研究課題/領域番号 |
23K20645
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補助金の研究課題番号 |
21H00777 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08010:社会学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
津谷 典子 慶應義塾大学, 大学共通, 教授 (50217379)
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研究分担者 |
黒須 里美 麗澤大学, 国際学部, 教授 (20225296)
石井 太 慶應義塾大学, 経済学部(三田), 教授 (50415816)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
10,920千円 (直接経費: 8,400千円、間接経費: 2,520千円)
2024年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
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キーワード | ライフコース / 長期的視点 / 結婚と家族形成 / 長寿化 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、1950~2020年の戦後期を中心に、将来人口推計により2070年までの将来を展望し、さらに戦前の人口統計と18~19世紀の人口史料を用いて近世期にまで遡ることにより、日本の男女のライフコース変化を長期的視点から多面的に実証分析することを目的とする。分析対象とするライフコースとは、出生、結婚、家族形成、死亡などの人口イベントにより形成されるプロセスを指し、本研究では、①イベントを経験するタイミング、②あるイベントを経験した者が次のイベントを経験する割合、③イベントを経験する順序、④イベントを経験する要因という4側面に焦点を当てて定量的分析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究は、1950~2020年の戦後期を中心に、将来人口推計を用いて2070年までの将来を展望し、18~19世紀の近世人口史料を用いて歴史的変化をたどることにより、わが国の男女のライフコース変化を長期的視点から実証分析することを目的とする。本研究が分析対象とするライフコースとは、出生、結婚、家族形成、死亡といった人口イベントにより形成されるプロセスを指す。 2023年度は、過去2年間にわたり行った本研究の柱である死亡・寿命及び結婚とその解消(離別・死別)そして再婚のトレンドとパターンについて、戦後を中心とした現代、今後50年間の将来、そして18~19世紀の近世を対象として、それぞれについて多相生命表を用いて分析することを中心に研究を進めた。ここでは特に、結婚とその解消及び(配偶関係別の)死亡への遷移確率とタイミングの推計に焦点を当て、そこから様々なライフコース指標を作成した。多相生命表という同一の分析手法を用い長期間を網羅した複数の実証分析の結果を基に、わが国の男女の結婚行動と寿命の長期的変化をライフコースの視点から総合的に検討・考察した。これらの研究成果は、2023年6月の日本人口学会第75回大会において企画セッション(「長期的視点からみた日本の結婚行動」)を組織し報告された。これらの研究報告は、4本の論文として学術誌にまとめて掲載されることが決定している。 また、2022年度に行った18~19世紀の人別改帳情報を用いて構築したミクロパネルデータに、精緻化したイベントヒストリー分析モデルに適用することにより、近世における人口移動のパターンと要因の多変量解析を行った。そして、その成果を英文論文にまとめて国際学会で報告した。さらに、変化する死亡率・寿命についての分析手法とその応用についての研究成果をまとめ、英文モノグラフとして刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2023年度は、2022年度から行っているライフコースの視点からみた結婚行動の長期的変化の実証研究の結果を4本の報告(分析手法としての結婚の多相生命表、及び現代、将来、近世の結婚行動の変化)としてまとめ、学会で企画セッションを組織して報告した。結婚行動は社会経済変動に伴う変化が大きい人口行動であり、多相生命表は、初婚、離別・死別、再婚といった一連のライフコースイベントによる配偶関係の変化について、死亡率(寿命)の影響を加味して包括的に分析するための有効な手法である。本研究では、(本来、クロスセクションデータを対象として構築された)結婚の多相生命表を歴史人口のミクロパネルデータに適用するために、修正と拡張を行って分析を実施することにより、上記の研究成果につなげることができた。これらの研究成果は複数の論文としてまとめられ、学術誌の特集号として掲載されることが決定している。さらに、死亡率変化(長寿化)の分析手法とその応用について、過去3年間の研究成果を英文モノグラフとしてまとめ刊行した。 以上のような理由で、本研究課題の進捗状況は「おおむね順調に進展している」と自己評価した。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は本研究の最終年度であり、本研究の集大成として、現代、将来、過去(近世)における男女の結婚行動について、寿命(死亡率)の変化の影響を加味して、ライフコースの視点から長期的に実証分析した成果をまとめる。これらの研究成果は4本の論文として学術誌に特集号として掲載されることが決定しており、現在その執筆を行っている。 さらに今年度は、ライフコースを形成するもうひとつの主要イベントである家族形成について分析を行う。特にここでは、近世人口史料を用いて、出生順位別の出生のタイミングと間隔を示す変数を含むミクロデータを構築して多変量解析を行うことにより、家族形成プロセスのパターンと要因を実証分析する。さらに、近世の家族形成パターンを現代人口のパターンと比較・検討し、その成果を学会で報告することを予定している。 そして、これらの実証分析の結果を総合的に検証・考察し、ライフコースからみたわが国の男女の結婚行動と家族形成そして寿命の長期的変化についての知見をまとめ、総括することをめざす。
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