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市民を育てる学校の日本型自律性に関する比較教育社会学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 23K20690
補助金の研究課題番号 21H00839 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分09020:教育社会学関連
研究機関常葉大学

研究代表者

紅林 伸幸  常葉大学, 教育学部, 教授 (40262068)

研究分担者 川村 光  関西国際大学, 教育学部, 教授 (50452230)
越智 康詞  信州大学, 学術研究院教育学系, 教授 (80242105)
鈴木 和正  常葉大学, 教育学部, 教授 (80759077)
長谷川 哲也  岐阜大学, 教育学部, 准教授 (90631854)
中村 瑛仁  京都教育大学, 教育学部, 講師 (30756028)
加藤 隆雄  南山大学, 人文学部, 教授 (20247133)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
15,470千円 (直接経費: 11,900千円、間接経費: 3,570千円)
2025年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2021年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
キーワード主体的・自律的な学校経営 / 学校改革 / 専門職としての教師 / スクール・ブランディング / 令和の日本型学校教育 / 学校の自律性 / 自律的創造的実践構想力 / 教師の教育研究力 / 学校管理職調査 / 学校における自律性 / 教育実践マネジメント / 学校組織文化 / 起業家型資質能力 / 自律的想像的実践構想力 / スクールブランディング / 管理職調査 / 学校運営 / 教育実践 / 起業家教育 / 教師の成長 / 教員養成・教師教育モデル / オープンな学習システムモデル / プロデュース力 / 学校教育の自律性 / 市民を育てる教育 / 教員養成・教師教育
研究開始時の研究の概要

現在の我が国の学校改革のグランドデザインである「令和の日本型学校教育」には、平成の学校改革施策の柱であった「特色ある学校」という文言がない。これは教育課程の厳格な実施と個別最適な学習の保証を目標とする教育への転換に対応したものであり、その中で学校や教師の自律性も大きく変わろうとしている。独自性の高い教育を行う自律的な主体から、共通の目標を達成するために最適な努力と工夫をする自律的な主体への変化は、日本社会にどのような影響をもたらす可能性があるのかを、社会学的な実態調査や比較研究を通して考察する。

研究実績の概要

本研究は、我が国の高い教育効果を支えてきた現場レベルの自律的な実践力を維持向上させるために必要なことを、我が国の教育経営の歴史的検討、グルーバルな教育改革との比較研究、学校現場の現状分析などを通して、多面的・総合的に検討しようというものである。令和4年度は以下の4つの作業課題に取り組んだ。
①「令和の日本型学校教育」において求められている学校運営並びに教育活動の自律的・創造的な構想力の理論的検討を行い、メンバーそれぞれが自身の専門領域の観点から再構築した内容の一部を、教職課程のテキスト本『専門職として成長し続ける教師になるために』の諸章にまとめた。
② 海外の状況との比較研究のために実施してきた欧州の教育状況調査として2024年3月にジョージアの視察調査を実施した。ジョージアは、ウクライナ-ロシア紛争の影響を最も受けている国の一つであり、現地研究者の協力のもと、教員養成大学を中心とした視察調査を行った。
③平成4年度に行った管理職調査の結果の第一次報告をまとめた。その作業過程で、平成の学校教育の中核的概念であった「特色ある学校」が、「令和の日本型学校教育」では全く言及されていないことを明らかにした。調査結果からは、現在の学校運営が、この令和の学校教育のグランドデザインと整合していることが明らかになった。また、過去に本研究チームが実施した道徳の教科化前後に授業実施状況調査のデータの再分析(比較分析)を行い、実践レベルでも個々の教師が全面的な自律性を必要としない教育改革が進行していることを指摘した。
④2024年3月に常葉大学において、本チームと同じように教職の自律性や創造性に注目して研究を行っている2つの研究プロジェクトチームと合同で、ミニシンポジウム「教師の研究力を考える」を実施し、教育の自律性のベースとなってきた現場での教育研究について議論を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

「令和の日本型学校教育」施策のもとでの学校の自律性について多角的にアプローチし、理論的検討、我が国の学校教育の強みとして学校自律性を位置づける作業、「令和の日本型学校教育」施策の分析、海外の状況の分析、学校運営の現状分析など、様々な観点を用いて研究を進めている。また、実施した調査等の研究成果については、順次段階的に報告を開始している。ただし、その中で、研究開始当初に想定していた仮説とは異なる教育施策・学校現場の実際が見えてきたこともあり、部分的に仮説を修正しながら研究を進めているところである。
なお、海外視察調査については、ようやく新型コロナ感染症が沈静化し再開できる状態となったが、ロシアのウクライナ侵攻、イスラエルのガザ侵攻等、視察対象地である欧州の政情が不安定な上に、円安により航空チケット等が高騰しており、視察研究の規模を縮小することを止む無くされている。また、情報による扇動や洗脳が問題視される状況が広がっているため、教育に関する情報の招集は慎重に実施しており、紛争が起こる前のように自由にデータを採ることができなくなっている。
よって、当初の計画通りに調査が実施できていない面はあるが、柔軟に状況に対応しながら研究計画を進めることができており、研究課題の探求という点では表記の通り概ね順調と評価する。

今後の研究の推進方策

2023年度は、新型コロナ感染症が沈静化したこともあり、研究のペースを戻すことに成功した。しかし、研究を進める中で、令和の日本型学校教育が、平成の教育施策から想定していたよりもはるかに大きな転換を図ろうとしていることが明らかになった。そこで、企業の経営戦略として採用されている「ブランディング」をそのまま横滑り的に導入するのではなく、令和の日本型学校教育施策を踏まえたブランディング・マネジメントの在り方を検討することが必要となった。これは、研究計画の変更や修正ではなく、研究の進展による成果と理解できる。そこで、残る2年間の研究では、ここまでの調査研究で明らかになった、令和の学校の現状に対応したブランディング・マネジメントのモデル化を進めていく。そこでは、起業を安直に令和の日本型学校マネジメントのモデルとして措定せず、むしろ両者の相違点を学校教育のマネジメントの中に発展的に解消することが課題となる。
その具体的作業として以下のことを行う。第一は、2023年3月に実施し、2024年3月に第一次報告をまとめたWebアンケート「市民を育てる学校づくりに関する調査」の記述データの分析と、平成の学校管理職と令和の学校管理職のインタビュー調査により、令和の日本型学校マネジメントの特徴を析出する。第二は、企業の経営マネジメントと学校の経営マネジメントの比較を行い、スクール・ブランディングのモデル化を行う。ただし、本研究は令和の日本型学校教育を無批判に前提とするものではない。批判的な論点を明らかにすることによってこそ、有効なスクール・ブランディングのモデル化は可能となる。そこで第三として、海外視察が実施できなかった時期に進めてきた歴史的研究の成果と、再開した海外視察の成果に基づき、令和の日本型学校教育施策自体を相対化し、令和の先の社会を見据えたスクール・ブランディング・モデルを提案したい。

報告書

(3件)
  • 2023 実績報告書
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (15件)

すべて 2024 2023 2022 2021

すべて 雑誌論文 (14件) (うち査読あり 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 学校管理職たちの挑戦-Webアンケート「学校管理職の学校運営に関する調査(2022)」の結果報告-2024

    • 著者名/発表者名
      紅林伸幸, 鈴木和正, 川村光, 越智康詞, 加藤隆雄、中村瑛仁,長谷川哲也
    • 雑誌名

      常葉大学種痘教育研究

      巻: 9号 ページ: 123-136

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 道徳の授業は変わったか―2016年度/2021年度Webアンケート調査の結果から―2024

    • 著者名/発表者名
      紅林伸幸, 鈴木和正, 川村光, 越智康詞, 中村瑛仁, 冨江英俊
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 9 ページ: 57-67

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 教師が<研究する>意味についての研究2024

    • 著者名/発表者名
      越智 康詞, 酒井 真由子, 紅林 伸幸, 加藤 隆雄, 川村 光, 長谷川 哲也, 宮野 尚
    • 雑誌名

      信州大学教育学部研究論集

      巻: 18 ページ: 111-130

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] デジタル・シティズンシップの視点を取り入れた道徳科における授業提案2024

    • 著者名/発表者名
      小川勇太郎, 市原大樹, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 9 ページ: 81-91

    • 関連する報告書
      2023 実績報告書
  • [雑誌論文] 小・中学校における「特別の教科 道徳」の授業の実施状況 -2021年度質問紙調査の結果から-2023

    • 著者名/発表者名
      紅林伸幸, 鈴木和正, 川村光, 越智康詞, 中村瑛仁, 冨江英俊
    • 雑誌名

      常葉大学教育学部紀要

      巻: 43号 ページ: 295-311

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 学校づくり・学校改革のためのアクションリサーチ型実践的教育研究の可能性 ―スクール・ブランディングに向けての経営実践研究―2022

    • 著者名/発表者名
      浅野慶太郎, 磯部真代, 中間信宏, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 8号 ページ: 1-18

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] 「特別の教科 道徳」の教科構造に関する実践的研究 -教師はいかにして道徳の授業を完成させるのか-2022

    • 著者名/発表者名
      池谷亜海, 浅野慶太郎, 池田萌乃, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 8号 ページ: 131-144

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 若手教員が中核的役割を担うGIGAスクールの新しい取組み ―授業向上、研修の充実、業務の改善に挑む―2022

    • 著者名/発表者名
      青山紘大, 加藤三士郎, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 8号 ページ: 117-130

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 小学校の通常学級に在籍する特別な配慮を必要とする児童の授業における視線移動分析2022

    • 著者名/発表者名
      川井巳由, 紅林伸幸, 浅井夏美
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 8号 ページ: 37-50

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] ICT活用を教育の質向上につなげるための3つの試行 -ロイロノートの実践を軸とした活用研究を通して-2022

    • 著者名/発表者名
      山本裕樹, 池谷明恭, 池田萌乃, 坂本 正彦, 田代直幸, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院紀要

      巻: 8号 ページ: 37-50

    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [雑誌論文] 教職大学院の現状と可能性の探究2022

    • 著者名/発表者名
      酒井真由子, 越智康詞, 川村光, 加藤隆雄, 長谷川哲也, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      上田女子短期大学紀要

      巻: 45号 ページ: 1-17

    • NAID

      120007188736

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [雑誌論文] 「チーム学校」を不登校対策として機能させるための三つの提言2022

    • 著者名/発表者名
      紅林伸幸
    • 雑誌名

      月刊 教職研修

      巻: 2022年2月号 ページ: 92-93

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [雑誌論文] 2010 年代前半のルーマニアとハンガリーの教育課題に関するドキュメント・データ -ボローニャ・プロセス体制下の教員養成施策に焦点をあてて-2021

    • 著者名/発表者名
      紅林伸幸, 川村 光, 加藤隆雄
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院研究紀要

      巻: 7号 ページ: 59-71

    • NAID

      40022728632

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [雑誌論文] GIGA スクール構想下のスクール・ミドル・リーダー育成のための試行的実践 -ロイロノートの教職大学院授業での積極的活用-2021

    • 著者名/発表者名
      田代直幸, 鈴木大輝, 池谷明恭, 池田萌乃, 久米昭洋, 紅林伸幸
    • 雑誌名

      常葉大学教職大学院研究紀要

      巻: 7号 ページ: 99-111

    • NAID

      40022728687

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] 専門職として成長し続ける教師になるために2023

    • 著者名/発表者名
      山﨑 準二、紅林 伸幸、金子 真理子、栗原 崚、長谷川 哲也、川村 光、羽野 ゆつ子、大島 真夫、中村 瑛仁、酒井 郷平、望月 耕太、髙谷 哲也、三品 陽平、油布 佐和子
    • 総ページ数
      216
    • 出版者
      人言洞
    • ISBN
      9784910917108
    • 関連する報告書
      2023 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

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