研究課題/領域番号 |
23K20802
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補助金の研究課題番号 |
21H00990 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
岡部 真也 東北大学, 理学研究科, 准教授 (70435973)
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研究分担者 |
三浦 達哉 東京工業大学, 理学院, 准教授 (40838744)
可香谷 隆 室蘭工業大学, 大学院工学研究科, 准教授 (60814431)
剱持 智哉 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (80824664)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,090千円 (直接経費: 9,300千円、間接経費: 2,790千円)
2025年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2024年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2021年度: 2,730千円 (直接経費: 2,100千円、間接経費: 630千円)
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キーワード | 幾何学的発展方程式 / 特異形状解析 / 変分法 / 偏微分方程式論 |
研究開始時の研究の概要 |
曲面の平均曲率の二乗積分で与えられるWillmore汎関数の下限に関わるWillmore予想を解決するためにWillmore汎関数に対する勾配流であるWillmore流が研究されてきたように、変分問題に動的な視点を与える勾配流の解析は極めて重要である。本研究は、特に勾配流の特異性に着目し、Willmore流を含む種々の高階幾何学的勾配流における特異性発生メカニズムの解明を目指す。具体的には、曲面拡散流、p-Willmore流、面積差弾性流を対象とする。本研究では、曲線や曲面の形状解析に基づく解析手法、幾何学的測度論などの応用、数値解析的技法などを組み合わせた新たな解析的観点から、これらの特異性発生メカニズムの解明に挑む。
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研究実績の概要 |
本年度は、昨年度からの継続課題として、以下の課題について成果を得た: (i) Gross-Pitaevskii固有値問題の解に完全収束するSobolev勾配流の構成 (ii) 曲線拡散流に対する移動境界問題 (iii) 外力項付き平均場方程式に対する分岐問題 (i) は Gross-Pitaevskii固有値問題に対応する汎関数に対する束縛条件付きH1勾配流を構成し、その完全収束を示すことを目的とする課題である。結果として、完全収束を示すために必要となる勾配不等式を証明し、それを利用して完全収束を示すことに成功した。(ii) は平行でない2直線上でそれぞれ端点をもつ開曲線の曲線拡散流による挙動を調べることを目的とする。今年度の研究により、この移動境界問題において適用可能な等周不等式を証明し、それを用いることで問題の時間大域可解性とともに解の完全収束を示すに至った。この結果は現在投稿中である。(iii) は全空間における平均場方程式に外力としてパラメータ付きの速度を付した問題について、そのパラメータに関する分岐問題を考察する課題である。昨年度までの研究により、パラメータに関する閾値が存在し、その閾値まで一意解が存在することを示していた。今年度は、その閾値の近傍において解の一意性が崩れることを証明することに成功した。この結果も論文として纏め、現在投稿中である。 現在は勾配流を用いた一般化等周不等式の拡張や高階版の曲げエネルギーに対する勾配流の構成や臨界点の導出など、新たな研究課題への研究も開始しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍が収束へと向かい、対面実施による研究集会が開催されるようになり研究環境も整ってきたとはいえ、対面による研究討論が最も重要とも言える数学においては、その影響が完全になくなったとは言い難い。その中でもGross-Pitaevskii固有値問題に付随するH1勾配流の完全収束、曲線拡散流に対する移動境界問題の時間大域可解性と平衡状態への完全収束、外力項付き平均場方程式に対する分岐問題の解の非一意性を示すに至っている。加えて、勾配流を用いた一般化等周不等式の拡張、曲率のDirichlet汎関数とも言えるイデアル汎関数に対するSobolev勾配流の構成など、新規課題の研究も開始している。以上の経緯から、現在までの進捗状況は概ね順調に進展していると判断した次第である。
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今後の研究の推進方策 |
コロナ禍が概ね収束してきていることから、国内のみならず海外への出張も可能となってきている。そのため、次年度以降においては、共同研究者のもとに直接赴き対面による研究討論の機会を集中的に確保することが可能となるはずである。加えて、研究集会の開催や参加の機会も増えることが予想される。こういった機会を最大限に利用するとともに、必要に応じて web ツールを取り入れることで研究討論の時間を確保し、本研究課題の進度を加速させることを目指す。研究課題については、当初の研究計画を踏襲しつつ、研究に進展により発見した新たな課題にも積極的に取り組み、本研究計画を多角的に推進する。
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