研究課題/領域番号 |
23K20584
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補助金の研究課題番号 |
21H00684 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分06010:政治学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
善教 将大 関西学院大学, 法学部, 教授 (50625085)
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研究分担者 |
曽我 謙悟 京都大学, 法学研究科, 教授 (60261947)
小林 哲郎 早稲田大学, 政治経済学術院, 教授 (60455194)
中谷 美穂 明治学院大学, 法学部, 教授 (60465367)
SONG JAEHYUN 関西大学, 総合情報学部, 准教授 (70822617)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,380千円 (直接経費: 12,600千円、間接経費: 3,780千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | コロナ禍 / 地方政治 / 信頼 / 大規模調査 / サーベイ実験 / 地方政府 / ビッグデータ / 知事 / オンライン調査 / 政治信頼 / 都道府県知事 / 意識調査 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、不確実性の高い社会における有権者の意識及び行動のメカニズムを、都道府県知事に対する肯定的態度に焦点をあてつつ解明することを目指す。そのために、これまでにない水準の大規模調査を複数回実施し、地方政治に対する信頼等の規定要因を明らかにすると同時に、これらの政治的態度が、国政という異なるレベルの政治行動に与える影響について明らかにする。
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研究実績の概要 |
2023年度における主な業績は、以下の通りである。第1は、2022年参院選後に実施した大規模意識調査を用いた分析結果に関する学会報告、および、論文の執筆である。2022年参院選後に、都道府県レベルの自治体首長に対する支持ないし信頼の実態を明らかにすることを可能とする、大規模な意識調査をオンライン上で実施した。この大規模調査の中に含めていた投票意向(propensity to vote)と党派性に関する質問を用いて、有権者の「支持の幅」の実態を、党派単位のみならず都道府県単位でも明らかにした。そして、関西圏を中心とする維新の躍進の背後にあった意識構造などを、地方政治の実態と関連づけながら論じた。その成果の一部を、2023年度の日本選挙学会で報告した後に、論文としてまとめ、公刊する準備を進めた。
第2は、2021年度に実施した兵庫、大阪、愛知、東京の有権者を対象に実施した、意識調査を用いた分析結果に関する学会報告、および、論文の執筆である。2021年8月に、先に述べた4つの都道府県に住む有権者を対象とする意識調査をオンライン上で実施した。その調査に含めていたコロナに起因する「医療崩壊」について、その責任がどの主体に帰属されていたか、また、責任帰属意識は党派性とどのような関係にあるかについて実証的に分析し、政党に対する拒否意識と責任帰属が強く相関する実態にあることを明らかにした。この研究成果を論文としてまとめ、査読付き学術雑誌に投稿し、公刊する準備を進めた。
以上にくわえて、地方自治における公共交通に関する研究や、行財政改革への意識に関する研究も行った。これらの成果についても学会報告や学術論文として公刊するなどしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初に計画していた通り、先行研究が明らかにしてきた以上に細かな地域の有権者の実態を把握可能な大規模意識調査を、2022年参院選後に実施することができた。この調査に加えて、2021年頃から蓄積してきた意識調査もある。2023年度は、これら複数の意識調査を用いた研究成果について、複数本発表・公刊することができた。以上より、本研究プロジェクトは、着実に進展していると評価できる。
しかしながら、その一方で、SNS(旧Twitter)の仕様変更など、計画当初には想定することができなかった様々な問題が浮上したことも事実である。さらに、コロナへの問題関心が急速に薄れてしまった。都道府県知事の存在感も、急速に低下した。これらの変動の結果、当初の計画通りに進めることができない問題が複数生じてしまった。研究プロジェクトの方向性についても、大幅に見直す必要性が生じている。これらを踏まえ、着実に進展はしているものの、「おおむね順調に進展している」と評価するにとどめた。
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今後の研究の推進方策 |
上述した現状を踏まえ、本研究プロジェクトは、コロナ禍や不確実性に大きく拘るのではなく、広く、都道府県を中軸とする地方政治・行政に対する支持、信頼、党派性といった、有権者の政治意識の実態、およびその規定要因や意識変動の帰結を、引き続き、オンライン上で実施する大規模な意識調査の分析を通じて明らかにしていくことを目指す。
具体的には、コロナ禍以降、あるいは、それ以前から議論されている「地方首長の党派性」について、その実態解明を行うこととする。日本の地方政治は、国政には見られないいくつかの特徴を兼ね備えている。例をあげれば、複数の政党が同時に一人の候補者を支持する(いわゆる「相乗り」)、あえて政党所属を外し「無党派」となって選挙戦を戦う、などである。このような地方レベルの首長の選挙戦略が、人々の地方政治、さらには国政レベルの政治にいかなる影響を与えるかは、実は、ほとんど明らかになっていない。くわえていえば、有権者が首長の党派性をどのように認識しているか、という基本的事実さえ、我々はほとんど理解することができてない。したがって2024年度では、都道府県を中心とする地方政治という視点は維持しつつも、昨今の地方政治をとりまく未解明の現象について、その規定要因や帰結の分析も踏まえつつ、明らかにすることを目指す。
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