻発などにともない、国内の文化財の保存管理がどのように変化しているのかを調査した。マリとフランスとの政治的関係悪化により、旧宗主国フランスからの文化財の返還についても、大きな支障が出ている現状が明らかになった(共通指標①物質文化④文化の意識化・対象化⑤アイデンティティ)。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究期間3年目である2023年度は、ようやくメンバー全員が調査対象国に赴くことができるようになり、研究全体もおおむね順調に進展していると考えている。それぞれのメンバーは各々の調査対象が抱える危機的状況の様相を調査するとともに、それに応じた文化のレジリエンス(回復力)とイマージェンス(創発力)の探求を行なうことができている。
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今後の研究の推進方策 |
研究期間4年目以降も、引き続き現地研究機関とメールおよびオンラインで連絡を取り合うことで情報収集に努め、十分に治安状況に注意しながらザンビア、マリ、南アフリカでの現地調査を実施し、最終年度に向けての取りまとめを視野に入れつつ、調査を遂行していく。 また今年度は、研究分担者の緒方が11月開催予定の公開ラウンドテーブル「Emergence of paths in Africa: Considering elements of groping for better life under social crisis(アフリカにおける活路の出現:社会的危機下でのより良い生活の模索の要素を考える)」に本科研費用を用いてナイジェリアから発表者を招聘し、共同研究を実施する予定である。
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