研究課題/領域番号 |
23K20754
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補助金の研究課題番号 |
21H00930 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10010:社会心理学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
五十嵐 祐 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (90547837)
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研究分担者 |
平島 太郎 愛知淑徳大学, 心理学部, 准教授 (50803110)
吉田 琢哉 岐阜聖徳学園大学, 教育学部, 准教授 (70582790)
光永 悠彦 名古屋大学, 教育発達科学研究科, 准教授 (70742295)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 孤独感 / 社会的ネットワーク / 社会的孤立 / 経験サンプリング / 機械学習 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、心理学的アプローチと計算社会科学的アプローチを融合し、孤独を感じやすいハイリスク群がリモート環境での相互作用で孤立し、ますます孤独を深めてしまう「孤独と孤立の再帰的構築プロセス」の解明とその解決を目指す。具体的には、自然言語処理や深層学習によって個人レベル・関係性レベルの情報を抽出した上で、モデルベースの分析とデータ駆動型分析を併用することにより、孤立の結果として孤独感を高めやすい人々の特徴を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本年度は、時期を通じた孤独感と対人関係のダイナミックな変化を長期及び短期で捉えるため、大学新入生を対象とした社会的ネットワーク調査および経験サンプリング調査を実施した。ただし、コロナ禍の影響で大学でのデータ収集が想定よりも困難となり(対面形式を前提とした調査参加募集がハイブリッド形式に変更となるなど)、調査対象のサンプルから十分な数の回答が得られなかった。ネットワーク調査については、収集されたデータが想定よりも少なかったため、データに含まれる情報を活用するための分析方法について検討を行った。経験サンプリング調査については、当初想定していた状態孤独感に対する社会的比較の効果は明確には見出されなかった。これは、データサイズの制約による検定力の低さの問題とともに、経験サンプリングのデータに反映された孤独感のレベルが想定よりも低かったことに起因すると考えられる。ここでは、日常のスナップショットとしての状態孤独感は、他者との対面での交流が一定程度伴う大学生活の場面で大きく高まることは少なく、むしろ特性孤独感の反映として高まる可能性が示唆された。一方、日常活動の一部として測定した社会的空想に関する指標において、状態孤独感を規定する要因として作用する可能性が示唆された。これを受けて、予備的な検討を目的としてクラウドソーシングサービスでのデータ収集をあわせて行ったところ、同様に社会的空想が状態孤独感を規定するというパターンが弱いながらも示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ禍の影響で、当初想定していた形式でのデータ収集が行えなかったため、大学でのプロジェクトに遅れが生じた。特に、データ収集のタイミングでコロナ禍の影響を受け、研究に参加予定であった特定のサブグループの一部学生が大学に来ることができなくなり、データの欠損パターンに偏りが生じてしまったために、得られたデータを統計的なネットワーク分析に適用することが難しくなってしまった。また、経験サンプリングデータの収集に関しても、参加を呼びかけるアナウンスが十分に行えず、想定したサンプルサイズの半数程度の参加にとどまり、回収率も想定より低かったため、得られたデータを十分に活用することが困難であった。本研究における大学でのデータ収集の対象は、特定の1つの集団に限られているため、コロナ禍の影響を受けた場合のリスク分散が難しい状況であった。また、対面での直接のやり取りの機会も限られたため、効果的なアナウンスを行うことができなかった。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、大学生サンプルとともに、クラウドソーシングサービスでのデータ収集を合わせて取り入れ、十分なサイズのデータを確保する。クラウドソーシングサービスの参加者については、研究目的を明確に説明した上で十分な報酬を設定することで、高い協力率と信頼性の高いデータを迅速に収集できることが期待できる。一方、クラウドソーシングサービスを用いることの懸念としては、調査に参加するかどうかを決める際のセレクションバイアスの影響が大きくなること、大学生に比べて、サンプルの個人属性や生活習慣、対人関係の多様性が高まること、回答環境などの影響で生じるノイズが一定の割合で含まれることが考えられる。したがって、サンプルサイズをより拡大してデータを収集する必要がある。これは見方を変えると、多様な背景を持つサンプルから収集されたデータにおいて、一貫したパターンが見出されるとすれば、本研究で検討するモデルの適用範囲が広がるとも解釈することができる。
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