研究課題/領域番号 |
23K20653
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補助金の研究課題番号 |
21H00791 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
杉崎 千洋 島根大学, その他部局等, 名誉教授 (60314613)
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研究分担者 |
小野 達也 桃山学院大学, 社会学部, 教授 (30320419)
金子 努 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 教授 (70316131)
松崎 吉之助 相模女子大学, 人間社会学部, 准教授 (60736114)
正野 良幸 京都女子大学, 発達教育学部, 講師 (90514167)
富井 友子 十文字学園女子大学, 人間生活学部, 准教授 (60643707)
田中 涼 美作大学, 生活科学部, 講師 (70850030)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
8,970千円 (直接経費: 6,900千円、間接経費: 2,070千円)
2024年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 心不全患者 / 再入院減少 / その人らしい地域生活 / 地域連動型支援プログラム / 病院・診療所起点 / 再入院の社会的要因 / 社会的処方 / 地域連動型支援プログラム開発 / 心不全 / その人らしい地域生活のできる限りの延長 / 心不全患者の病いの経験 / 病院・診療所 / 病いの経験 / 心不全の経験 / 再入院 / 社会的要因 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、医学的要因だけでなく、社会的要因(貧困や社会的孤立など)によっても再入院しやすい心不全患者を対象にした地域連動型支援プログラムを開発することです。このプログラムは、心不全患者の貧困や社会的孤立を発見し、軽減することを通して、再入院の減少、その人らしい地域生活のできる限りの延長を目指すものです。 心不全患者を対象としたこうしたプログラムは、おそらく国内にはなく、完成すれば、心不全患者の利益になると考えます。また、再入院を繰り返しやすい他疾患患者にも応用できる可能性があると考えます。、、
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研究実績の概要 |
本研究の4つの柱に沿い、研究実績の概要を記す。①心不全患者の再入院要因研究:心不全患者の前向き観察研究により、再入院の社会的・医学的要因を明らかにすることが目的である。協力病院に入院した心不全患者に対し、入院時調査を実施した。新型コロナによる調査遅延に伴い、調査期間を延長の上、2023年7月に終了した。87名から有効回答を得ており(有効回答率86.1%)、データ分析を行っている。また、同対象者に対し退院6か月後、1年後の追跡調査も実施している。 ②心不全患者の病いの経験研究:研究の目的は心不全者の生活や仕事上の困難とその対処戦略、病いをもつ自己の意味の受け止めの変遷を明らかにすることである。2023年度は心不全患者3名のインタビューを実施し、予定していた11名すべての調査を終了した。得られたデータの分析を行い、結果を日本社会福祉学会第71回秋季大会、協力医療機関倫理委員会で報告した。 ③社会的処方研究:孤独・孤立対策に関し、イギリスの社会的処方の援用検討を目的にノッティンガム市およびロンドン・マートン区での現地調査を行った。ノッティンガム市では、NHS社会的処方担当者と地区リンクワーカーに対して、マートン区では、Age UK Merton職員、マートンカウンシルのチームマネージャー、NHS South West Londonの社会的処方責任者等にヒアリング調査を実施した。 ④心不全患者の地域連動型支援プログラム開発研究:CD-TEP法を参照しながらステップを積み重ねてきた。実践者も参加する松江チーム、厚木チームの研究会、研究者のみの研究会により進めてきた。松江市や厚木市での現状分析・ニーズ把握を行い、グッドプラクティスとしてイギリス社会的処方の調査も実施した。成果として、研究者によるインパクト理論とプロセス理論を核とする効果モデルの暫定版を作成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
研究の4つの柱のうち、①の心不全患者の再入院要因研究は病院で実施したため、新型コロナウイルス感染症による調査の中断が何度かあった。調査期間の延長を行ったため、当初の予定より半年程度進捗が遅れている。③のイギリス社会的処方の現地調査は、研究代表者の体調不良のため、1年遅れて実施した。②の病いの経験研究は、当初新型コロナウイルス感染症による調査の遅れがあったが、病院の協力により、調査・分析はほぼ計画通り進んでいる。 ④の地域連動型支援プログラム開発は、①③の研究の遅れの影響を受けたため、研究者による暫定版の作成に遅れが生じ、現場実践者を交えたその検討は厚木チームでしかできなかった。
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今後の研究の推進方策 |
①心不全患者の再入院要因研究:協力病院に入院した心不全患者の退院6か月後、1年後までの心不全増悪による再入院の有無などを調査する。追跡調査終了は2024年8月頃の予定である。データ分析により心不全患者の再入院要因を明らかにし、学術誌への投稿、学会報告の準備を進める。また、④支援プログラム開発研究の場において報告し,プログラム開発のエビデンスとして開発メンバーや現場実践者と共有していく。 ②心不全患者の病いの経験研究:心不全患者に対する調査、分析は2023年度で終了している。2024年度は調査結果について学術誌への投稿を行う。また、調査分析結果を支援プログラムのエビデンスとして活用できるよう内容を整理し開発メンバーや、他の関係者との共有と理解を深めていく。 ③社会的処方研究:ヒアリング調査結果および収集資料を整理し、支援プログラム開発研究の場において報告していく。また、2023年度イギリス調査で訪問できなかったシェフィールド大学教員のオンライン調査を実施し、シェフィールドおよびロザラム地区における社会的処方の取り組みや実践方法、その効果についてヒアリングを実施する予定である。 ④地域連動型支援システム研究:研究者作成の効果モデルの暫定版をもとに、第1次効果モデル試行版の完成を目指す。具体的にはイギリス現地調査を含むこれまでの調査の知見を研究者により整理し、暫定版をブラッシュアップする。その上で、松江チーム、厚木チームの現場実践者も参加するワークショップ等を実施し、インパクト理論、プロセス理論、効果的援助要素リストなど、効果モデルの5アイテムの検討を行う。これらをもとにブレーンストーミング等で自由に意見を出し合い、実践的、かつ魅力的なプログラムの構築を目指す。ワークショップ等の検討の場で出された意見、指摘等をさらに整理して、第1次効果モデル試行版を完成させる。
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