研究課題/領域番号 |
23K20593
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補助金の研究課題番号 |
21H00702 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 成城大学 (2023-2024) 一橋大学 (2021-2022) |
研究代表者 |
岡田 羊祐 成城大学, 社会イノベーション学部, 教授 (30224033)
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研究分担者 |
林 秀弥 名古屋大学, 法学研究科, 教授 (30364037)
川濱 昇 追手門学院大学, 法学部, 教授 (60204749)
松島 法明 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (80334879)
西脇 雅人 大阪大学, 大学院経済学研究科, 准教授 (80599259)
早川 雄一郎 立教大学, 法学部, 准教授 (80737221)
佐藤 英司 福島大学, 経済経営学類, 准教授 (90707233)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2021年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
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キーワード | 競争政策 / 独占禁止法 / 産業組織論 / プラットフォーム / サプライチェーン / デジタル経済 / 産業組織 |
研究開始時の研究の概要 |
独占禁止法の執行に係る内外の審判決事例を素材として、デジタル経済の発展によって大きな変革を迫られている競争政策のあり方を分析・評価する。また、デジタル・プラットフォームや技術・データを集約的に利用するサプライチェーンに特徴的な行為類型に注目して、違法性判断の前提となる事実認定の妥当性を実証的に検討する。これにより、立法論・解釈論・政策論が混然一体となったバランスのとれた提言が可能となる。
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研究実績の概要 |
2023年度には主にデジタル経済における競争法による規律と直接規制の適切な組み合わせについて検討した。欧州で施行されたデジタル市場法(DMA)は、規制対象となる企業の多様性につりあいをとる形で規制内容がかなり複雑化する傾向にある。このような状況のもと、デジタル経済における競争政策はますます複雑で動態的な視点が求められている。 特に注目した事案として、2023年に米国で訴訟の進展が見られたEpic GamesによるAppleやGoogleに対する訴訟を詳細に検討した。例えば、モバイル・エコ・システムにおけるアプリストアにみられる「アウトリンク」(アプリストア以外の外部決済システムへと誘導すること)や「サイド・ローディング」(ブラウザ等を介してアプリストア以外からダウンロードすること)を禁じる取引慣行に風穴を開けようとする訴訟や、代替的なアプリの流通経路や決済システムをアプリストア側に認めさせようとする事前規制の動きが各国に広がっている。これらの動きに対する競争当局や規制当局の担当者との意見交換の機会を設けてメンバーの理解の深化と共有化を図った。さらに、2024年1月に大阪公立大学およびASCOLA Asiaとの共催による国際シンポジウム(Digital Regulation in Korea and Japan: Comparative Studies and Dialogue)を開催し、韓国と日本の規制や欧米の規制動向の比較検討を行った。 これらの検討を通じて明らかとなったのは、デジタルプラットフォームのビジネスモデルに見られるバンドリング(bundling)のような行為類型の違法性の判断が極めて難しい課題として浮上していることである。バンドル・ディスカウントのような複雑な条件付価格設定は技術的にますます容易になっており、その違法性の判断を難しくしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
デジタル経済における競争政策では、事前規制を行う多くの個別規制法等と事後規制である競争法との相互調整を如何に図るかが課題となっている。イノベーションを巡る技術変化が速いデジタル分野で競争法の的確な運用を行うためには、国際的な規制動向と事例の詳細な検討を進めることが不可欠であり、この点に関して研究者や実務家を招いた意見交換や研究会を開催することによって、最新の動向について理解を深めることができた。以上の理由から、研究計画はおおむね順調に進捗していると判断する
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今後の研究の推進方策 |
これまで検討を進めてきたデジタル経済における市場支配力や厚生基準の適用ルールと現実の規制政策や判例動向との整合性が実務的に十分でないとの現状認識に立ちつつ、また、欧州のDMAの施行や、日本でも「スマホ特定ソフトウェア競争促進法案」が国会に提出される方向にある。これらの動きによってデジタル経済のサプライチェーンの流動化がさらに促されつつあるなかで、競争政策の事後規制と事前規制の最適バランスを適切に再定義する必要性がますます高まっている。そこで、デジタル経済の新たな規制に関わる関連諸法の研究者や実務家との交流をさらに広げつつ、本研究課題の検討を進めていく。特に2024年度は、イノベーション政策や知的財産政策に関連する研究者との協力関係を拡大させつつ、規制政策と競争政策の関係について理解を深める予定である。そのために、引き続き幅広い分野の研究者をゲストスピーカーとして招いたセミナーを定期的に実施する。
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