研究課題/領域番号 |
23K20800
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補助金の研究課題番号 |
21H00987 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12010:基礎解析学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
14,950千円 (直接経費: 11,500千円、間接経費: 3,450千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
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キーワード | free probability / random matrix theory / random matrices / operator norm / Random Matrices / Free Probability / Random Tensors / random permutations / Free probability / Quantum Information / Random Matrix Theory |
研究開始時の研究の概要 |
本研究課題ではランダム行列理論における行列モーメントの計算手法や自由確率解析を, 作用素ノルムの計算へ応用する方向で深めていく. 作用素ノルムの研究は多くの問題に関わっている. その中で, 次のようなことを行う. 作用素値non-backtracking理論というモーメント法と深い数え上げを使った理論をより広いクラスで考え, 様々なランダム行列で強漸近的自由性を示す.それを作用素環やランダム行列の問題へ応用する. surface group上の一様測度による積分の計算方法の確立, Hayes予想の解決を目指す.また, これらの技術を量子情報理論における正則化問題へ応用する.
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研究実績の概要 |
本研究課題では、ランダム行列理論と自由確率論及びその応用について研究を行った。特に、北海道大学の長谷部高広と藤江克徳、名古屋市立大学の佐久間紀佳、ドイツ・ザールランド大学のFelix Leidと共同研究で、単調自由性と巡回的単調自由性に対するランダム行列モデルとその揺らぎについて研究した。その結果をまとめて「Fluctuations of eigenvalues of a polynomial on Haar unitary and finite rank matrices」としてarXivへ投稿した(arXiv:2309.15396). ハール測度に従う行列の積分計算の理論として代表者が進めてきたワインガルテン解析について世界国際数学者会議(ICM)講演で述べた結果に続き、その改良・発展の研究を進めた。特に、山形大学の福田素久、鹿児島大学の松本詔と共に、ワインガルテン公式の新しい再帰公式を発見し、次元に対する制約なしに任意の次数で計算できるようになった。これは長年の未解決問題であり非常に興味深いと考えている。その結果をまとめるべく、研究をより深めまとめている。 またランダム行列についての研究の情報収集として2023年6月に京都大学数理解析研究所にて大規模なランダム行列の研究集会を主催した。ハーバード大学のHorng-Tzer Yau やミシガン大学のMark Rudelsonなど20名以上海外からのランダム行列についてのトップレベルの研究者の訪問を受け入れ、共同研究者らとともに情報収集や現在進行している研究についての議論を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
京都大学数学教室の専攻主任などの管理業務など研究開始時に予定していなかった管理運営業務が入った関係で、山形大学の福田素久、鹿児島大学の松本詔との共同研究を2023年度内に完了できなかった。2024年度中にその共同研究を完了させるよう努める。一方で、他の研究プロジェクトは順調に進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
2024年秋はランダム行列のトップ研究者であるリヨン第一大学のAlice Guionnetらがいるフランスのリヨン第一大学へ長期滞在する予定である。Alice Guionnetとランダム行列の作用素ノルムについて共同研究を行う。研究代表者の修士課程の学生で本研究課題に関連するランダム行列について研究を行っている永津愛紗もフランスへ派遣しAlice GuionnetやJana Rekerと共同研究を行う予定である。 7月にはランダム行列理論のサマースクールを、10月にはフランスマルセイユのCIRMでランダム行列に関する国際会議をエクス・マルセイユ大学のNizar Demni, トゥールーズ第三大学のIon Nechita、Mirille Capitaineらと共同で開催し作用素ノルムの問題や量子情報理論との関連など幅広いランダム行列の情報収集と研究打ち合わせを行う予定である。 クラスター株式会社メタバース研究所の早瀬友裕と自由確率論と機械学習理論やAIなどに関連するランダム行列理論の共同研究を行う予定である。一つ目のプロジェクトは完了しCommunications in Mathematical Physicsから出版されたが、その関連する問題がまだいくつかありさらに1つのプロジェクト進める。早瀬は今秋、1~2ヶ月間フランスに滞在し、研究代表者とともにランダム行列関連のイベントに参加する予定である。 また、ランダム行列理論の3ヶ月間のプログラムに参加するため、スウェーデンのストックホルムにあるMittag-Leffler研究所に短期滞在することも検討している。
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