研究課題/領域番号 |
23K20680
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補助金の研究課題番号 |
21H00828 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09010:教育学関連
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研究機関 | 日本女子大学 |
研究代表者 |
橋本 昭彦 日本女子大学, 人間社会学部, 研究員 (80189480)
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研究分担者 |
遠座 知恵 東京学芸大学, 教育学部, 准教授 (20580864)
橋本 美保 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (60222212)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
7,930千円 (直接経費: 6,100千円、間接経費: 1,830千円)
2024年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2023年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 試験 / 新教育 / 大正新教育 / 形成的評価 / 考査 / 試験廃止 / 大正新教育期 / 小学校令施行規則 |
研究開始時の研究の概要 |
大正新教育期は、子供の教育や健康を損なうとして小学校での試験が公的には廃止された時代として知られる。他方で、国際的な児童中心主義の教育革新運動の中で、成績付けや進級・選抜のための評価ではなく、呼称される「形成的評価(formative assessment)」の考えにつながる、個々人の学習改善のためになされる形成的な評価の在り方が議論される機運があった。 本研究では、<形成的試験>に取り組む時機を迎えていた当時の日本の教育界の動きを実態史的に跡づけることを主な課題とし、さらにそれが組織的に行われるための促進要因及び全国的な拡散の妨げとなる阻害要因について考察することをも副次的な課題とする。
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研究実績の概要 |
■初年度に続いて、第1の調査課題である、大正新教育期の小中学校や師範学校等における試験・評価の実態の解明に着手することを最大の課題とした。調査した主な資料は、初年度の自治体史・教育通史に加えて、①地方の教育会雑誌や郷土史、②「私家文書」や「伝記」類の未刊行資料におよび、予定していた③19世紀の米国・カナダなどの専門書や教育雑誌・教育団体機関誌については、オンラインによって一部を進めることができた。特に、兵庫県、京都府、静岡県、秋田県などでは、今後新規に活用されうる重要な史料を発見することができた。 ■調査で明らかにした事項は、①明治33年の試験「廃止」政策による効果や期待の評価、②試験に代わって実施された考査(検査・調査)等の実施形態及びそれらの特質、③大正新教育期の日本の教育者が受容した、欧米の「新教育」における<形成的評価・試験>の情報やその背景の特質、などである。特に、試験「廃止」初発の時期における政策論の発掘や、大正新教育期における教育者の実践的なカリキュラム開発や評価への対応を示す事例を見いだすことができた。 ■史料調査と併行して、オンラインによる研究者への共同取材を行った。予定していた国内・国外の専門学会を通じた情報収集と研究視点の交換については、研究代表者・分担者の全てが国内学会での発表などを通じて、これを実施することができた。 ■日本における<形成的試験>の歴史を近世にさかのぼって考察するために、全国の藩校等における試験の歴史に関する資料を網羅的に収集・整理した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
■調査課題関係では、予定していた調査のうち、「19世紀の米国・カナダなどの専門書や教育雑誌・教育団体機関誌」については、カナダの資料や教育団体機関誌関連の資料について十分な調査ができなかった。 ■明らかにする事項は、①明治33年の試験「廃止」政策による効果や期待の評価、②試験に代わって実施された考査(検査・調査)等の実施形態及びそれらの特質、については、それぞれ2~3の限られた事例からの解明をするにとどまった。また、日本における<形成的試験>の歴史を近世にさかのぼって考察する点については、諸藩校での試験に関する資料を収集し、電子的に整理したが、学会報告等の成果発表には至らなかった。 ■成果報告関係では、予定していた「国内・国外の専門学会を通じた情報収集と研究視点の交換」のうち、国外の専門学会への参加を見送った。(新型感染症の影響を考慮した)
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今後の研究の推進方策 |
引き続き研究計画に沿って研究を進める。実績としては、前記の通りの諸件のものを挙げたが、積み残しを含めて次年度に送る課題は以下の通りである。 ■調査課題関係では、実施できなかった調査のうち「19世紀のカナダ」などの「教育団体機関誌」については、その必要性を見直し、実施しないで済む研究結果にする見通しである。 ■明らかにする事項関連では、明治33年以降、試験に代わって実施された考査(検査・調査)等の実施形態及びそれらの特質については、さらに補充調査を実施する。そして、解明できた事例については、それらの全国的な位置づけを行うことが今後の課題となる。 また、明治期・大正新教育期以降の試験の前史となる近世藩校の試験についても調査の成果をまとめる課題が残る。 ■成果報告関係では、国外の研究者との連絡を強める必要がある。国際学会等への参加につき、今後はオンライン参加を含めて発表や交流の方法を再考する課題が残った。
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