研究課題/領域番号 |
23K20566
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補助金の研究課題番号 |
21H00656 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05010:基礎法学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
葛西 康徳 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 名誉教授 (80114437)
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研究分担者 |
日向 太郎 (園田太郎) 東京大学, 大学院人文社会系研究科(文学部), 教授 (40572904)
吉原 達也 広島大学, 人間社会科学研究科(社), 名誉教授 (80127737)
小川 浩三 専修大学, その他部局等, 客員所員 (10142671)
新田 一郎 東京大学, 大学院法学政治学研究科(法学部), 教授 (40208252)
吉村 朋代 広島国際大学, 保健医療学部, 准教授 (70284148)
松本 英実 青山学院大学, 法学部, 教授 (50303102)
西村 安博 同志社大学, 法学部, 教授 (90274414)
守矢 健一 大阪公立大学, 大学院法学研究科, 教授 (00295677)
水野 浩二 北海道大学, 法学研究科, 教授 (80399782)
吉川 斉 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60773851)
比嘉 義秀 同志社大学, 法学部, 助教 (30756630)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,730千円 (直接経費: 12,100千円、間接経費: 3,630千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 人文主義法学 / ローマ法 / 古典学 / 裁判実務 / ヤコブズ・ホイエル / 翻訳 / 法学提要 / ヤコブス・ホイエル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、人文主義法学に対する従来の研究では看過されていた点に着目して、人文主義(テクスト批判)と法学の関係に新しい知見を提供することを目的とする。具体的には、第一に、人文主義法学者が残した実務家としての著作、とくに判例評釈や慣習法著作と彼らの法学理論との関係を分析する。第二に、ヒンドウ編集を含めて、コモン・ロー著作に人文主義の方法が与えた影響を明らかにする。第三に、日本法制史上、人文主義の影響を具体的に明らかにする。 最後に、これらの諸研究を突き合わせて、人文主義法学の果たした法制史上の意義を総合的に評価する。
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研究実績の概要 |
第一に、6月、パレルモ大学およびピサ大学に招聘され、敗訴者と裁判人・仲裁人の間の訴訟について報告し、Guido Rossi教授およびAndrea Taddei教授と共同研究を行った。 第二に、8月、ケンブリッジ大学に出張した折、同大学法学部図書館にて昨年に引き続き文献調査を行った。また、ケンブリッジ大学、エディンバラ大学にて国際研究会を開催し、報告を行った。 第三に、2023年12月、エディンバラ大学・パレルモ大学法学部教授Guido Rossiを招聘して、青山学院大学および神戸大学にて共同研究会を行った。12月11日「Insurance in English law」(保険法に関しては16世紀末ロンドン(City)において作成された保険約款が基本的には現在まで通用していることを、保険約款に関する判例及びフィレンツェに残された約款原本資料をもとに実証的に明らかにした)、12月16日「Legal causation in medieval law」(従来の因果関係研究はアリストテレスの因果律をスコラ学が応用し、それをもとに注釈・注解学者が理論化したと考えられてきたが、本報告で14・15世紀イタリアで活躍した実務家(裁判官)の著書及び判例を詳細に分析することにより、ローマ法及びアリストテレス哲学の枠組みではない精緻な理論が構築されていることを明らかにした)、12月17日 「Legal humanism」(従来全く見落とされていたリーガル・ヒューマニストと呼ばれる人たちの実務家(裁判官)としての活動を分析することにより、古典ローマ法学では当時の現状に全く対処できないことが暴露され、人文主義法学者たちの影響力は急速に弱まっていったことが明らかにされた)。 第四に、2024年3月、法学提要の翻訳に関する共同研究会を開催し、末松謙澄の方法論的重要性について検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今年度は、特にイタリアの研究者と相互に招聘を行って、国際共同研究を積極的に進めることができた。 また、『法学提要』の翻訳に関する研究会を通じて、わが国における翻訳研究史上の重要人物末松謙澄に注目し、彼の留学先のケンブリッジ大学での資料調査の手がかりを得た。 従来の研究見通しが間違っていないことが確認され、かつ新しい視角を得ることができたため、全体として順調に進展していると評価する。最終年度への重要な手がかりを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
第一に、2024年夏、これまでの各自の研究成果を持ち寄り、ケンブリッジ大学で研究発表を行う。その際、人文主義法学の概念の再検討、西洋における人文主義法学者の著作目録作成および実務書と理論書の対応関係の分析、従来わが国で見落とされていた地域の法学者の再評価(インド、モンテネグロ、スコットランド、オランダなど)、さらに日本の法律家の中で人文主義法学の影響を受けた者がいるかどか、受けているとすればどのような影響か、等の点から総合的に検討する。第二に、翻訳方法論に関して8月に英国で資料収集を行う。その成果ももとにヴェネツィア大学で共同報告を行う。第三に、年度末に本科研費研究の総括として研究会を開催する。第四に、『法学提要』新訳を一部発表する。
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