研究課題/領域番号 |
23K20815
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補助金の研究課題番号 |
21H01004 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13010:数理物理および物性基礎関連
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
北畑 裕之 千葉大学, 大学院理学研究院, 教授 (20378532)
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研究分担者 |
住野 豊 東京理科大学, 先進工学部物理工学科, 准教授 (00518384)
長山 雅晴 北海道大学, 電子科学研究所, 教授 (20314289)
末松 信彦 明治大学, 総合数理学部, 専任教授 (80542274)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2024年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2022年度: 4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2021年度: 5,980千円 (直接経費: 4,600千円、間接経費: 1,380千円)
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キーワード | 自己駆動粒子 / 集団運動 / アクティブマター / 分岐現象 / パターン形成 / 反応拡散系 / 同期現象 / 対称性 / 大変形 / マランゴニサーファー / 表面張力 / マランゴニ対流 / 拡散的相互作用 |
研究開始時の研究の概要 |
自らが放出する化学物質が形成する濃度場によって運動の様相が決まる自己粒子系についての普遍的な理解を大きな目的とする。特に2024年度は、変形に着目し、変形が運動に及ぼす影響、運動が変形に及ぼす影響について重点的に研究する。まずは実験により変形しながら自己駆動する液滴の運動をもとに、理論モデルのパラメータを決定することで、どのようなメカニズムで運動しているかが議論できる。運動と変形の関係は細胞運動等にも普遍的にみられることが知られており、モデルの数理構造を解析することで、周囲環境の影響を受けつつ変形・運動する物体に関する普遍的な知見が得られることを期待している。
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研究実績の概要 |
2022年度より行っていた、界面活性を持つ物質を放出する粒子を先に取り付けた棒を回転のみが可能なように中心位置を固定した場合の回転子の同期現象について、数値計算結果と理論解析の結果について議論した内容を論文にまとめ、国際学術誌で公開された。 また、2022年に引き続き、濃度場により運動する自己駆動液滴の実験系の解析も進め、その形状を対称性の観点から整理した。実験結果を理論モデルにフィッティングすることで、理論モデルのパラメータを推定し、その運動メカニズムに迫った。これらは2023年の夏に開催された国際会議で何度か発表し、議論を重ねた。現在、その結果を論文としてまとめている。 さらには、円形から大きく変形する液滴系についての実験を進め、その変形について定量的に解析する方法を確立した。また、その解析を進めるなかで、変形と運動の相関関係を明らかにした。その結果は論文としてまとめ、現在国際誌に投稿中である。その発展として、フェーズフィールドモデルなどを用いて、液滴の形状と運動の関係を明らかにする試みを進めている。 また、円形からの微小変形を考慮することで、自らが放出する化学物質が生み出す濃度場の影響を受けて、変形しながら運動する液滴の理論モデルを構築した。このモデルの挙動について、速度と変形に関する摂動展開を行うことで、静止解から運動解および変形解への分岐構造を明らかにした。この内容に関して論文としてまとめることを視野に入れつつ数値計算との比較を行っている。 また、2022年に論文として公表した受動・能動粒子ペアの運動に関してその本質のみをとらえた単純な数理モデルを考案し、その数理解析を進めている。これにより濃度場を通して相互作用する系を簡単化して議論する方法が得られると期待される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2022年度にほぼ研究が収束していた回転子の結合系に関する研究は論文として発表できた。自己駆動液滴の変形解析については、大変形の場合の実験観測に関しては論文を投稿する段階まで進めることができた。実験結果の理論モデルによるフィッティングに関する内容に関しては論文を執筆中であり、また、理論モデルの分岐解析に関する内容も論文としての降雨表に向け着実に研究を進めている。これらは、計画以上に順調に研究を進めることができていると言える。一方で、流体効果を取り入れた解析については、2023年度はあまり進展させることができなかった。総じて考えると、おおむね順調に研究を進展させることができていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
上述したようにほぼ順調に研究は進行している。まずは、現在論文投稿中、および執筆中の液滴の大変形に関する実験解析、液滴変形の理論モデルによるフィッティング、そして、液滴変形の理論モデルの分岐解析について、研究をまとめ、論文として公開することに注力する。 さらには、昨年はあまり進めることができなかった流体効果に関する研究について、理論モデルへの流体効果の導入、および実験による流れの観測を進めていきたいと考えている。 また、2023年度に論文として公表した回転子の同期現象について、その発展研究も実施していきたい。
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