研究課題/領域番号 |
23K20660
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補助金の研究課題番号 |
21H00798 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
古山 周太郎 早稲田大学, 人間科学学術院, 准教授 (80530576)
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研究分担者 |
福留 邦洋 岩手大学, 地域防災研究センター, 教授 (00360850)
川澄 厚志 金沢大学, 融合科学系, 准教授 (00553794)
相馬 大祐 長野大学, 社会福祉学部, 准教授 (70533199)
小山田 建太 立正大学, 社会福祉学部, 特任講師 (80880236)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 6,110千円 (直接経費: 4,700千円、間接経費: 1,410千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 災害時要援護者 / インクルーシブ防災 / 地域防災組織 / 防災教育 / インドネシア中部ジャワ州 / 地域防災教育 / 自立支援協議会 / 地域共生社会 / 当事者参画 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、要援護者を包摂する地域共生社会の実現にむけ、地域社会の理解向上を基盤とした要援護者が参画する地域防災プログラムを構築し、その意義を考察することを目的とする。そのため、まず災害時の実際の支援活動において、要援護者のニーズを整理体系化し、地域社会が関わる支援方法と役割を明確化する。続いて、地域社会の理解と要援護者の自助力を高める防災教育プログラムを構築する。次に、要援護者が参画する包摂型の地域防災プロジェクトを対象に、要援護者の参画手法や支援活動の実態を把握し、住民意識や要援護者本人の力に及ぼす影響を明らかにすることで、包摂型の地域防災プログラムを構築する。
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研究実績の概要 |
災害時の要援護者支援記録の分析からみるニーズの整理については、作成したデータベースをもとに、特に居住環境の影響に着目して、次のような分析を実施した。まず、支援ニーズとその背景・要因の整理を行い、続いて、支援活動を分類しその傾向を把握した。最後には居住環境に関連するニーズや背景と、支援活動の3つの分類の関係に着目して分析を加えた。これにより、被災時における居住環境の変化が障害者に及ぼす影響と、それへの対応方法が明らかとなった。 災害時要援護者に関する防災教育プログラムの構築に向けては、障害当事者が中学校で防災教育を実施するプロジェクトについての調査を実施した。同プロジェクトは、車いす利用者などの避難支援を中学生が実践的に学ぶといった特徴をもつ。調査は、防災教育を受ける中学生に対して、障害理解や災害時要援護者への支援意識が、事業実施前後でどのように変化するのかをアンケートによって把握した。その結果として、プロジェクトの実施により、中学生の障害理解度や自己肯定感の一部が向上するといった効果がみられた。 インドネシアにおける要援護者が参画する地域防災プロジェクト調査では、現地を視察訪問し、地域防災に関連する活動の実態と、プロジェクトに参画する住民の意識調査を実施した。地域防災ボランティアに対してグループインタビューを行った結果、活動に関して社会的貢献を評価していることや、活動の充実化を求めていることが明らかとなった。また実際の地域防災活動としては、災害対策以外に環境保全や防災教育など多様な事業を実施しており、包括的な活動内容がみてとれた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
災害時要援護者に関する防災教育プログラムの構築に向けては、障害当事者が中学校で防災教育を実施するプロジェクトを対象に、中学生へのアンケート調査を実施した。対象となったのは、大阪府内の中学校と岩手県沿岸部の中学校である。アンケート調査は、防災教育を受けた中学生に対して、障害理解や災害時要援護者への支援意識が、事業実施前後でどのように変化するのかをアンケートによって把握した。その結果、自己肯定感やコミュニケーション能力の自己評価が上昇し、また災害時要援護者対策への理解も向上したことが明らかとなった。一方で、プログラム内容に差があったことから、両校の結果に相違点もみられており、特に障害当事者からの事前授業の内容が影響を与えていることが推測された。 インドネシアにおける要援護者が参画する地域防災プロジェクト調査では、実際に現地を視察訪問して、SIBATと呼ばれる地域防災ボランティア組織へヒアリングを行い、地域防災に関連する活動の実態と、ボランティアの意識調査を実施した。調査は、SIBATの中心メンバー、女性メンバー、若者メンバーを対象としたフォーカスグループインタビュー形式で行い、活動参加の動機、活動内容、活動への評価、活動の課題について聞き取りを実施した。その結果として、SIBATの活動は内容の多様性が特徴であること、住民全体に関わる活動となっており、高齢者や障害者が含めた対象者の包摂性をもつことが明らかとなった。特に、活動の評価として女性の役割があることが挙げられていた。
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今後の研究の推進方策 |
災害時要援護者について防災教育プログラムの構築に向けては、障害当事者が中学校で防災教育を実施するプロジェクトについて引き続き調査を行う。中学生に対する障害理解や教育効果について把握できたので、次年度は教育実践現場におけるコミュニケーションの内容や行為及び行動と環境との関係を明らかにしていく。主にグループワークにおいて参与観察調査を行い、学生と当事者の会話内容や行為を記録すると共に、それらが校内のいかなる場面で生起しているかを明らかにする。 インドネシアにおける要援護者が参画する地域防災プロジェクト調査では、地域防災ボランティアへのアンケート調査を実施予定である。ヒアリング調査により明らかになった活動の影響や課題について、対象となる村を拡大することで、地域やボランティアの属性による評価の傾向の違いを明らかにする。 さらに、災害時要援護者が参画する包摂型地域防災プログラムの構築を目指し、沖縄県渡嘉敷村において、これまでの研究成果を基にインクルーシブ防災活動の調査を行う。具体的には、高齢者の安心防災手帳ワークショップを実施し、その結果をもとに個別避難計画の策定及び改定を実施する。同時に、地区ごとの避難支援体制構築に向けて、住民リーダーと共に防災避難マップの作成を行い、避難経路や避難場所の確認と、要援護者の避難支援の現状を把握する。以上の結果をもとに、要援護者の個別避難訓練を実施し、安全安心な避難支援体制のありかたについて検討する予定である。
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