研究課題/領域番号 |
23K20600
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補助金の研究課題番号 |
21H00713 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07040:経済政策関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
遠藤 正寛 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (80281872)
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研究分担者 |
大久保 敏弘 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (80510255)
風神 佐知子 慶應義塾大学, 商学部(三田), 教授 (00510851)
笹原 彰 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 准教授 (30895751)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2024年度: 4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 5,850千円 (直接経費: 4,500千円、間接経費: 1,350千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | グローバリゼーション / コロナショック / インクルーシヴ / 労働市場 / 輸入競争 / グローバル・バリュー・チェーン / 波及効果 / 雇用創出 / デジタル経済 / 社会的規範 / 雇用 / 非認知能力 / 在宅勤務 / 賃金 / 家計調査 / 労働 / テレワーク / 機械化 / ジェンダーギャップ / 事業所 |
研究開始時の研究の概要 |
職を持ち所得を得ることは、個々の労働者が日々生活していく上で必要不可欠なことである。本研究課題では、その基本的な経済活動に欠かせない「労働」について、3つの視点からアプローチする。第1に、グローバリゼーションの資源再配分効果は労働市場に強く影響する。第2に、コロナショックはテレワークの拡大・消費需要の減少を通じて労働市場を決定的に変質させた。第3に、これらの経済効果を分析するには家計行動・企業行動の異質性の理解、グローバリゼーションとコロナショックの相互作用について理解が必要である。これらの視点から貿易政策・労働政策を考える上で重要な政策的含意を提供することを目指す。
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研究実績の概要 |
2023年度は以下の4つの成果を得た。 第一に、輸入が雇用に及ぼす影響では、中国からの輸入の増加が日本と米国の製造業の雇用に与える影響を実証的に検証し、特に中間財輸入の影響が2国間で大きく異なること (日本では正の効果、米国では負の効果) を明らかにした。そして、日米間の対照的な雇用への影響は、2国間でグローバル・バリュー・チェーンへの統合パターンが異なること、具体的には、日本はより深くチェーンに統合されている一方で米国はそうではないという状況が関連していることを明らかにした。 第二に、生産性と雇用の波及効果の関係では、都道府県の産業連関係数(IO乗数)と部門別全要素生産性(TFP)の違いが総所得にどのように反映されるか明らかにした。また、IO乗数と生産性の関係から、雇用創出について実証分析を行った。その結果、生産性の高い部門の波及効果は低く、県内で増幅されず、さらに、生産性の高い部門が生み出す雇用は他の部門よりも少ないことがわかった。 第三に、IT・パンデミックと労働の関係では、デジタル経済の進展における労働と自動化との代替・補完関係について、日本の就業者実態調査を用いて明らかにした。さらに、テレワークの利用は特定の職種で盛んになっており、出勤に比べると効率性が低くなるものの幸福度や仕事満足度は高いことが分かった。また、感染症蔓延(新型コロナ感染症やスペイン風邪)の下での行動規制は、日本では法的規制はなかったが、社会的規範による抑止効果が非常に大きいことが分かった。 第四に、インクルーシブな貿易政策については、これまでの本研究課題の成果と他の先行研究を基に分析を行い、日本において貿易だけを対象にした雇用調整策を導入する必要性はあまりないこと、労働市場の調整機能を高める政策が有効であること、貿易調整支援制度は自由な貿易を維持する政治環境を整えるには有用であることを論じた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
グローバリゼーションとコロナショックが労働市場に及ぼす影響を包括的に把握するという本研究課題の目的が、研究代表者・分担者の密な協同作業と多くのその成果によって、達成されつつある。
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今後の研究の推進方策 |
2024年度は本研究課題の最終年度であり、当初想定していたように、これまでの研究の成果を論文にまとめたり、国内外の学会で報告したりすることで、本研究課題の成果を次の段階の研究につなげることを目指す。
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