研究課題/領域番号 |
23K20661
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補助金の研究課題番号 |
21H00799 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08020:社会福祉学関連
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研究機関 | 日本福祉大学 |
研究代表者 |
藤原 正範 日本福祉大学, ソーシャルインクルージョン研究センター, 研究フェロー (90410935)
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研究分担者 |
掛川 直之 立教大学, コミュニティ福祉学部, 准教授 (30825302)
湯原 悦子 日本福祉大学, 社会福祉学部, 教授 (60387743)
金子 毅司 新潟医療福祉大学, 社会福祉学部, 助教 (60907806)
秋山 巌 佐野日本大学短期大学, その他部局等, 講師(移行) (10963895)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,770千円 (直接経費: 12,900千円、間接経費: 3,870千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
2022年度: 5,720千円 (直接経費: 4,400千円、間接経費: 1,320千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 司法ソーシャルワーク / 刑事裁判 / 刑事弁護 / 更生支援計画 / 福祉ニーズのある被告人 / 立ち直り支援 / 環境調整 / 情状証言 / 更生支援 / 福祉のニーズのある被疑者・被告人 / 再犯防止 / 刑事司法手続 / 福祉ニーズのある被疑者・被告人 |
研究開始時の研究の概要 |
罪を犯して刑事司法手続に入ることを余儀なくされた人の相当数には福祉ニーズが存在する。これが公的に認知されず、また認知されても適切な支援が得られず、その結果犯罪を繰り返す人も多い。軽微な犯罪で検挙され累犯者であるため刑務所に辿り着く障害者、高齢者は増加傾向にある。 本研究の目的は、福祉ニーズのある被疑者・被告人の刑事司法手続、とりわけ裁判の中での弁護活動にソーシャルワーカー(日本の国家資格としては社会福祉士・精神保健福祉士)が関与することが、本人に関わる情報をより豊富で的確なものとし、ひいては司法手続終了後再犯のない生活を選択することにつながることを実証するものである。
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研究実績の概要 |
本研究の活動として、研究グループメンバーによる「司法ソーシャルワーク研究会」、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」("Forensic Social Work:2nd Editon"の翻訳活動を中心とする)、研究グループメンバーに関連する研究者・実践者を加えた「司法ソーシャルワーク研究集会」を開催した。 上の恒常的な研究活動に並行して、本研究の目的を達成するための調査活動を以下のとおり実施した。 ①刑事弁護において社会福祉士が被告人の更生支援計画を作成するなどの活動がどのように展開されているかについて現地を訪問して行う調査(以下、訪問調査という)については、2023年4月、日本弁護士連合会(以下、日弁連という)が新たな制度の運用を開始したことにより、年度当初の計画を大きく変更することにした。この制度は社会福祉士等の刑事弁護への支援活動に対して日弁連が費用負担するものである。予定していた各地の弁護士会・社会福祉士会への訪問調査を中断し、その代わりに、同年6月、全国の単位弁護士会に新制度の運用に関する書面調査を実施した。 ②名古屋地方裁判所の刑事裁判を一定期間集中的に、研修を受けた調査員が傍聴し、被告人の福祉ニーズの存在とその内容、それが裁判の中でどのように扱われているかを調査する活動(以下、傍聴調査という)については、前年度の第1次調査に引き継ぎ、2023年6月5日から9月29日まで、前年度と同様に株式会社サーベイリサーチセンター名古屋事務所に業務委託して第2次調査を実施した。 ③本年度新たに②の調査員に対する「刑事裁判のイメージ変容に関する調査」に着手した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の基幹となる活動である「司法ソーシャルワーク研究会」は毎月1回オンラインで、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」は毎月2回オンラインで、「司法ソーシャルワーク研究集会」は2023年6月・11月、2024年2月の年3回対面で開催した。 年度当初計画した2つの調査活動、年度中新たに着手した1つの調査活動は、以下のとおり順調に推移している。 ①年度当初予定していた訪問調査は中断した。その代わりに2023年4月に運用が開始された日弁連の新制度運用に関する書面調査を実施し、2023年12月末までに52単位弁護士会のうち40会から回答を得た。これにより新制度発足後の全国状況について、その概要を把握することができた。新制度発足前の動向は前年度までの訪問調査においてほぼ明らかにされており、その成果を2023年10月の日本社会福祉学会全国大会において発表した。また、この研究に関する学術論文の執筆に着手した。 ②傍聴調査では、前年度の第1次調査で得た49人に加え、本年度の第2次調査において56人のデータを収集した。本データは、1ケースにつき2人の調査員が定型用紙に記録したものである。同データを一覧表に整理した上で、2023年10月から2024年2月まで研究グループメンバーで意見交換(オンライン)を行い、研究協力者(弁護士・社会福祉士)を加えた2024年2月の「研究ディテール検討会」(対面)において第1回目の総合的データ分析を行った。その後もデータ分析を継続している。 ③新たに着手した刑事裁判のイメージ変容に関する調査は、「『人を対象とする研究』に関する倫理審査委員会」の条件付承認を得て、2024年3月、傍聴調査を担当した調査員13名に目的・方法を説明した上で本調査への同意を求める書面を送付した。なお、倫理審査委員会の指摘事項について修正の申請を行った。
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今後の研究の推進方策 |
「司法ソーシャルワーク研究会」の月1回開催(オンライン)、「司法福祉研究・実践に関わる国際情報についての意見交換会」の月2回開催(オンライン)を継続し、本研究の総括研究集会を含む「司法ソーシャルワーク研究集会」を年2~3回開催(対面)する。 調査活動については、以下のとおり研究全体をまとめる作業を行う。 ①日弁連が2023年4月に開始した新制度を受けての各単位弁護士会・社会福祉士会の動向を、特徴ある地域に絞って訪問調査を実施する。新制度発足までの動向に関する学術論文を執筆・投稿する。新制度発足後の動向に関する研究成果を関連学会の全国大会で発表し、学術論文の執筆に着手する。 ②傍聴調査によって得られた105人の被告人とその裁判に関するデータの分析を進める。この研究成果を関連学会の全国大会で発表し、合わせて学術論文を執筆・投稿する。 ③調査員の刑事裁判のイメージ変容に関する調査を実施し、そのデータを分析する。この成果を関連学会の全国大会で発表し、学術論文の執筆に着手する。
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