研究課題/領域番号 |
23K20564
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補助金の研究課題番号 |
21H00654 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分04030:文化人類学および民俗学関連
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
竹沢 尚一郎 国立民族学博物館, その他部局等, 名誉教授 (10183063)
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研究分担者 |
深海 菊絵 国立民族学博物館, 超域フィールド科学研究部, 外来研究員 (00895980)
近藤 有希子 愛媛大学, 法文学部, 講師 (10847148)
森田 良成 桃山学院大学, 国際教養学部, 准教授 (30647318)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 被傷性 / 人類学 / 貧困 / 性 / 紛争 / 人類史 / 災害被害者 / ポリアモリー / 内戦と記憶 / 被災者 / 戦争避難民 / 苦難 / 難民 / 性的マイノリティ |
研究開始時の研究の概要 |
現代社会はテクノロジーの急速な発展を見る一方で、貧困、難民、戦争被害者、短期雇用者、災害被災者、性的マイノリティ、死など、苦難や困難を抱えた人びとを多く生み出している。 従来、人類学では、これらの人びとを、貧困の人類学、災害人類学、性の人類学など、個別に研究する傾向があった。 これに対し本研究ではこれらの事象を「被傷性」の語で括り、人びとがそれにどう対処してきたかを総体的に研究しようとする。これらの事象を人間であるかぎり逃れることのできない事象として捉え、隣接諸科学の成果も取り入れながらそれへの対処の仕方を研究することで、人間とは何かという人類学の永遠の課題に答えることをめざす。
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研究実績の概要 |
本年度は全員が3回集まり、研究打ち合わせをおこなった。また、国立民族学博物館で、類似のテーマでより多くの研究者を集めて共同研究会を組織しているので、その方々の研究発表を聞くなどして、理解の深化と拡大に努めた。 研究代表者の竹沢尚一郎は、大規模災害の被災者のインタビュー調査を実施し、あわせて原発事故の避難者の裁判に出席するなどして、彼らが災害がもたらした精神的苦痛をどう乗り越えているか、彼らへのどのような支援が望ましいかについて研究した。それと並行して、西アフリカで生じている内戦について研究し、その原因とそれを克服する努力、さらに避難者の支援体制等について研究をおこなった。研究対象国はマリであるが、現在内戦中で入国や国内移動が困難であるため、旧宗主国であるフランスで文献調査をおこなった。 研究分担者の森田良成は、わが国のホームレスの人びとに関する調査を実施すると同時に、過去におこなった調査のデータを整理して発表をおこなった。また、次年度にサバティカルで一年間インドネシアに行き、道路清掃やくず拾いで生計をたてている人びとの調査を実施する予定であるので、そのための準備をおこなった。 研究分担者の近藤有希子は、過去におこなったルワンダの内戦被害者の元での調査のデータを整理すると同時に、竹沢とともに原発事故避難者の元でのインタビュー調査やアンケート調査をおこない、論文にまとめた。 研究分担者の深海菊絵は、主としてアメリカでポリアモリーを実践している人びとの研究をしているが、今年度は現地で多くの人びとに会い、インタビュ-を実施した。とくに彼らの倫理と性愛の実践の関係について研究し、発表をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は、コロナ禍のために、予定していた直接会って研究会を実施することが困難になったが、ウェブ会議で代替するなどして、相互理解に努めた。それに際し、研究代表者と研究分担者の全員が研究発表をおこない、たがいの研究の進展情報を共有し、研究の方法論や理解の深化を実現できた。コロナ禍によって、海外調査のための渡航が制限されたり、研究対象者との面会が制限されるなどの予期せぬ事態が発生したが、研究費と研究内容の一部を次年度に繰り越すことで、次年度中に当初の研究目的を達成することができた、その意味で、当初の予定は若干遅れてではあるが、達成できている。 具体的には、研究代表者の竹沢は、災害被災者の生活実態と支援体制に関する調査研究と、西アフリカで生じている紛争の実態と被害者の置かれた状況について、理解を深めることができた。 研究分担者の森田は、日本とインドネシアにおける貧困層の生活実態について、これまでに行った調査結果を分析し、新たに調査を進めることで、新たな理解を得ることができた。 研究分担者の近藤は、従来、東アフリカの戦争被害者の語りと自己認識について研究してきたが、本研究によってわが国の原発事故避難者の調査研究を開始することで、災害や戦争の被害者の自己語りについての比較の視点を確立することができた。 研究分担者の深海は、アメリカのポリアモリーの実践者のもとで調査研究をおこなってきたが、本年度中に現地調査を実施することで、多くのインタビューをおこない、ポリアモリーの倫理、自己認識の変容などについて新たな視点を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降、本年度の研究によって得られた新たな知見に基づきながら、研究を進めていく予定である。また、本年度中に数回研究会を実施することで、研究方法の洗練と相互理解の深化に努める。 研究代表者の竹沢は、災害被災者の研究に加え、西アフリカの内戦の原因とその被害者の状況について研究を進め、本や論文の形でまとめる。また、宗教と被傷性との関係という新たなテーマに取り組む予定である。 研究代表者の森田は、7月から1年間インドネシアで現地調査を実施する予定であり、国家の全体的な近代化と富裕化が進む中で、道路清掃やくず拾いで生活してきた人びとの生活実践がどう変化したか、そこにおいて彼らの自己理解がどのように変わったかを研究する予定である。 研究分担者の近藤は、数年ぶりにルワンダを訪れる予定であり、過去の内戦の被害者たちのインタビュー調査をおこなうことで、彼らの意識の変化をあとづける。また、政府による支援体制や政府が主導する過去の語りの定式化=歴史語りについても調査し、政府の語りと住民の語りのあいだの齟齬や相克についても研究する予定である。 研究分担者の深海は、これまでアメリカのポリアモリーの実践者について研究してきたが、比較の視点を取り入れるために、オーストラリアのポリアモリーの実践者のもとで現地調査を実施する予定である。
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