研究課題/領域番号 |
23K20832
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補助金の研究課題番号 |
21H01052 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 分子科学研究所 |
研究代表者 |
石崎 章仁 分子科学研究所, 理論・計算分子科学研究領域, 教授 (60636207)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,160千円 (直接経費: 13,200千円、間接経費: 3,960千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 5,460千円 (直接経費: 4,200千円、間接経費: 1,260千円)
2022年度: 5,070千円 (直接経費: 3,900千円、間接経費: 1,170千円)
2021年度: 3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
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キーワード | 量子光 / 非古典相関 / 時間分解計測 / 光合成光捕集 / 量子散逸系 / 量子もつれ / 時間分解分光計測 / 量子散逸 / 量子ダイナミクス / 光合成エネルギー移動 / 量子計測 / 量子もつれ光 / 光合成光捕集系 / 化学ダイナミクス / 非古典光 / 時間分解分子計測 / 非古典項 / 量子もつれ光子対 / 非線形分光 / 時間分解分光 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究では、量子もつれ光など光の非古典相関を分光計測へ応用することに着目し、精度の高い選択励起や時間分解能・周波数分解能の同時向上など、超短パルスを用いた時間分解分光では実現困難な計測を可能たらしめる非古典光の生成および適用法を明らかにすることを目的としている。複雑分子系における動的過程や機能発現機構の解明に対する有用性を詳細に解析し、光の非古典相関に基づく量子分子計測および動力学解析の理論基盤について研究を推進する。
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研究実績の概要 |
令和4年度までの研究により、CWレーザーを用いたパラメトリック下方変換によって生成される量子もつれ光子対の非古典光子相関を利用した時間分解分光理論を開発した。しかし、一対のもつれ光子を分子系に照射して誘起される非線形光学応答は非常に弱いため、それを検出することは困難であることが予想される。この課題を克服する解決策の一つはスクイーズド光を利用することであると考える。この背景から、単一量子もつれ光子対の代わりに2モード真空スクイーズド状態を光源として時間分解分光計測が可能であるかどうかを理論的に検討した。その結果、もつれ時間が分子系のダイナミクスの時間スケールに比べて十分短い場合であれば、2モード真空スクイーズド状態を用いて時間分解スペクトルの情報を取得できることを理論的に示すことができた。さらに、もつれ光子対の二光子同時計数に基づく時間分解分光計測の可能性を検討した。時間分解分光法は、複雑分子系の動的過程を研究できる強力な実験手法の一つである。しかし、光合成光捕獲タンパク質のように多くの色素分子を含む分子系では、複数の非線形光学的寄与が存在するため、スペクトルが複雑となり、解釈が困難となることがある。この問題を解決するため、量子もつれ光子対の二光子同時計数に基づく時間分解分光法を理論的に提案した。解析の結果、もつれ光子対の二光子計数検出を利用することで特定の非線形光学的寄与を選択的に除去できることを理論的に明らかにした。この選択的除去は古典的なコヒーレント光では実現できず、光の非古典的相関がもたらす有用性を理論的に示した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
光の非古典相関により特定の非線形光学過程からのシグナルを選択的に除去できることを明らかにできたことは当初の目標でもあり、おおむね順調に研究が進展していると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和6年度の目標は、スクイーズド状態を含む量子光が分子系に誘起する非線形光学応答について解析し、時間分解計測に対する光の非古典相関がもたらす効果を明確にすることである。令和5年度では、量子もつれ光子対の二光子同時計数検出に基づく時間分解量子分光を定式化した結果、光の非古典相関により特定の非線形光学過程からのシグナルを選択的に除去できることを明らかにし、時間分解量子分光の有用性を理論的に示した。そこで、令和6年度では、スクイーズド状態を含む現実的なパラメトリック下方変換の条件下で生成される量子光の場合における時間分解量子分光理論への展開について検討する。また、量子分光技術の複雑分子系への適用に向けて、複雑分子系におけるGlauberの二次相関関数に基づく量子分光計測理論の可能性について検討を行う。
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