研究課題/領域番号 |
23K20591
|
補助金の研究課題番号 |
21H00698 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07010:理論経済学関連
|
研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
藤原 一平 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50736874)
|
研究分担者 |
代田 豊一郎 青山学院大学, 経済学部, 教授 (80783951)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
13,520千円 (直接経費: 10,400千円、間接経費: 3,120千円)
2024年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2023年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2022年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
|
キーワード | ロボット / 代替・補完 / 自動化 / 労働市場 / タスク / 構造変化 |
研究開始時の研究の概要 |
「ロボットが仕事を奪う」ことに対する懸念が強まっている。こうした懸念を受けて、ロボット化についての学術的研究は増えているが、その 多くが理論的研究であり、実証研究は少ない。さらに、ロボット先進国である日本についての研究は、極めて限られたものにとどまっている。 本研究では、「ロボット化は経済活動 のあり方を変えてしまうのか?」といった問いに対し、理論的かつ実証的に答えを提示することを目的と している。 特に、日本では、労働力不足への対応としてのロボット化が提唱されていた経緯がある。このため、本研究では、経済情勢がロボ ット化に影響する、という逆の因果も考慮した分析を行う。
|
研究実績の概要 |
研究代表者、研究分担者と新たに加わった研究協力者(菊池信之介)との共著論文(Automation and the Disappearance of Routine Work in Japan)を、経済産業研究所のディスカッションペーパーとして公表した。 本研究では、1980年以降の日本における自動化技術の労働市場における影響について、自動化が代替しうるタスクを念頭に、多面的な検証を行った。わが国全体で観察される定型的作業を主とする職業の就業割合低下が自動化に起因するものかを考察するために、各産業の自動化技術進展がもたらす影響が、通勤圏ごとに、期初の産業構造に応じて異なることを用いて、通勤圏単位での実証分析を行った。第一に、自動化は、通勤圏全体の就業率に有意な影響をもたらさないことを発見した。より細かい労働者の属性に限定しても同様であり、また正規から非正規雇用への転換を促進する効果も観察されなかった。第二に、自動化は、製造業を中心とした定型的作業を主とする職業の就業割合を減少させ、通勤圏単位での労働需要をサービス業の非定型的タスクを主とする職種へとシフトさせることを示した。同時に、製造業とサービス業における、事業所数や売上出荷額の変化を調べると、自動化は製造業の規模をむしろ相対的に拡大させていることがわかった。第三に、自動化がもたらす労働需要の変化は、大卒未満、あるいは若い世代の労働者に対して、とりわけ観察されることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
今回のプロジェクトで最も明らかにしたかった、自動化が労働市場に与えた影響について、ディスカッションペーパーとして発行することができたため。
|
今後の研究の推進方策 |
ディスカッション・ペーパーとして発行した論文(Automation and the Disappearance of Routine Work in Japan)について、外部でのプレゼンテーションなどを通じて、コメントを受け、より分析を精緻化させた上で、学術誌への掲載を目指す予定。さらに、自動化を生じさせた要因にも着目し、80年代からの人手不足、90年代の円高が、自動化さらにオフショアリンゴをどのように加速させ、それが日本経済に不可逆的な影響を与えたかについて、分析していく予定。
|