研究課題/領域番号 |
23K20624
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補助金の研究課題番号 |
21H00741 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分07080:経営学関連
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研究機関 | 東京都立大学 |
研究代表者 |
桑田 耕太郎 東京都立大学, 経営学研究科, 客員教授 (50186558)
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研究分担者 |
松嶋 登 神戸大学, 経営学研究科, 教授 (10347263)
吉野 直人 西南学院大学, 商学部, 教授 (20710479)
山内 裕 京都大学, 経営管理研究部, 教授 (50596252)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2024年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2023年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2022年度: 3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)
2021年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
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キーワード | 組織学習 / 組織インテリジェンス / 組織ルーティン / 異種混交のエコロジー / 実践のエスノメソドロジー / 実践のエスのメソドロジー / 創造性 |
研究開始時の研究の概要 |
組織学習論の理論的なユニークさは,組織の安定と変化を一貫した論理で説明した点にある.組織論の泰斗でいち早く組織学習の現象に注目してきたJ. G. Marchは,組織学習と組織インテリジェンスを明確に区別し,前者を価値中立的概念,後者を組織の長期的な成長・発展に貢献する能力として定義した.その上で,組織学習における知識の探索と活用は,どちらがインテリジェンスにつながるかという単純な関係でとらえることはできず,適切なバランスの上にインテリジェンスの追求がなされると指摘した(March,2010).本研究は価値中立的な組織学習観を基礎に,組織学習と組織インテリジェンスの関係を解明することにある.
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研究実績の概要 |
研究期間3年目となる2023年度は,これまでの組織学習のエコロジーと組織インテリジェンスに関する文献レビューや,経営学における創造性研究に関する理論的研究を基礎に、フィールドワークを積極的に遂行し,理論的・実証的研究を進めてきた. 研究分担者の松嶋は,組織学習が実践される場をフィールドワークの対象とし,学習が実践される場の概念の源流と言えるレヴィンやその後継としてのリッカートやアージリスの集団力学の概念のレビューを行った.吉野は組織ルーティンのダイナミクスを視座に,組織ルーティンの学習が組織インテリジェンスに結びつかない可能性について,その結果生じる組織事故に関する理論的・実証的研究を行なった.山内は組織インテリジェンスとしての創造性における美学との関係を研究するとともに,知識の探索と活用を同時に追求する両利き経営の実践について,組織学習の視座から研究してきた. 研究代表者である桑田は,組織学習概念の包括的レビューを基礎に,アントレプレナーシップや企業組織の創造性と革新性に関して,次世代放射光施設という場が果たす様々な利害関係者の巻き込み現象と,組織インテリジェンスの向上を目的とするコアリッションのフィールドワークを行うとともに、研究分担者が取り組んできた最新研究に対して大局的な理論的含意を与えてきた. これら一連の研究は,組織学習がエコロジカルなダイナミクスにおける常態として認識論的基礎となり,組織学習が組織インテリジェンスの追求に結びつく保証がないことを明らかにしてきた.2024年度は,引き続きフィールドワークを積極的に遂行していくとともに,緊密な研究連携を目的とした研究会を開催し,組織学習と組織インテリジェンスに関する新たな理論構築の方向性について議論を重ね,関連する国内外の学会で報告し,最終的には体系的な書籍として研究成果を発信していくことを目指していく.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度までの研究レビューや実証的フィールドワークを通じて,本研究プロジェクトの目的である組織インテリジェンスにつながる組織学習のエコロジーを,デザインされた人工物や社会物質性,ルーティン,利害関係者の巻き込みなど最近の経営学の諸概念との関係で解明するために必要な,根源的かつ理論的・実証的な基礎を構築することができた. 第1に,松嶋が明らかにしてきたように組織学習が個人学習と区別される根源的な場として,電磁場の概念を基礎としたフィールド概念があることや,吉野が解明してきたように組織ルーティンの遂行的側面が,創発特性としての創造性と密接に関係することが示されてきた.また組織学習が価値中立的な概念であるのに対し,山内は組織インテリジェンスという概念が,美学的な意味を含意していることを明らかにしてきた. 第2にこうして新たな視点から明らかにされて組織学習と組織インテリジェンス概念を基礎に,組織学習が実践される場のフィールドワークが蓄積されてきた.松嶋は社会物質性をキーとした学習の実践の場としての教育現場をフィールドとし,また吉野は組織学習が組織インテリジェンスに結びつかない可能性としての組織事故に関する研究をルーティンダイナミクスの視座から研究してきた.山内は組織学習における知識の探索と活用の両立をはかる両利き経営の実践事例として,ソニーにおけるCMOSイメージセンサーの開発事例を分析し,桑田は最新鋭の放射光施設における放射光科学者,施設利用科学者や企業の研究者などの利害関係者を巻き込んだコアリションのマネジメントのフィールドワークを行ってきた. 2023年度までに蓄積されてきた成果を,古典的な組織学習理論から,最近のデザイン科学,創造性,社会物質性などとの関係で統一的な研究にまとめ上げることが,次年度以降の残された課題である.
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今後の研究の推進方策 |
研究期間4年目となる2024年度は,これまで行ってきた文献レビューや,経営学における創造性研究に関する理論的研究,フィールドワークを基礎に,最終年度に向けて組織学習のエコロジーと組織インテリジェンスに関する体系的な書籍の発行を準備する. 研究代表者の桑田は我が国が世界に誇る放射光施設をフィールドワークの対象とし,放射光施設,大学,企業の研究者とともに地域社会のアクターが織りなすエコロジーを対象に,また松嶋は企業や地域を巻き込んだ組織的な教育と学習の場をコミュニティースクールへ求め,社会物質性に基づいた組織学習と組織インテリジェンスの向上に関する社会実装を研究する.吉野は組織ルーティンの遂行性の視座を導入し,官僚制組織の創造性という組織インテリジェンスの発現と組織事故のようなインテリジェンスの喪失との関係を解明し,ストラテジック・ラーニングを提唱した桑田の理論的願意を発展させた理論的・実証的研究を行う.山内は近年注目されているデザイン思考の理論的含意を踏まえつつ,創造性における美学の視点から,単に問題解決ができると言ってレベルを超えたインテリジェンス概念の精緻化と,その実践が行われる場のエスノメソドロジー研究を進めていく. 研究代表者である桑田は,組織学習概念の包括的レビューを基礎に,アントレプレナーや企業組織の創造性と革新性に関するフィールドワークを行うとともに、各研究分担者が取り組む最新研究に対して大局的な理論的含意を与えていくために,研究会を主導していく. こうした緊密な研究連携を基礎に,それぞれのフィールドワークを基礎とした新たな理論構築の方向性について議論を重ねていく. 研究成果は,組織学会や経営学説を専門とする経営学史学会等,関連する国内外の学会での報告で報告していくことを念頭に置いており,最終的には体系的な書籍として研究成果を発信していく.
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