• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

健康、防犯、防災行動を規定する社会ネットワーク構造の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23K20753
補助金の研究課題番号 21H00929 (2021-2023)
研究種目

基盤研究(B)

配分区分基金 (2024)
補助金 (2021-2023)
応募区分一般
審査区分 小区分10010:社会心理学関連
研究機関東京大学

研究代表者

高木 大資  東京大学, 大学院医学系研究科(医学部), 講師 (10724726)

研究分担者 島田 貴仁  科学警察研究所, 犯罪行動科学部, 室長 (20356215)
相馬 敏彦  広島大学, 人間社会科学研究科(社)東千田, 准教授 (60412467)
大山 智也  東京大学, 情報基盤センター, 講師 (80893776)
畑 倫子  学校法人文京学院 文京学院大学, 人間学部, 准教授 (90727918)
研究期間 (年度) 2021-04-01 – 2026-03-31
研究課題ステータス 交付 (2024年度)
配分額 *注記
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2025年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2024年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2023年度: 8,190千円 (直接経費: 6,300千円、間接経費: 1,890千円)
2022年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
キーワード社会ネットワーク分析 / 健康行動 / 防犯行動 / 防災行動 / ネットワーク介入 / 防犯活動 / 中心性 / ソシオセントリックネットワーク / 2モードネットワーク
研究開始時の研究の概要

本研究では、人々が埋め込まれている諸種の社会ネットワークの構造的特性と予防行動(健康、防犯、防災)の関連について、以下の4つの研究を行う。
・高齢者の地域内社会ネットワークにおける中心人物が周囲の予防行動に及ぼす影響の解明。
・自治会ネットワークの構造的特性が居住高齢者の予防行動に及ぼす影響の解明。
・高齢者、子育て世代、若年者の、地縁に依らない親密圏ネットワークの構造が予防行動に及ぼす影響の解明。
・高齢者、子育て世代、若年者の社会ネットワーク構造を考慮した介入の効果評価。
これらを通じて、教育・啓発型の介入が有する問題を克服しうる、より効果的な予防行動促進のための介入方略を確立する。

研究実績の概要

千葉県の一自治体内の全自治会長233名を対象に郵送調査を行い(回収率76.8%)、防犯に関する自治会活動の頻度および自治会間のネットワークを測定し、組織間ネットワーク構造が各組織の活動をどのように規定しうるかを検討した。
具体的には、調査時、各自治会長に他の自治会名が記載されたリストを提示し、「会長と個人的に知り合いである」、「防犯活動を一緒に実施している」、「健康づくり活動を一緒に実施している」などの各種のつながりを有する自治会を指名してもらい、それを基に自治会間ネットワークデータを作成した。くわえて、特殊詐欺予防のために「独居高齢者宅への訪問・注意喚起」、「住民のための防犯講話の実施」、「迷惑防止電話機器の共同購入・設置」といった活動を行っているかを尋ね、組織間ネットワーク構造と防犯活動の関連について分析した。
分析の結果から下記の知見が得られた:①「会長と個人的な知り合い」であることや「健康情報を交換し合っている」といった、防犯とは一見無関係なつながりに基づいたネットワークが防犯活動の普及と関連していた;②他の自治会とのつながりを多く持たない自治会であっても、中心的で活動的な自治会との紐帯を1つ有することが防犯活動の活発化と関連していた。
①の知見からは、防犯活動の普及には防犯とは直接関係がないネットワークが鍵となる可能性があり、地域防犯活動の活発化のためには防犯に特化した組織間ネットワーク構築だけでなく、他の活動に基づいたネットワークや会長間のインフォーマルなつながりを整備する「ゼロ次予防」的な方略が有効である可能性が示唆された。②の知見からは、単に自治会間ネットワークの密度を高めるのではなく、特定の自治会とのつながりを構築することが各自治会の活動の活発化に資すると考えられ、行政によるネットワーキングの場や合同ミーティングの設定が有力な介入方略となる可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

昨年度は2モードネットワークを用い地域住民間ネットワーク構造と行動の関連について研究成果をまとめ、今年度は自治会間のソシオセントリックネットワークデータを用いた地域組織間ネットワーク構造と活動の関連についての解析が完了した。おおむね当初の予定通り、諸種のネットワークと行動・活動の関連についての知見の獲得が進められている。

今後の研究の推進方策

まず、自治会間ネットワークデータを用いた分析結果の、英文ジャーナルでの出版を進める。すでに②の知見はEvaluation and Program Plannning誌に投稿され、現在査読中である。
次年度以降は、以下の二つの研究を推進する。
①複数の集団を対象に、集団ごとのソシオセントリックネットワークおよび予防行動の普及率を測定し、どのようなネットワーク構造が集団内での予防行動の普及と関連するのかを検討する。社会ネットワーク論においては、行動の普及には構造的空隙が存在するような非冗長的なネットワークが有効であるとする議論と、成員が密につながり合っているネットワークのほうが有効であるとする議論の両方が存在する。本研究ではクラスタリング係数、拘束度、集中度といった構造的指標と集団ごとの予防行動の普及率の関連を検討することにより、行動の種類ごとにどのようなネットワーク構造が普及に資するのかを明らかにする。
②個人のエゴセントリックネットワークに焦点を当て、防犯以外の予防行動との関連を検討する。具体的には、子育て世代(子どもの防犯)および恋人・パートナーがいる若年世代(親密者間暴力の抑制)を調査対象とし、ネームジェネレータ法を用いてパーソナルネットワークの構造を測定し、どのような社会関係を有していることが予防的な行動と結びつきやすいのかを検討する。この検討を通じ、(1)予防的に作用するネットワークの特徴はどのようなものか(開放的 or 閉鎖的、同質的 or 異質的)、(2)遠隔地に住む知人やオンラインを通じてコミュニケーションする知人が予防行動に与える影響は、地縁に基づくネットワークからの影響と比べてどのような違いがあるか、といった点を検討する。
これらの研究により、多世代の多様な行動への、社会関係を考慮した介入方略のためのインプリケーションを得る。

報告書

(2件)
  • 2022 実績報告書
  • 2021 実績報告書
  • 研究成果

    (9件)

すべて 2024 2023 2022

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Neighbourhood transportation, elapsed years, and well-being after surrendering the driver's licence in older Japanese adults: The JAGES longitudinal study2023

    • 著者名/発表者名
      Yano Masayo、Ichikawa Masao、Hirai Hiroshi、Ikai Tomoki、Kondo Naoki、Takagi Daisuke
    • 雑誌名

      Archives of Gerontology and Geriatrics

      巻: 107 ページ: 104898-104898

    • DOI

      10.1016/j.archger.2022.104898

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] COVID-19流行前後の健康関連行動の変化と時間割引率の関連:J-SHINE2017、2020を用いた分析2023

    • 著者名/発表者名
      大川卓朗, 高木大資
    • 雑誌名

      厚生の指標

      巻: 70 ページ: 26-34

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Information and communication technology, educational attainment, and disparity in health information from one’s personal social network: The J-SHINE 2017 cross-sectional study2022

    • 著者名/発表者名
      Takekazu Kitagishi, Daisuke Takagi
    • 雑誌名

      PLoS ONE

      巻: 17 号: 9 ページ: e0275285-e0275285

    • DOI

      10.1371/journal.pone.0275285

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] Parks/sports facilities in local communities and the onset of functional disability among older adults in Japan: The J-shaped spatial spillover effects2022

    • 著者名/発表者名
      Takagi Daisuke、Kondo Naoki、Tsuji Taishi、Kondo Katsunori
    • 雑誌名

      Health & Place

      巻: 75 ページ: 102801-102801

    • DOI

      10.1016/j.healthplace.2022.102801

    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 防犯活動への参加が住民の意識・行動に与える影響:奈良県の「あいさつ・声掛け・鍵掛け運動チャレンジ“絆”」の効果検証2024

    • 著者名/発表者名
      草尾祐樹
    • 学会等名
      日本環境心理学会第17回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 特殊詐欺の施策認知や防犯対策実施の属性別特徴2023

    • 著者名/発表者名
      草尾祐樹・齊藤知範・山根由子・島田貴仁
    • 学会等名
      日本犯罪社会学会第50回大会
    • 関連する報告書
      2022 実績報告書
  • [学会発表] 社会ネットワークの評価・研究2023

    • 著者名/発表者名
      高木大資
    • 学会等名
      日本社会関係学会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
    • 招待講演
  • [学会発表] 自治会間ネットワーク構造に基づいた地域介入の可能性2022

    • 著者名/発表者名
      高木大資
    • 学会等名
      日本心理学会
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書
  • [図書] AIはどのように社会を変えるか:ソーシャル・キャピタルと格差の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      佐藤嘉倫, 稲葉陽二, 藤原佳典
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      東京大学出版会
    • ISBN
      9784130502054
    • 関連する報告書
      2021 実績報告書

URL: 

公開日: 2021-04-28   更新日: 2024-12-25  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi