研究課題/領域番号 |
23K20582
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補助金の研究課題番号 |
21H00680 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
高橋 百合子 早稲田大学, 政治経済学術院, 准教授 (30432553)
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研究分担者 |
飯田 健 同志社大学, 法学部, 教授 (50468873)
SONG JAEHYUN 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70822617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,990千円 (直接経費: 12,300千円、間接経費: 3,690千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 7,020千円 (直接経費: 5,400千円、間接経費: 1,620千円)
2021年度: 5,590千円 (直接経費: 4,300千円、間接経費: 1,290千円)
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キーワード | 回答者主導型サンプリング / 米国 / メキシコ / 移民 / 政治参加 / 非正規移民 / 在外投票 / 政治意識 / サーベイ / メキシコ移民 / フォーカスグループ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題は、在外メキシコ移民の政治意識および政治参加の実態について明らかにすることを目的とする。メキシコでは、国民の約1割が米国へ移民し、2006年以降、在外投票権も徐々に確立されてきた。在米メキシコ移民が出身国の政治についてどのように考え、どれくらい政治参加に関心を抱き、正確な選挙情報を入手しているのかについて調査を行う必要がある一方で、これまで体系的な研究は行われてこなかった。本研究はこの未解決の問いを解明すべく、米国とメキシコの関係各所の協力を得つつ、携帯電話を用いたオンラインサーベイとフォーカスグループ・インタビューを組み合わせる混合手法を用いた大規模調査を実施し、実証的に分析する。
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研究実績の概要 |
2023年度は、前年度に引き続き、在米メキシコ・非正規移民を対象とする回答者主導型サンプリング(Respondent-Driven Sampling、以下RDS)を用いたサーベイを実施した。米国には、メキシコの総人口の約10%に相当する、同国からの移民が滞在している。統計が存在する正規の移民に加えて、米国での滞在許可を持たない、多くの非正規移民が存在する。非正規移民は、強制送還を恐れて身元を隠して滞在している場合が多いため、サンプリングフレームを検討する際に必要となる公式登録が存在しない。こうした理由から、通常サーベイ方法を用いて母集団を推定することは難しい。RDSは、この方法論上の問題点を克服し、非正規民を対象として確率標本サンプリングを可能とする。 2023年3月に、米国イリノイ州のシカゴ市を中心とする数か所で、メキシコ移民コミュニティのリーダーからの協力を得つつ、RDSを実施するに至った。しかし、悪天候が重なり対面調査のスケジュールに遅れが生じたため、2023年度も継続して調査を行った。具体的に、シカゴ市内の北部、および南西部でRDSを実施した。その結果、合計で502名の参加者を募ることができた。 本科研の主要目的であるRDSを実施する過程で、在米メキシコ移民の政治意識・政治参加の実態は、正規か非正規かという移民としての地位のみならず、移民世代間で大きく異なることが明らかになった。本研究課題の目的を果たすために、この点についても理解を深めることが重要であるとの認識に至った。シカゴ市のデュポール大学のラティーノ研究センターの協力を得て、同大学の大学生を対象としたフォーカスグループ調査を実施するに至り、RDSにもとづくサーベイを補完することができた。暫定的な分析結果を、日本政治学会よび米国西部政治学会で報告し、研究の改善に向けて有益なフィードバックを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題の主要目的である、在米メキシコ・非正規移民を対象とした大規模サーベイを予定通りに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本研究課題の最終年度である2024年度は、研究成果の出版、および6月に実施されるメキシコ連邦選挙の在外投票の分析を予定している。まず、2022‐2023年度に実施したRDSの調査結果を論文にまとめ、国際学術誌に投稿することを目指す。暫定的な分析結果は、昨年度、国内外の学会で報告し、有益なフィードバックを得ることができた。報告を通して、①RDSの方法論的理解をさらに深める必要性、②政治学において近年、重要性を増しつつある在外投票研究への貢献を明確にする必要性を認識するに至った。これらの課題に取り組みつつ、本研究課題の成果についての論文を完成させ、査読付き国際学術誌へ投稿することに専念する。 また、2024年6月2日に実施される、メキシコ連邦選挙について、フィールド実験を実施することを計画している。本研究課題を開始した時には、この調査を予定していなかった。しかし、本研究課題の研究を進める過程で、メキシコ全国選挙管理機関(INE)の在外投票担当官との意見交換を行う機会を持ち、研究成果を共有する機会を得た。その結果、本研究課題はINEが実施するメキシコの在外市民向けの選挙情報キャンペーンに含意をもたらすに至った。その選挙情報キャンペーンが、実際に在外投票における投票参加の向上につながったかどうかを検証することは、重要な社会的意義を持つ。こうした認識の下、INEから協力を得つつ、在米メキシコ市民を対象としたオンライン・フィールド実験を行う可能性を検討している。
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