研究課題/領域番号 |
23K20658
|
補助金の研究課題番号 |
21H00796 (2021-2023)
|
研究種目 |
基盤研究(B)
|
配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
|
研究機関 | 明治大学 |
研究代表者 |
小関 隆志 明治大学, 経営学部, 専任教授 (20339568)
|
研究分担者 |
野田 博也 愛知県立大学, 教育福祉学部, 教授 (00580721)
角崎 洋平 日本福祉大学, 社会福祉学部, 准教授 (10706675)
南野 奈津子 東洋大学, 福祉社会デザイン学部, 教授 (20623705)
吉中 季子 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 准教授 (70434800)
佐藤 順子 佛教大学, 専門職キャリアサポートセンター, 講師 (80329995)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
|
配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
|
キーワード | 金融排除 / 金融包摂 / 外国人 / 移民 / 母子世帯 |
研究開始時の研究の概要 |
在留外国人が、日本で生活するうえで様々な金融サービス(銀行口座、貸付、送金、保険など)を利用する必要がありますが、その際にどのような障害があり、改善すべき点があるのかを明らかにするのが、本研究の目的です。 外国人特有の金融排除として、在留資格・在留期限の制約や、言語・文化の壁、マネーロンダリング・テロ対策の影響などが考えられますが、実態はほとんど解明されていません。 さらに、金融と密接に関係する家計管理の面でも課題があります。 本研究は、在留外国人に対する調査をはじめとして、家計・金融教育の試行と効果検証、海外(フランス)での視察を組み合わせ、多様な視点から外国人の金融包摂のあり方を追究します。
|
研究実績の概要 |
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:在留外国人への調査を実施した。第1回調査では、ほとんどの回答者は銀行口座を保有しており、あからさまな外国人差別はないものの、クレジットカードや借り入れを断られた経験を持つ人は多く、また日本の金融サービスへの違和感・抵抗感、知識不足、言語の壁を感じる人も目立った。第2回調査では、金融機関の外国語対応が普及していないこと、回答者の1割前後は家計が苦しいことなどが明らかになった。 他方、在日ネパール人労働者・留学生に金融サービス利用の状況を聞き取ったり、外国人支援団体の関係者に在留外国人の概況を聞いたりして、金融排除の実態把握に努めた。 (2)送り出し国の課題:日本渡航前の労働者への金融教育について調査を行った。具体的にはフィリピンとインドネシアにおいて、日本に渡航予定の労働者・留学生、日本からの帰国者、金融教育や渡航者教育を行う政府機関や民間団体の責任者に調査した。フィリピンは政府による渡航前教育プログラムの受講が義務付けられているが、金融教育は極めて短期間で、内容的にも限られたものであった。他方インドネシアは、渡航予定の労働者・留学生に対して、一般的な内容の金融教育しか行われていなかった。総じて渡航前の労働者に対する金融教育が不十分であることが明らかになった。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:全国の母子生活支援施設に調査を行い、外国人入所者に家計管理支援をどのように行っているのかを尋ねた。母子生活支援施設の入所者に占める外国人母の割合は10%程度で増加傾向にあるが、言語の壁、金銭感覚の違い、社会保障制度に関する知識の欠如により、施設職員が外国人母に家計管理を支援することの困難を感じていること、また家計改善支援事業の利用が普及していないことが明らかとなった。他方、フランスの家庭経済ソーシャルワーカーに関する図書の翻訳作業を進めた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:在留外国人労働者・留学生に対する調査に関しては、(株)グローバルトラストネットワークス(GTN)に委託し、当初の予定通りにアンケート・インタビューを実施することができた。他方、ネパールの銀行と連携して在日ネパール人の口座開設や送金を行う第一勧業信用組合の利用者を追跡して効果を測定する件については、第一勧業信用組合がネパール人の口座開設や送金を始めて間もない段階で、実績がほとんど挙がっていなかったことから調査を先延ばしすることとし、代わりに同信用組合の紹介によりネパール人コミュニティの協力を得て、在日ネパール人労働者・留学生・事業者等にインタビューを実施した。 困窮者への緊急支援・公的貸付に関しては、生活福祉資金のコロナ特例貸付について2021年8月頃に社会福祉協議会に調査を行う予定を立てていたが、コロナ禍による移動制限に加え、社会福祉協議会がコロナ特例貸付の対応に忙殺され、調査を行える状況にはなかった。そのため研究費の繰越申請を行い、次年度に調査を行うこととした。 (2)送り出し国の課題:労働者の送り出し国における金融教育の実態調査に関しては、(株)かいはつマネジメント・コンサルティング(KMC)に委託し、当初の予定通りに文献調査およびアンケート・インタビューを実施することができた。コロナ禍の移動制限のため日本人スタッフが現地を訪問することはできなかったが、代わりにオンラインでインタビューを行った。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:全国母子生活支援施設(全母協)の協力を得て、母子生活支援施設へのアンケート調査を行うことができた。インタビュー調査も行う予定だったが、コロナ禍の移動制限のため実施を次年度に延期した。
|
今後の研究の推進方策 |
(1)国内の外国人労働者・留学生の金融排除の実態:在留外国人労働者・留学生に対する調査に関しては、次年度も引き続き(株)グローバルトラストネットワークス(GTN)に委託し、2回のアンケート・インタビュー調査を行う予定である。 今年度に在日ネパール人労働者・留学生・事業者、外国人支援団体の関係者に調査を行ったが、次年度は在日ネパール人子弟の通うインターナショナルスクールの保護者や、外国人に金融サービスを提供する金融機関、自治体、国際交流協会などに調査対象を広げて、在留外国人の金融包摂の手がかりをつかむ。 困窮者への緊急支援・公的貸付に関しては、生活福祉資金のコロナ特例貸付について、次年度に先送りにした調査を実施する。 (2)送り出し国の課題:労働者の送り出し国における金融教育の実態調査に関しては、次年度も引き続き(株)かいはつマネジメント・コンサルティング(KMC)に委託する。今年度はフィリピンとインドネシアにて渡航前労働者に対する金融教育の実態を調査したが、その結果を踏まえて次年度はフィリピンとインドネシアのいずれかの国で金融教育を試行する予定である。 (3)外国人母子世帯への支援の課題:今年度は母子生活支援施設へのアンケート調査を行ったが、次年度は先送りしたインタビュー調査を実施する。また、現在翻訳作業を進めている、フランスの家庭経済ソーシャルワーカーに関する図書を刊行する。他方、フランスでは家庭経済ソーシャルワーカーが低所得世帯への家計改善支援事業を行っていることから、フランスに出張し、母子生活支援施設や団体、家計や家族問題の調停機関(UDAF)等を視察し、フランスでは外国人母子世帯に対していかなる支援を行っているかを調査して、日本への示唆を得る。
|