研究課題/領域番号 |
23K20804
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補助金の研究課題番号 |
21H00992 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
清水 扇丈 京都大学, 理学研究科, 教授 (50273165)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
12,610千円 (直接経費: 9,700千円、間接経費: 2,910千円)
2024年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2023年度: 4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2022年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2021年度: 2,860千円 (直接経費: 2,200千円、間接経費: 660千円)
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キーワード | 函数方程式論 / 調和解析 / 最大正則性 / Navier-Stokes方程式 / 自由境界問題 / 関数方程式 / 関数解析 / Navier-Stokes方程式 / 偏微分方程式 / 微分幾何 |
研究開始時の研究の概要 |
線形の放物型方程式がもつBanach空間Xにおける最大Lp正則性を用いると,準線形な非線形問題に対し縮小写像の原理を適用して適切性が容易に証明される.1<p<∞でありかつUMD (Unconditional Martingale Differences) なBanach空間Xに対しては一般理論が整備されてきている.本研究課題では, 端点であるp=1のときに,UMDではないBanach空間Xも込めて,どのような形で最大正則性が成立するのかを考察する.そして,線形化問題の時間大域的な最大L1正則性の結果をNavier-Stokes方程式の自由境界問題に応用する.
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研究実績の概要 |
非圧縮性 Navier-Stokes 方程式の半空間からの摂動である自由境界問題に対して, スケール不変空間であるところの時間変数についてL^1空間, 空間変数について斉次 Besov 空間での時間大域的な解の一意存在を, 初期流速が小さい場合に示した. Lagrange 変換を行うことにより, 摂動半空間は半空間となり, 非線形項には流速の空間1階微分の時間積分の項が現れる. 非線形項に対して閉じた評価をするために時間変数についてL^1空間と相性が良い. 線形化問題は, 半空間におけるストレスフリー境界条件を伴う Stokes 方程式となり, この線形問題の端点最大L^1-正則性を解表示に対して凱旋門型 Littlewood-Palay 分解(小川-清水, JEE, 2022)を導入し概直交性を示す我々の手法で証明した. 最大L^1-正則性に基づき非線形問題の解の存在を縮小写像の原理によって証明した. さらに, 初期境界がグラフで与えられていてその高さの小ささは要求しないが傾きが小さい場合に, 非圧縮性 Navier-Stokes 方程式の自由境界問題の時間大域解の一意存在を, 初期流速が小さい場合に証明した. 以上は小川教授との共同研究である. 小薗教授との共同研究で, 3次元全空間における定常Navier--Stokes方程式の解の安定性を解析した. 定常 Navier-Stokes 方程式の解のスケール不変な関数空間でこれまででもっとも広い斉次 Besov 空間(金子-小薗-清水, Indiana U.,2019)の定常解に, 同じ Besov 空間で小さな初期擾乱に対する安定性を時間漸近レートとともに証明した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
非圧縮性 Navier-Stokes 方程式の半空間からの摂動である自由境界問題に対して, さらにグラフ型の初期境界を持つ場合に, スケール不変空間であるところの時間変数についてL^1空間, 空間変数について斉次 Besov 空間での時間大域的な解の一意存在を, 初期流速が小さい場合に示すことが本研究の最大の目的であり, それが達成できたため.
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今後の研究の推進方策 |
今後は以下の研究の実施を計画している. (1) 圧縮性 Navier-Stokes 方程式の自由境界問題に対する時間L^1-空間, 空間斉次 Besov空間での解の一意存在の証明. 非圧縮性では未知関数は流速と圧力であったが, 圧縮性では未知関数は流速と密度になる. 圧力は楕円型方程式を満たすが, 密度は双曲型方程式を満たすため, Besov空間の低周波部分の詳細な解析が必要となる. (2) 非圧縮性Navier-Stokes方程式の解が最大L_p-正則性のクラスに属するときの初期値と外力に対する整合条件の同定 (3)凖地衡流方程式のスケール不変斉次 Besov 空間における解の一意存在の証明 (4) 3次元 Euclid 空間内の滑らかなコンパクトな曲面を境界に持つ外部領域において, 調和ベクトル場の de Rham-Hodge-Kodaira 型分解定理を応用した Navier-Stokes 方程式の定常解の安定性の証明.
コロナからほぼ平時に戻り, 対面での国際共同研究の好機が訪れている. 9月9日-11日には京都大学にて国際研究集会 "Fluids and Maximal Regularity" を開催する. 最大正則性の創始の一人であるHerbert Amann教授, 本研究の国際共同研究受入代表者のMatthias Hieber教授, 共同研究者のPeer C. Kunstmann教授, Paolo Maremonti教授, Raphael Danchin教授を招聘し講演を依頼し, 共同研究および情報交換を行う.
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