研究課題/領域番号 |
23K20808
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補助金の研究課題番号 |
21H00996 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
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研究分担者 |
北畑 裕之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (20378532)
中村 健一 明治大学, 研究・知財戦略機構(中野), 特任教授 (40293120)
田中 晋平 広島大学, 先進理工系科学研究科(総), 准教授 (40379897)
中田 聡 広島大学, 統合生命科学研究科(理), 教授 (50217741)
後藤田 剛 東京工業大学, 情報理工学院, 助教 (80822105)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)
2024年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
2021年度: 4,550千円 (直接経費: 3,500千円、間接経費: 1,050千円)
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キーワード | 数理モデリング / 反応拡散系 / 分岐理論 / 自己駆動体運動 / フェーズ・フィールド方程式 / 界面方程式 / 集団運動 / 分岐解析 / フェーズフィールドモデル / 特異極限方程式 / L2勾配流モデル / 数値シミュレーション / 体積保存反応拡散方程式 / 進行波解 / 面積保存反応拡散方程式 / 安定性解析 / 数値分岐解析 |
研究開始時の研究の概要 |
水面の表面張力を変化させることで運動する自己駆動体が複数個あるときに観察される集団運動を理論的に解明することによって,集団運動形成の因子が示され,生物が見せる集団運動原理の解明に繋がることが期待できます. この研究では数理モデリングとその実験検証の相補的研究によって,自己駆動体に現れる集団運動の発現機構およびその形成機構について理論的側面から明らかにすることを目指します.それと同時に,構築した数理モデルに対する数学解析(時間大域的な一意存在性)を行い,数理モデルの数学的正当性を示し,特殊解として数理モデルに現れる並進運動解や振動運動解,集団運動解等の存在およびその安定性を議論します.
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研究実績の概要 |
水面の表面張力を変化させることで運動する自己駆動体が複数個あるときに観察される集団運動を理論的に解明することによって,集団運動の形成される要因が示され,生生物が見せる集団運動原理の解明に繋がることが期待できる.この研究では,数理モデリングと実験検証の相補的研究によって,自己駆動体に現れる集団運動の発現機構およびその形成機構について数理科学的点からメカニズム解明を目指している. 2022年度は,2021年度に構築した自己駆動体運動を記述する空間1次元保存型反応拡散型モデルを空間2次元に拡張して,変形を伴う液滴運動や変形しない固体樟脳運動を1つのパラメータで表現することが可能な数理モデルの構築に成功した.変形するパラメータに固定する.このとき水面の抵抗に対応するパラメータをフリーパラメータにすると,初期関数の体積に依存して2つの分岐現象が現れることがわかった.体積が大きい場合は,円盤定常解から安定なダンベル型定常解が分岐し,このダンベル型定常解からバナナ型進行波解が分岐することがわかった.体積が小さい場合は,円盤形定常解から円盤に近い進行波解が分岐し,徐々に速度が速くなるとおにぎり型進行波解に近づくことがわかった.変形しないパラメータでは,体積の大きさに依存することなく,円盤定常解から円盤に近い進行波が分岐し,速度が速くなってもほとんど変形が見られなかった.これまでの反応拡散系では安定なダンベル型定常解は報告されておらず,この研究において新しい安定定常解を発見するに至った. さらに,この反応拡散型数理モデルに対する物理的正当性を与える研究を進めた.自己駆動体の界面エネルギー,水面の表面張力エネルギー等から変分を取ることによって,自己駆動体の運動方程式を導出した.この数理モデルが反応拡散型数理モデルの特異極限モデルと一致することを示すことに成功した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
反応拡散型の自己駆動体運動モデルを確立することに成功した.この数理モデルに対する特異極限モデル(自由境界モデル)が,水面エネルギ-・界面エネルギー等から導出されるL2勾配流モデルと一致することを示すことができたことによって,反応拡散型数理モデルがL2勾配流モデルのε近似モデルとして定式化できた.これによって2次元自己駆動体運動の数理モデルとして自由境界モデルを解く必要がなく,数値シミュレーション時間が飛躍的に短縮されることになった.さらに,反応拡散型モデルは変形を伴う液滴運動や円形の固体運動の両方を記述することができるため,今後取り扱う液滴や固体粒子の集団運動に対する数理モデルとして統一して記述することが可能であり,今後の研究進捗が十分期待できる.現時点では,反応拡散型モデルを用いて中和反応を伴う水面上の自己駆動体運動の数理モデリングに着手しており,今後は液滴集団運動の数理モデリングおよび数値計算に取りかかる予定となっている. 今年度は札幌非線形現象研究会、応用数理研究会,北陸応用数理研究会も予定通り開催することができ,情報交換や研究交流も十分行うことができた. 以上のことから,当初の研究計画と比較して概ね順調であると判断する.
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は水面上を動く自己駆動体運動モデルの数理解析を中心に行う.具体的には次の通りである. [1] 数理モデルの近似モデル導出の正当化:前年度に構築した空間2次元での自己駆動体モデルに対して,面積保存型AC方程式の特異摂動展開から得られた体積保存界面方程式への収束性について研究を進める.バルク方程式がない場合はすでに結果が報告されており,その結果を応用して我々の数理モデルに対する収束性を議論する. [2] 自己駆動体運動の数理解析:前年度に構築した面積保存型AC方程式を用いた自己駆動体数理モデルに対して,新たに発見したダンベル型定常解の存在と円盤定常解からダンベル型定常解への分岐解析に取りかかる.また,これらの定常解の安定性についても解析を進める.面積が小さい場合には円盤定常解から等速運動解へ分岐することが示唆されたため、円盤定常解から等速運動解への分岐とその線形化安定性解析に取りかかる.解析的に困難である場合は固有値問題を精度保証数値計算法で解くことも念頭に研究を遂行する. [3] 化学反応を伴う液滴運動を記述する数理モデルと実験検証:水溶液中の化学物質と中和反応を生じる自己駆動体粒子は間欠振動現象を生じることが実験から示されており,構築した2次元モデルを用いて現象の再現を行う.間欠振動の理論的メカニズムを提案し,実験により検証を行う.また,複数のサリチル酸エステル液滴が水溶液中に含まれるSDS分子と水面で化学反応を起こしながら,水面で集合と離散を繰り返し,やがて停止する現象が知られている.前年度に構築した反応拡散型モデルに対して化学反応モデルを加えた数理モデルを構築することで,液滴集団運動を再現し,この集団運動に対する数理的メカニズムを考察する.
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