研究開始時の研究の概要 |
国際貿易における国境に相当する境界効果は, 一国内であっても自然条件や過去の国境など歴史的経緯に起因する地域圏境で確認され, 各圏内で市場統合の傾向が報告されてきた. 既存研究は, その主要因として地域における嗜好の歴史的経路依存性に注目している. 本研究は日本の青果物市場に焦点を当て, この「地域固有嗜好仮説」の初めての系統的な実証を試みる. 具体的には, 各地の消費支出と市場価格の時系列データを用い, 地域間の嗜好類似性と市場統合度の因果関係を実証する. 特に, モデルの識別において, 日本全国を網羅する歴史的方言・旧街道網に関するミクロ地理データを経済分析に初めて用い, 斬新な操作変数を構築する.
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