研究課題/領域番号 |
23K20573
|
補助金の研究課題番号 |
21H00665 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分05040:社会法学関連
|
研究機関 | 神奈川大学 (2023-2024) 横浜国立大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
関 ふ佐子 神奈川大学, 法学部, 教授 (30344526)
|
研究分担者 |
秋元 美世 東洋大学, 社会福祉学研究科, 教授 (00175803)
西森 利樹 熊本県立大学, 総合管理学部, 准教授 (30795860)
原田 啓一郎 駒澤大学, 法学部, 教授 (40348892)
矢田 尚子 日本大学, 法学部, 准教授 (40383195)
柳澤 武 名城大学, 法学部, 教授 (70363306)
川久保 寛 北海道大学, 法学研究科, 准教授 (90706764)
鈴木 ゆめ 横浜市立大学, 附属市民総合医療センター, 教授 (70236024)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
14,300千円 (直接経費: 11,000千円、間接経費: 3,300千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
|
キーワード | 社会保障法 / 高齢者法 / 差別禁止と保護 / 社会的障壁 / ユニバーサル保障 / 年齢差別 / 社会的な障壁 / 高齢社会 / 労働法 / 民事法 / 認知症 |
研究開始時の研究の概要 |
継続課題のため、記入しない。
|
研究実績の概要 |
本研究では、高齢者が直面する社会的な障壁について探求し、差別禁止と保護の関係等を探った。具体的には、ユニバーサルな保障と固有の保障との理論的関係(秋元・関を中心に研究)、雇用における年齢差別の禁止と年金受給者への特別な配慮の関係(柳澤)、高齢者特有の医療・介護制度の存在意義(川久保、原田)、所得保障と高齢者の就労要件(関)、障害者と異なる高齢者特有の意思決定支援の在り方(西森)、高齢者の住まいの特異性や入居差別(矢田)、認知症の特性と法制度への影響(鈴木)等を研究した。 本年度は研究の初年度であり、第一に、各人が文献調査により論点や課題を探るほか、論点を明らかにするために、多分野の研究者等を高齢者法研究会に招聘し報告後意見交換した(2021年7月:駒村康平(慶応義塾大学)「加齢が意思決定に与える影響ー金融ジェロントロジーの視点から」、9月:原田謙(実践女子大学)「職場と地域におけるエイジズム調査分析」、10月:上山泰(新潟大学)「成年後見制度利用促進専門家会議の議論動向―立法課題を中心に」、2022年1月:鈴木隆雄(桜美林大学)「認知症高齢者の徘徊データについて」、神保謙介(東京都福祉保健局高齢社会対策部・在宅支援課)「東京都の認知症等徘徊高齢者の保護施策について」)。 第二に、新型コロナウィルスとの関係で海外に渡航できなかったため、主に文献調査により日本と高齢社会先進国との比較法研究を進めた《関・西森・柳澤(アメリカ)、秋元(イギリス)、川久保・矢田(ドイツ)、原田(フランス)》。 第三に、研究協力者である研究者や実務家も参加する高齢者法研究会で研究成果を報告し討議することで、現場の課題を炙り出し、解決方法を探り、本研究遂行の土台とした。 第四に、世界各国の研究者との研究会のほか、2022年3月には国際シンポジウムをオンラインにより開催した。また、HPによる情報発信も随時行った。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
各研究者による文献調査、多分野の研究者や実務家、海外の研究者との意見交換を受け、「10.研究発表」に記載した形で各人が研究成果を公表した。 例えば、1)高齢者法の法理論との関係で関は高齢者法の課題や高齢者の功績、秋元は要保障性や「つながり」がもたらす利益、2)雇用との関係で柳澤は超長寿時代の労働法制や高齢者雇用、3)医療との関係で原田は医療保険制度における保健事業、4)介護との関係で川久保は地域包括ケアシステムにおける住民サービスと公的規制、5)所得保障等との関係で関は認知症高齢者の医療と生活保護、6)意思決定支援の在り方との関係で西森はフロリダ公的後見制度における財源確保と信託、7)住まいの保障との関係で矢田は自ら選ぶ終の住居等、8)認知症の特性と法制度への影響との関係で鈴木は認知症と転倒等について研究した。 高齢者法の法理論研究の先駆けである「高齢者法の多次元モデル」を提起したイスラエルのIsrael Doron教授を、2022年2月に高齢者法研究会に招聘した(同時通訳入りのオンライン開催)。"LAW and AGEING: A 25 YEARS PERSPECTIVE"について報告いただき、モデルの意図や今日的な意義、高齢者の権利条約をめぐる国際連合の動向等について意見交換をした。 3月には、信託と意思決定支援に関する国際シンポジウムの第二回を開催し(同時通訳入りのオンライン)、鍾岳恩弁護士(シンガポール)、Esther Tan氏(SNTC Singapore・ゼネラルマネージャー)及び木村仁教授(関西学院大学)の報告と、Lusina Ho教授(香港大学)及びRebecca Lee准教授(香港大学)のコメントを受けて議論した。 研究成果については、HP高齢者法Japanも参照されたい<https://elderlawjapan.ynu.ac.jp/report/>.
|
今後の研究の推進方策 |
2021年度にオンラインにより海外の研究者と行った意見交換は大変有意義であった。海外に渡航し対面で行う意見交換は、何よりの研究手法である。他方で、オンラインでの研究会やシンポジウムには、数日間の予定を調整して行う海外での実態調査には参加が難しい、弁護士や社会福祉士といった実務家も参加できた。特に、2021年度は研究会含めて一流の同時通訳者に依頼したため、多くの参加者が内容の共有や海外の研究者との意見交換をスムーズに行えた。さらに、研究会やシンポジウムの資料を事前に翻訳した点も、当日の議論等に大いに役立った。以上から、2022年度もオンライン研究会等のノウハウを生かし、海外の研究者との意見交換を進めていきたい。 研究の2年目となる2022年度は、第一に、2021年度に引き続き多分野の研究者や実務家を研究会に招聘するほか、文献調査により本研究テーマに関する論点や課題を探っていく。 2022年度も新型コロナウィルスとの関係で海外渡航の目途は充分にたっていない。そこで、第二に、主に文献調査という形で、2022年度と同様の形で、日本と高齢社会先進国との比較法研究を進める。 第三に、海外の研究者とのオンラインでの研究会を開催し、5月にはオーストラリアのJohn Chesterman博士を高齢者法研究会に招聘し、オーストラリアにおける成年者保護の将来について報告いただく予定である。高齢者法の法理論等について意見交換するために、Nina Kohn教授やAlexander A.Boni-Saenz教授等、高齢者法研究において重要な研究を行う世界各国の高齢者法の研究者とのオンラインでの研究会のほか、2023年3月には、オンラインでの国際会議を開催予定である(同時通訳を入れて行う)。 第四に、2022年度も各人が研究成果を高齢者法研究会等で報告し討議を重ねるほか、HPによる情報発信も随時行っていく。
|