研究課題/領域番号 |
23K20805
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補助金の研究課題番号 |
21H00993 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12020:数理解析学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
瀬片 純市 九州大学, 数理学研究院, 教授 (90432822)
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研究分担者 |
若狭 徹 九州工業大学, 大学院工学研究院, 准教授 (20454069)
眞崎 聡 北海道大学, 理学研究院, 教授 (20580492)
高田 了 東京大学, 大学院数理科学研究科, 准教授 (50713236)
山崎 陽平 九州大学, 数理学研究院, 助教 (70761493)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
13,260千円 (直接経費: 10,200千円、間接経費: 3,060千円)
2024年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2023年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2022年度: 3,120千円 (直接経費: 2,400千円、間接経費: 720千円)
2021年度: 3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
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キーワード | 関数方程式論 / 調和解析学 / 変分法 / 分散型方程式 / 流体方程式 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は, 非線形分散型方程式や, 回転や密度成層を考慮した流体方程式など, 分散性を伴う非線形偏微分方程式の解の時間大域的な挙動を調べることである. これらの方程式では, 線形項から来る分散性と非線形項から来る特異性とのバランスにより, 解はさまざまな様相を呈し, 一般の初期値に対し解の長時間挙動を捉えることは難しい. 本研究では物理学的に重要なモデルを含む, 質量劣臨界とよばれる場合に, 調和解析や変分法的手法に加え, 流体方程式や反応拡散方程式のアプローチを援用することで解の挙動を解明する.
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研究実績の概要 |
本研究の目的は, 物理学, 工学に現れる非線形分散型方程式に対し, ソリトンおよび散乱という観点から解の長時間挙動を解明することである. 研究代表者(瀬片)は研究分担者(眞崎)および瓜屋航太氏(岡山理科大)とともに, 空間1次元において3次の非線形項をもつ非線形シュレディンガー連立系(システム)の解の長時間挙動について考察した. 線形シュレディンガー方程式の散乱理論の観点から同方程式系はちょうど長距離型と短距離型散乱理論の境目に相当し, 解の長時間挙動を調べるのは容易でない. これまでの研究では, システムが良いハミルトン構造を持つ場合に, スカラーの場合には現れなかった興味深い解挙動を示すシステムの例を見つけたが, 今年度はシステムに良いハミルトン構造がないにもかかわらず, 小さな解が時間大域的に有界になるようなシステムの例を見つけた. また, 川島秀一氏(早稲田大), 小川卓克氏(東北大), Dharmawardane氏(Wayamba University of Sri Lanka)とともに記憶型応力項を伴う熱粘弾性体の動きを記述する双曲型-放物型偏微分方程式系の解の長時間挙動について考察し, 周波数空間でエネルギー法を用いることで同方程式の定数解まわりの線形化方程式の解の減衰を導出した. 研究分担者(若狭)は菅徹氏(大阪公立大)とともに, 不連続境界条件を持つChafee-Infante問題について考察した. 研究分担者(高田)は, 3次元全空間においてCoriolis力付き磁気流体力学方程式の初期値問題に関して研究を行い, スケール臨界なSobolev正則性をもつ初期速度場および初期磁場に対して, 回転速度が十分大きい場合の時間大域的適切性を証明した. 研究分担者(山崎)は, 非線形シュレディンガー方程式の不安定な定在波に対し, 中心安定多様体の構成とその中心安定多様体上の解の漸近挙動について考察した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
非線形シュレディンガー連立系の解の長時間挙動については, スカラーの場合には現れなかった興味深いシステムの例を見つけることができたとともに, 記憶型応力項を伴う熱粘弾性体の動きを記述する双曲型-放物型偏微分方程式系の解の長時間挙動についてはファーストステップである同方程式の定数解まわりの線形化方程式の解の減衰を導出することができ, 本研究課題に関していくつか進展があった.
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今後の研究の推進方策 |
本年度に引き続き, 非線形シュレディンガー連立系の解の長時間挙動について考察するとともに, ポテンシャルつき非線形シュレディンガー方程式, 一般化Korteweg-de Vries (KdV)方程式といった非線形分散型方程式に対し, 最小非散乱解や定在波といった特徴的な解のまわりにある解の挙動について調べる. また, 記憶型応力項を伴う熱粘弾性体の動きを記述する双曲型-放物型偏微分方程式系の解の長時間挙動については, この問題のセカンドステップとして対応する非線形問題について解析を試みる.
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