研究課題/領域番号 |
23K20809
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補助金の研究課題番号 |
21H00997 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分12040:応用数学および統計数学関連
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
荻原 哲平 東京大学, 大学院情報理工学系研究科, 准教授 (40746426)
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研究分担者 |
上原 悠槙 関西大学, システム理工学部, 准教授 (00822545)
清水 泰隆 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (70423085)
深澤 正彰 大阪大学, 大学院基礎工学研究科, 教授 (70506451)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
16,900千円 (直接経費: 13,000千円、間接経費: 3,900千円)
2025年度: 4,420千円 (直接経費: 3,400千円、間接経費: 1,020千円)
2024年度: 3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2022年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2021年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
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キーワード | 確率過程 / 統計推測 / 機械学習 / 高頻度観測 / モデル選択 / 拡散モデル / 局所漸近正規性 / 最尤型推定量 / ジャンプ型拡散過程 / 推定量の最適性 / 非同期観測モデル / レヴィ過程 / 漸近正規性 / リスク予測 |
研究開始時の研究の概要 |
ジャンプを含む確率過程のモデルはファイナンスにおいてよく用いられる。特に一日内の株価データを扱う上では、複雑な観測構造をモデル化する必要があるが、ジャンプを含む確率過程の複雑な観測構造はこれまで十分に研究されてこなかった。本研究ではこのような統計モデルに対する推測問題を研究する。 また、複雑な観測構造の下では機械学習の適用が困難であったが、このようなモデルに対して適用可能な機械学習の手法を開発していく。このようなアプローチにより、高頻度データから株価モデルを学習して株価下落リスクを軽減できるようなリスク予測手法の開発が期待される。
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研究実績の概要 |
1.ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルにおいて、ジャンプ時刻とジャンプサイズを観測に加えた補助モデルの局所漸近正規性を示した。これにより任意の推定量の漸近分散の下限を与えられ、提案推定量がこの下限を達成し、その意味で最適な推定量であることを確認した。 2.レヴィ過程の非同期観測モデルに対して最尤型推定量を構築し、漸近理論における推定量の望ましい結果である一致性を示した。 3.機械学習において近年活発に研究されている「拡散モデル」を拡散過程におけるパラメータ推定問題とみなし、疑似尤度関数を用いたニューラル・ネットワークで学習することで、従来のスコア・マッチングの手法よりも学習精度が改善することを確認した。 4.拡散過程モデルにおいて拡散係数が未知の場合に観測から近似して最尤型推定量を構築し、その一致性・漸近正規性を示した。また、拡散係数が既知の場合の最適な漸近分散を達成し、その意味で最適な推定量となっていることを確認した。この結果は国際雑誌Scandinavian journal of Statisticsに投稿し、採択された(Ogihara and Stadje (2023))。 5.Fukasawa and Takano (2024)において、ファイナンスにおける重要な資産価格モデルであるラフ・ボラティリティ・モデルの分析に部分ラフパス空間を導入して大偏差原理を証明した。確率ボルテラ方程式の離散近似誤差中心極限定理を証明した。Fukasawa and Ugai (2023)では、確率ボルテラ方程式の離散近似誤差中心極限定理を証明した。Mitsuda and Shimizu (2024)において、保険分野への応用として死亡率予測モデルに確率微分方程式を取り入れ、関数データ解析(FDA)の手法を用いた予測により精度改善を示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルにおける局所漸近正規性の成果は当初の見込み通り得られた。数値実験による検証はまだ成果が得られていないが、当初想定していなかった、拡散モデルにおける疑似尤度解析を用いた推定手法の研究においていくつかの数値実験結果が得られた。レヴィ過程の非同期観測モデルにおいても今年度の計画で見込んだ一致性の結果が得られた。また、拡散過程モデルにおいて拡散係数が未知の場合のドリフト係数の推定の成果も得られている。
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今後の研究の推進方策 |
今年度に引き続いてジャンプ型拡散過程の非同期観測モデルに対する研究を行う。数値実験により、提案推定量の推定精度を確認し、適宜推定量の修正も検討しながら、成果の投稿に向けた結果の整理を行っていく。 また、レヴィ過程モデルの非同期観測モデルの研究において、最尤型推定量の漸近正規性が成立するかどうかの研究を進めていき、漸近分散を非同期観測の極限に現れる汎関数を用いて記述することを目指す。さらに、数値実験により、最尤型推定量が現実的な設定において真のパラメータ値を精度よく推定できるかどうかを確認し、必要に応じて推定量の改善も検討する。 拡散モデルのパラメータ学習において疑似尤度解析の理論を構築することにより、今年度数値実験で得られた結果を理論面から結果を補強していく。特に機械学習で自然に用いられる、真のモデルがパラメータモデルに含まれないmisspecified modelにおける理論を構築できるかどうかも検討していく。
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