研究課題/領域番号 |
23K20622
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補助金の研究課題番号 |
21H00739 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
仙石 愼太郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00401224)
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研究分担者 |
木村 英一郎 東京工業大学, 環境・社会理工学院, 教授 (00985616)
後藤 励 慶應義塾大学, 経営管理研究科(日吉), 教授 (10411836)
児玉 耕太 名古屋市立大学, データサイエンス学部, 教授 (90419424)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2022年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 経営戦略論 / 経営組織論 / 技術経営論 / 公共政策論 / 規制科学 / 医薬品開発 / 医療経済効果 / 費用対効果 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、社会的な規制・制度が研究開発・イノベーション活動に及ぼす影響を観察し、その促進(あるいは阻害)プロセス・メカニズムの理解をもとに、この両者を共進させるための規制・制度設計と企業行動論について考察する。規制産業の事例としてヘルスケア産業に着目し、公共政策・制度論及び経営戦略・組織論の2つの視座と6つの論点を設け、医薬品・医療機器、機能性食品やデジタルヘルス等の事例をもとに深耕する。そのもとで、企業がグローバルな事業活動とローカルな規制・制度への対応をいかに両立しうるか、技術・イノベーション経営論の視座からその方策を探求する。
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研究実績の概要 |
下記の各研究課題を実施した: ①-1 法規制とイノベーション:2022年度に構築した統合的イノベーションマネジメントモデルの展開と検証を進めた。①-2 技術規格・標準とイノベーション:構築した医薬品・医療機器の調査パネルを運用し、技術標準化と技術プラットフォーム形成の共進に基づくオープンイノベーションモデルが、新規モダリティ医薬品のイノベーションに及ぼす影響を評価した。①-3 公的医療とイノベーション:医学系研究者と共同し、医療の経済効果に関する研究を、感染症に関する検査、小児に対する予防医療等、研究が行われてこなかった分野において行った。また、アルツハイマー型認知症のバイオマーカー検査に着目した動向分析の結果、特定の研究者を中心としたネットワークが本分野の新たな研究トレンドを形成・推進していた。さらに、複数の特異的血液バイオマーカー検査の導入は、治療の費用対効果を向上させることを示した。 ②-1 知識・技術融合:2022年度の成果の発展的検討として、機能性表示食品・企業のパネルデータを分析した。結果、企業の制度への関与と自社治験の実施選好が有意に相関し、積極的な規制対応がイノベーションに正の影響を及ぼすことが示唆された。②-2 企業境界と連携:構築した製薬企業・製品パネルデータを運用し、展開地域と治療領域の選択と集中の影響度を分析・検証した結果、 大企業は地域重視により高業績を達成する一方、 中堅・中小企業は、治療領域重視により達成する傾向が見いだされた。また、企業間の間取引ネットワークの変化に着目し、米国と英国のスピンオフ企業の資金調達額に影響を与える要因を検討した。結果、スピンオフ企業による資金調達額は、その企業間の媒介中心性と、国際的な組織間取引の数によって正の影響を受けることが示された。②ー3 産学公連携コンソーシアム:昨年度より継続して進行中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究計画を滞りなく遂行し、研究成果を9本の査読付国際誌論文として出版した。 [仙石・木村] ①-1で構築した統合的イノベーションマネジメントモデルを演繹し、特に規制・制度とイノベーションの関係性について、本課題で得られた知見の統合に努めた。②-1で構築した企業DBを運用し、上述の研究成果を踏まえ、継続的に研究を進めている。 [児玉] がん領域と中枢神経領域で得られた研究成果を希少疾患領域へ展開している。これまでのところ、希少疾患用医薬品のドラッグロス解消のためには、日本国内のスタートアップの育成支援や米国のスタートアップの国内での治験の促進施策が重要であることが示唆された。 [後藤] 個々の医療技術に対する経済評価と共に、政策として行われている医薬品・医療機器等に関する費用対効果評価を実行中である。企業側が提出する分析をレビューする公的分析班の経験が一年に4~6品目進み、医療技術評価や医療技術の価値についての企業と公的機関との視点の違いなどについて、情報が徐々に蓄積されている。
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今後の研究の推進方策 |
本年度の研究成果を踏まえ、社会的な規制・制度が研究開発・イノベーション活動に及ぼす影響を観察し、その共進的な発展のプロセス・メカニズムを理解し、企業のグローバルな事業活動とローカルな規制・制度対応の両立の在り方を探究する。具体的には、以下の研究分担のもとで実施する [仙石] 公共政策・制度論の研究成果である統合的イノベーションマネジメントモデルに立脚して、経営戦略・組織論の視座から、各種の規制・制度的要件が企業行動に及ぼす影響をモデル化し検証する。その理解のもとに、制度・規制とイノベーションの共進性と企業行動を統合的に考察・検証する。 [木村] 機能性食品分野において得られた研究成果の社会普及を図る。具体的には、一般社団法人健康食品産業協議会との連携によりワークショップ参加企業の事例を詳解すると同時に、業界アンケート等を実施して更なる健全な市場拡大を実現するための課題を整理する。更に、直近で社会的な問題になっている食品の安全性確保についても機能性表示食品の製造工程管理の観点から検証する。 [児玉] 医薬品領域で得られた一連の研究成果を、デジタルヘルス・モバイルヘルス領域に展開する。具体的には、医薬品の開発と、デジタルヘルス・モバイルヘルス領域でのサービス開発を比較し、両分野の国際間の同一性や差異の分析をもとに、イノベーションの差異や特性を踏まえた制度・規制の改革案について考察したい。 [後藤] 個々の医療技術に対する経済評価を続けていくと同時に、経済評価の分析結果を政策意思決定に反映する際の問題点についてもまとめ、学会報告や学術論文等の発表を行っていく。その際、企業と公的機関との医療の価値評価の目的の違いを明らかにし、その違いを調整するメカニズムについても検討を行っていく。 本年度後期に成果報告の国際シンポジウムを開催し、国内外の有識者を交えた協議と成果発信の機会とする。
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