研究課題/領域番号 |
23K20672
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補助金の研究課題番号 |
21H00815 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 放送大学 |
研究代表者 |
橋本 鉱市 放送大学, 教養学部, 教授 (40260509)
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研究分担者 |
勝野 正章 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 教授 (10285512)
高橋 哲 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (10511884)
高橋 望 学習院女子大学, 国際文化交流学部, 准教授 (10646920)
松村 智史 名古屋市立大学, 大学院人間文化研究科, 准教授 (10868128)
丸山 和昭 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (20582886)
日下田 岳史 大正大学, 人間学部, 専任講師 (30734454)
小島 佐恵子 玉川大学, 学術研究所, 准教授 (40434196)
谷村 英洋 帝京大学, 教育学部, 講師 (50614632)
石井 美和 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (90713206)
立石 慎治 筑波大学, 図書館情報メディア系, 助教 (00598534)
白旗 希実子 東北公益文科大学, 公私立大学の部局等, 准教授 (10735658)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,480千円 (直接経費: 9,600千円、間接経費: 2,880千円)
2024年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
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キーワード | 外部委託 / 教育産業 / 実務家教員 / 境界領域 |
研究開始時の研究の概要 |
近年、全ての段階の教育機関で外部の営利・非営利組織との連携が進展し、限られた予算で複雑な課題の増大に応える方策として、教育活動の一部を外部委託する道が模索されている。本研究は、この外部委託の拡大によって出現しつつある、教育機関と外部の産業界・地域・市民社会の境界に立つ領域(EBF:educational boundary field)の実態について、教育段階を貫く縦断的な視点から国際的かつ実証的に分析し、EBFが孕むリスクの検証と共に、EBFが教育機関と外部社会とを適切に架橋する仕組みとなるための方策を提示する。
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研究実績の概要 |
近年、全ての段階の教育機関で外部の営利・非営利組織との連携が進展し、限られた予算で複雑な課題の増大に応える方策として、教育活動の一部を外部委託する道が模索されている。本研究は、この外部委託の拡大によって出現しつつある、教育機関と外部の産業界・地域・市民社会の境界に立つ領域(EBF:educational boundary field)の実態について、①組織・人材、②内容・方法、③価値観・倫理、の3点を分析課題として設定し、国際比較調査、量的調査、質的調査から実証的にアプローチしようとするものである。研究期間の第3年目に当たる令和5年度は、以下のような作業を具体的に進めた。 まず国際比較調査は、コロナ禍の影響で全体計画の工程としては多少遅れていたものの、新たにイギリスの現地調査を行うことができた。 量的調査としては、すでに実施した実務家教員養成課程修了生に対するアンケート調査の分析を進め、査読誌への投稿ならびに全国学会で報告を行った。また今日の教育産業をリードする上場25社の有価証券報告書の内容分析を行い、紀要論文としてまとめた。 質的調査としては、高等教育レベルでは、これまでに民間企業等外部から大学への転職経験者(職員)11名に実施したインタビューの文字起こしと校正を進め、あらたに大学教育・大学経営等に関わる事業を展開している企業を対象にインタビューを実施した。また初中等レベルでは、行政関係者及びNPO関係者へのインタビュー調査を実施し、前年度までに行ったインタビューデータを用いて、紀要論文として発表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では前述した研究課題の解明を達成するために、上記の3つのアプローチから調査・分析を進めてきた。それぞれの進捗状況は以下の通りである。 (1)国際比較調査:一昨年度に実施したオセアニア調査の知見の整理を進めつつ、イギリス調査については、大学教員から転職した学習ソフトウエアの研究開発リーダーにインタビューを行い、研究開発の実際のほか転職理由や教育と企業の橋渡し役としての役割意識などについて調査を行った。(2)量的調査:すでに実施した実務家教員養成課程(「社会構想大学院大学実務家教員養成課程」)の修了生に対するアンケート調査の分析結果の一部を、査読誌(「大学改革・学位研究」大学改革支援・学位授与機構)に投稿した。また教育産業25社の有価証券報告書の内容分析を行い、経営方針とリスク認識について、その中心的テーマや恒常的な課題を抽出し、紀要論文として発表した。(3)質的調査:高等教育レベルでは、転職経験者(職員)11名に対するインタビューデータから、大学への転職の契機から現在の働き方、今後の展望などを中心に、転職前後の経験をどのように捉えているかについて知見を整理し、次年度にむけた報告書作成を進めた。また大学教育・大学経営関連の企業4社対象のインタビューでは、高等教育におけるEBFにおける実際の活動実態に関する情報を幅広く収集した。初中等レベルでは、前年度までに行った学習支援関係者へのインタビューデータを用いて、紀要論文として発表した。また行政関係者及びNPO関係者の計6名(行政関係者5名、NPO関係者1名)に、子育て支援分野における行政とNPOのパートナーシップを主要質問項目とするインタビュー調査を実施した。 以上に鑑み、これまでの進捗状況としては概ね順調な進捗状況といえる。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度に当たる令和6年度は、これまでに収集したデータ・資料や国内外における調査の成果・知見などを整理・発表を行い、追加的な調査・検討を行うとともに、最終報告書の作成を目指すこととする。3つの研究課題については、それぞれ以下のような作業を具体的に進める予定である。 (1)国際比較調査:これまでのオセアニア、英国に関する調査・分析とあわせて、米国での現地調査と資料収集を試みる。また、いずれの国・機関において、これまでに培った人脈を活かし、スノーボール方式でインタビュイーを増やして調査を継続する。その上で、それぞれの知見を整理・考察して査読誌投稿・学会発表などを行うとともに、英米圏内での比較分析とタイポロジーの抽出を試みる。 (2)量的調査:すでに実施した実務家教員養成課程の修了生に対するアンケート調査の分析を進め、査読誌投稿と学会発表を行う。またこれと平行して、これまでに行った教育産業関係者へのインタビュー調査から明らかとなった課題に関連して、EBF内における転職情報・広告記事などについて、量的アプローチによる内容分析などを試み、これらについても論文としてまとめる。 (3)質的調査:高等教育レベルについては、あらたに大学の人事部長を対象とする職員の中途採用に関するインタビューを行いつつ、これまでのインタビュー調査を事例研究として査読投稿論文にまとめる。また大学経営関連企業へのインタビューについてはデータの確認・整理を行い、沿革や事業展開、人材育成、大学教育観などを中心に分析を進め、論文としてまとめる。加えて、フリーランス講師、専門職大学の実務家教員、第三者団体などへのインタビューも試み、学会発表を行う。初中等教育レベルでは、昨年度に行った行政・NPO関係者に関する知見を学会や論文に発表する。また学校におけるSSWのキーパーソンへのインタビューを進め、論文や学会報告を行う。
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