研究課題/領域番号 |
23K20765
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補助金の研究課題番号 |
21H00943 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分10020:教育心理学関連
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研究機関 | 大阪大学 (2024) 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター (2021-2023) |
研究代表者 |
中川 威 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 准教授 (60636942)
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研究分担者 |
小林 江里香 地方独立行政法人東京都健康長寿医療センター(東京都健康長寿医療センター研究所), 東京都健康長寿医療センター研究所, 研究部長 (10311408)
権藤 恭之 大阪大学, 大学院人間科学研究科, 教授 (40250196)
斎藤 民 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 研究所 老年学・社会科学研究センター, 部長 (80323608)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,030千円 (直接経費: 13,100千円、間接経費: 3,930千円)
2024年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)
2021年度: 4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
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キーワード | 感情 / 高齢期 / 加齢 / 縦断研究 / 経験抽出法 / 日誌法 |
研究開始時の研究の概要 |
多くの人は加齢に伴う喪失に適応できることが示されている。しかし,人が喪失に,いつ,どのように適応したか?という問いは十分答えられていない。 本研究は,適応指標として感情を用い,日・月・年などの複数の時間間隔で追跡することで,喪失前後に感情はどのような短期的変動と長期的変化を示すか?短期的な変動のしやすさは長期的に適応を促すか,妨げるか?という問いに答えることを目的とする。
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研究実績の概要 |
[研究の目的] 世界的に平均寿命が延伸し,病気や障害,疲れや痛みなどの加齢に伴う喪失にいかに対処すべきかが重要な課題となった。先行研究は,高齢期には喪失が生じやすいが,多くの人は喪失に適応でき,病理的状態に陥らず,健康的状態を保つことを示した。しかし,先行研究は年間隔で追跡したため,日・月間隔で生じる喪失を伴う変化を捉えられず,人が喪失に,いつ,どのように適応したか?という問いに十分答えていない。 本研究は,適応指標として感情を用い,日・月・年などの複数の時間間隔で追跡することで,喪失前後に感情はどのような短期的変動と長期的変化を示すか?短期的な変動のしやすさは長期的に適応を促すか,妨げるか?という問いに答えることを目的とする。 [研究実施計画] 本研究では,前述した目的を達成するため,3つの研究を行う計画である。具体的には,一般高齢者を対象として,①30年以上の縦断研究により,病気や障害などの急に生じる喪失に伴う感情の長期的変化を検討する研究1,②日誌法・経験抽出法により,疲れや痛みなどの徐々に生じる喪失に伴う感情の短期的変動を検討する研究2,③複数の時間間隔で追跡するバースト測定法により,感情の短期的変動が長期的変化を予測するか検討する研究3を行う。ただし,研究3の研究計画は変更した。 [研究の成果] 研究1では,19年間追跡した調査および感染症流行前後に収集された調査のデータを用いて長期的変化を検討し,論文発表,国際学会での発表,国内学会での発表を行った。研究1の結果として,脳卒中,心疾患,感染症流行といったさまざまな喪失において,共通して,長期的変化には個人差が大きいことが示唆された。 研究2では,日誌法による調査のデータを用いて短期的変動を検討し,国内学会での発表を行った。研究2の結果として,感情の構造は個人間と個人内でおおむね等しいことが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
[2022年度の研究実施計画] 4年間の研究期間のうち,2年目に当たる2022年度は,研究1の分析,研究2および研究3の本調査を実施する計画であった。 [研究1] 19年間追跡した調査のデータを用いて,病気や障害などの喪失前後の感情の変化を検討する分析を行う計画であった。計画通り,分析を行い,論文発表と学会発表を行った。また,感染症流行という喪失前後の感情の変化についても分析を行い,学会発表を行った。以上から,研究1は順調に進展したと判断した。 [研究2] 2021年度に引き続き,調査地域の自治体との調整を進め,本調査を実施する計画であった。予備調査を実施し,1日に複数回に渡り回答を求める経験抽出法による調査を一般高齢者にも実施できることを確認した。しかし,当初の想定に反し,感染症の再流行により,参加率が70%から50%へと低下したため,十分な参加者数を確保できるように,データ収集の手続きを含む研究計画を見直す必要が生じた。そのため,本調査の実施を延期し,研究2はやや遅れたと判断した。 [研究3] 2021年度に,喪失を経験しているとは限らない一般高齢者ではなく,病気や障害を持つ人およびその家族を対象とするように研究計画を変更し,引き続き自治体との調整を進め,予備調査および本調査を実施する計画であった。病気や障害を持つ人とその家族を対象とするため,要介護認定情報の提供を自治体と調整し,自治体が提供を認める覚書を締結できたものの,調査を開始できなかった。そのため,研究3はやや遅れたと判断した。
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今後の研究の推進方策 |
[2023年度の研究実施計画] 4年間の研究期間のうち,3年目にあたる2023年度は,研究1の分析,2022年度に開始できなかった研究2および研究3の本調査を実施する計画である。 [研究1] 追跡期間を19年間から25年間に延長したデータを加えて,病気や障害などの喪失前後の感情の長期的変化を検討する分析を2022年度に引き続き行う計画である。得られた結果を取りまとめ,論文投稿を行う。 [研究2] 2022年度に開始できなかった本調査を実施する計画である。 [研究3] 2022年度に開始できなかった予備調査と本調査を実施する計画である。なお、当初は経験抽出法を用いる計画であったが,月間隔のみで追跡する電話調査を実施する計画への変更を対応策として引き続き検討する。
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