研究課題/領域番号 |
23K20669
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補助金の研究課題番号 |
21H00810 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分08030:家政学および生活科学関連
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研究機関 | 神戸学院大学 |
研究代表者 |
石井 剛志 神戸学院大学, 栄養学部, 准教授 (50448700)
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研究分担者 |
坂本 裕香 (富山) 神戸学院大学, 栄養学部, 実験助手 (20368484)
赤川 貢 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 教授 (70405356)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,680千円 (直接経費: 13,600千円、間接経費: 4,080千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2021年度: 8,710千円 (直接経費: 6,700千円、間接経費: 2,010千円)
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キーワード | 食事相性 / 渋味飲料 / 油脂 / 界面活性作用 / 口腔内リセット作用 / ポリフェノール / エマルション / 乳化作用 / 茶ポリフェノール / 渋味ポリフェノール / プロシアニジン / ガレート型カテキン類 / テアフラビン類 / バリア機能 / レプチン分泌 |
研究開始時の研究の概要 |
渋味飲料と脂っこい料理の組み合わせは「赤ワインと肉料理」「烏龍茶と中華料理」のように食事相性が良いと考えられているが、科学的に実証した研究は少ない。渋味飲料に含まれる成分には抗肥満や脂質吸収阻害等の機能性も多数報告されているが、嗜好性と関連付けて相性を解析した研究は殆どない。 本研究課題では構築した食事中の口腔内の状況を模倣した新規評価技術や飲料の乳化作用を簡便に評価できる実験系により、渋味飲料や含有成分の脂っこさのリセット作用を分子レベルで検証するとともに、ホルモン分泌に基づく食欲抑制の観点からも食事相性を検証し、渋味飲料が世界中で飲用される理由を科学的に実証するための基盤の確立を目指す。
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研究実績の概要 |
前年度中に人工リン脂質膜結合96穴プレートを用いる口腔内リセット作用(脂っこさのリセット作用)の評価系に構築に成功し、①先に飲料を処理した後に油を処理する系による「脂っこさのリセット作用」の作用機序として、リン脂質膜表面に先に蓄積した渋味物質(茶ポリフェノール)が後から来る油脂の付着を直接的に阻害することで「バリア機能」を発揮することが重要であることを見出しいている。 本年度は、②先に油を処理した後に飲料を処理する系、③飲料と油を混合したものを処理する系による「脂っこさのリセット作用」の作用機序を解析し、茶系飲料や珈琲の有する界面活性作用がリセット作用の惹起に関与する可能性を見出した。そこで、染色油と試料からなるエマルションの加速度試験を利用する嗜好飲料の乳化作用の評価法を新たに構築し、溶液安定性評価装置による解析と併せ様々な嗜好飲料の飲料の乳化作用の強弱を解析した結果、茶系飲料については渋味ポリフェノールが関与する可能性を、珈琲については焙煎成分(褐色色素成分)が重要な関与成分であることを見出し、成果の一部を学会にて発表した。 渋味成分であるプロシアニジン類が強い脂っこさのリセット作用を有することを見出したことから、その大量精製法の導入に向けて落花生の種皮の成分分析を進め、得られた知見を学会にて発表した。 培養細胞を用いて茶ポリフェノールやプロシアニジン類のレプチン分泌促進作用を解析し、渋味強度との関連性の解析を進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の目標通り、構築した口腔内リセット作用の評価系を利用して、茶系飲料や珈琲の持つ「脂っこさのリセット作用」の作用機序の一端を明らかにし、その関与成分に関する確認・同定が進んでいる。作用機序の解析の過程で、新たな評価系や精製技術の確立も進んでおり、計画以上の成果がでる基盤ができつつある。渋味飲料によるレプチン分泌促進作用を介する抗肥満作用の検証を進めているが、昨年度は共同研究者の所属機関が変更されたことにより動物組織を用いる実験系が実施できなかったことから、培養細胞を用いる実験系で更なる知見が得られたものの、生体調節機能の観点からの評価は、当初予定よりやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに構築した評価系(脂っこさのリセット作用・渋味のリセット作用・風味のリセット作用)および乳化作用の評価方法を用いて、各種嗜好飲料の口腔内リセット作用の作用機序の更なる解明を進めるとともに、嗜好飲料と料理の食事相性の分子科学的検証を進める。生体調節機能の観点から、特に渋味飲料のよるレプチン分泌促進作用を介する抗肥満作用の検証を進めていくが、昨年度は動物実験を担当する共同研究者の所属機関が変更されたことにより設備等の移設が遅れ培養細胞を用いる実験を余儀なくされたことから、本年度は動物組織を用いる実験系において渋味強度とレプチン分泌作用の関連性の検証を進めていく。
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