研究課題/領域番号 |
23K20759
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補助金の研究課題番号 |
21H00936 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
岡田 謙介 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 准教授 (20583793)
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研究分担者 |
山口 一大 筑波大学, 人間系, 助教 (50826675)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,430千円 (直接経費: 11,100千円、間接経費: 3,330千円)
2024年度: 3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
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キーワード | 到達度 / 共変量 / 認知診断モデル / 項目反応理論モデル / 項目反応モデル |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では,デジタル化された教材や問題集への日々の取り組みの中で,学習者の学習理解度や躓きを診断し,個々人に対して適応的な学習課題提示を行うための,認知診断モデルに基づく統計学的方法の開発を行う。さらに,開発する統計モデルを活用した教材編纂や,学習効果検証のための実践を志向する。理解度や学習進度に応じた学習補助を提供することで,学習動機が維持・向上され,教育効果を高めることができる方法を開発することを目標とする。
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研究実績の概要 |
研究2年目となる本年度は、研究計画にしたがい、到達度を測定・診断する統計モデルに関する推定法・フィードバック法の開発を行った。まず、到達度を測定する項目反応理論モデルに関して、推定法に着目して既存の研究のレビューを行った。本成果は日本テスト学会誌に論文発表された。続いて、認知診断モデルの推定時に生じる境界問題について詳細な検討を行い、最大事後確率法や単調性誓約によってこの問題を予防・改善できることを見いだした。本成果はBehaviormetrika誌に論文発表された。 続いて、各種の測定モデルに関して実用的な推定法を開発した。具体的には、まず認知診断モデルの項目と測定次元(アトリビュート)の関係を高効率に推定できる、確率的最適化と変分推定を組み合わせた方法を開発した。本成果はPsychometrika誌に論文発表された。さらに、達成度のような潜在変数の回帰モデルにおける変数選択のための、ギブスサンプリングによる推定法を開発した。本成果はJournal of Educational Measurement誌に論文発表された。またテスト解答時の解答者のエンゲージメントの程度を、反応時間データを活用してベイズ推定する方法を開発し、紀要論文に発表した。 このほか、多肢選択問題に対する項目反応から多くの認知診断情報を得る方法や、多肢選択問題に対する一般化された診断モデルのフレームワークの開発に取り組み、その成果を国内外の学会において発表した。また、開発した推定法を実装した関数の公開にも取り組んだ。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」欄でも述べたように、2年目の本年度も分野の代表的な国際学術論文誌における3本の査読付き論文、和文誌における1本の査読付き論文、および1本の査読付き紀要論文で研究成果を発表することができた。また4件の国際・国内学会において最新の成果や知見を発表することができた。これら一連の研究によって、デジタル化された教材や問題集への日々の取り組みの中で学習者の学習理解度や躓きを診断し、個々人に対して適応的な学習課題提示を行うための基盤となる、統計学的推定法の開発をさらに進めることができた。したがって第二年度の到達目標は達成できた。以上より、現在までのところ研究は順調に進展していると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの成果に立脚し、デジタル化された教材や問題集への日々の取り組みの中で、学習者の学習理解度や躓きを診断し、個々人に対して適応的な学習課題提示を行うための統計学的方法の開発、およびその応用研究をさらに進めていく。引き続き研究代表者・分担者および研究協力者らの間で密な意思疎通を行い、これまでの方法が有する問題を解決するための研究開発を進めていく。本年度も発表した5篇の論文はすべてプレプリント等の形でオープンアクセス化したが、今後も研究成果や開発した技術等はプレプリントやレポジトリ等を活用して積極的に早期に公開するとともに、学会や研究会等での研究発表を行う。また、そこで得られるフィードバックを次なる研究の展開へと活用していく。
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