研究課題/領域番号 |
23K20745
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補助金の研究課題番号 |
21H00921 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分09080:科学教育関連
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研究機関 | 大阪公立大学 (2022-2024) 大阪府立大学 (2021) |
研究代表者 |
吉冨 賢太郎 大阪公立大学, 国際基幹教育機構, 准教授 (10305609)
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研究分担者 |
市川 裕子 東京工業高等専門学校, 一般教育科, 教授 (10290719)
樋口 三郎 龍谷大学, 先端理工学部, 准教授 (70272474)
長坂 耕作 神戸大学, 人間発達環境学研究科, 准教授 (70359909)
金西 計英 徳島大学, 高等教育研究センター, 教授 (80204577)
亀田 真澄 山陽小野田市立山口東京理科大学, 共通教育センター, 教授 (10194995)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2023年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2022年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2021年度: 4,940千円 (直接経費: 3,800千円、間接経費: 1,140千円)
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キーワード | 大学数学用オンライン問題教材 / チーティング耐性 / フィードバック付き自習教材 / 反転学習 / 線形代数オンライン問題 / オンライン問題教材 / 学習分析と個別対応 / オンライン学習 / オンラインテスト問題 / 線形代数 / 微積分 / 形成的評価 / 数学オンラインテスト問題 / チーティング耐性問題 / 数学オンライン問題 / 微積分学 |
研究開始時の研究の概要 |
微積分学や線形代数学において, 全国の高等教育機関において利用可能なオンライン教材のセットを開発し提供する. オンライン問題の特徴として, 計算ソフトの利用や友人との相談などのチーティング可能な環境でも深い思考が誘発されるような問題の開発を目指す. また, 解説動画もセットで提供し, 本教材を利用させるだけで, 一定の大学初年次数学に関する概念的な理解を伴なった学習効果が期待できる教材とすることを目指す.
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研究実績の概要 |
主に大学初年次開講科目である線形代数のオンライン問題教材について, 問題の整備を行った. また, 開発問題群を用いた授業を前年度に続き実践し, 学生の実施状況の確認, 期末試験との実施率との相関検証などの分析を行った. その結果, オンライン演習の実施状況と期末試験の結果には, 一定の相関はあることはわかった. 一方で, オンライン演習を実施せず, 試験の成績がよかった学生や, 逆に実施しているが, 成績が悪い学生も一定程度いることがわかった. このような状況から, 現状のオンライン演習の学習教材の品質として, 概ね理解の促進には役に立っているが, まだ一部の学生には, 適切でない可能性がわかった. また, アンケートや個別の面談を実施することにより, 学生の実施にあたっての困難性や問題点について, オンライン問題の問題点が明らかになってきた. 教材の中には, 何故間違いなのかがまだまだはっきり提示されないものがあり, 誤答分析を含めたフィードバックの充実化が火急の課題であると考えられる. また, 授業設計にも問題があり, 反転学習として教材を利用させる場合に, 問題を完了できないために授業への出席意欲の低下が生じることがわかってきた. これは, 問題と授業設計の両方に起因する問題があることを示唆している. 以上のように, 線形代数については, 反転学習・オンライン学習・通常の対面学習の復習用などさまざまな用途で利用可能な教材が量的には充実させることができた一方で, 質的な整備, 授業設計や個別の学習状態の定常的観察など, 多くの課題が明確となった.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
線形代数教材については, 量的な拡充は格段に進み, ほぼすべての範囲について, 問題教材を提供することができている. しかし, その一方で, 学習分析, 特に誤答分析や実施状況の観察による問題の質の改善については, まだまだ途上であると言える. したがって, 一般に供する品質にはほど遠いが, 改善のポイントについては, 全体フィードバックと呼ばれる問題におけるポイントの提示や解答毎の個別フィードバックの充実により, 改善することができ, 今後の改訂方針はたっている. 一方で, 微積分学については, まだ, 全く手付かずである. これについては, 微積分を担当する教員が代表者・分担者にいない, という点があげられる. そのため, 微積分についての問題は今後の改良や開発のための研究打ち合わせを頻繁に行う必要があり, 現在のところ, そのための時間がとれておらず, 全体としてやや遅れていると言える. また, 授業での利用は基本代表者の利用のみと言う状態で, 今後, 利用してもらうための教材の提供の仕方についても, システム環境上の検討が必要となっており, これについても進める必要があり, この点も含め遅れていると言える.
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今後の研究の推進方策 |
線形代数については, 前期の問題については, 全体フィードバックや解答形式の改良, 解答のパターンに応じた個別フィードバックの充実化を進めている. 解答形式が正しいかどうかの検証も判定アルゴリズムの初期で行うことが本来必要であり, 厳格な実装に至っていない教材がまだ多数である. 今後もこの点の改良を継続していく. 同時にチーティング耐性について, 教員視点からの議論を行い, 可能な限り個々の問題について, 耐性の高さ, 教育効果の高さ, 改良のポイント, 特に出題方法・出題形式についての検討を行っていく. これについては, 対面での研究打ち合わせが必要と考えており, オンラインと合わせて研究を進めていく予定である. また, 微積分学については, 進捗に述べたように, 現在のところ, ほとんど手付かずであるが, これについて, 問題開発用サーバーに, 現在まで代表者や分担者が開発してきた問題を集積し, 分野毎の分類や新規に問題の開発が必要な分野の洗い出しを行っていく. また, 微積では, 数式入力に困難のあるケースが多いため, 問題の開発にあたっては, 問題の形式(多肢選択・並べ替え・数式入力)についても十分に配慮を行いつつ, AIや数式処理ソフトでは解けないような問題を一から開発していく. また, 線形・微積分いずれについても, 授業での利用をしてもらう協力機関を探し, 今年度後期には, 試験的な運用を行えるよう手配を進めていきたいと考えている. サーバーについては, 分担者亀田のサーバーが亀田の定年により使用できなくなったため, 後継のサーバーについて, 他機関へ提供に技術的に困難の少ない形での移行方法を検討する.
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