研究課題/領域番号 |
23K20833
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補助金の研究課題番号 |
21H01053 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分13040:生物物理、化学物理およびソフトマターの物理関連
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研究機関 | 国立研究開発法人情報通信研究機構 (2021, 2023-2024) 国立研究開発法人理化学研究所 (2022) |
研究代表者 |
岩城 光宏 国立研究開発法人情報通信研究機構, 未来ICT研究所神戸フロンティア研究センター, 主任研究員 (30432503)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
15,340千円 (直接経費: 11,800千円、間接経費: 3,540千円)
2024年度: 2,990千円 (直接経費: 2,300千円、間接経費: 690千円)
2023年度: 2,600千円 (直接経費: 2,000千円、間接経費: 600千円)
2022年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2021年度: 7,280千円 (直接経費: 5,600千円、間接経費: 1,680千円)
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キーワード | メカノバイオロジー / DNAナノテクノロジー / 筋収縮 / 共同現象 / ミオシン / 協同現象 |
研究開始時の研究の概要 |
生体分子の協同性は、分子の持つ確率的で一過性の動作を確実性の高い持続的な動作に変換し、マクロな生理機能に直結する。協同現象の創発メカニズムを理解することは、ミクロな分子運動とマクロな生理機能をつなぐのに重要となるが、筋肉のようなクラシカルな系においても実験的に検証された例はない。申請者は、筋ミオシン集団内の個々のミオシンの連携を実験的に検証可能なシステム「人工ナノ筋肉」を用い、その協同現象の直接可視化を行う。フォースセンサを組み込んだ人工ナノ筋肉の超解像イメージングと弾性ネットワークモデルを組み合わせて筋サルコメア構造内のミオシンがマクロな運動機能を創発する仕組みを明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、独自に開発した人工ナノ筋肉を用いて筋ミオシンの協同現象の直接可視化を行うのが目的である。本年度では、協同現象を生み出すのに重要となる力学コミュニケーションを蛍光シグナルで検出するフォースセンサを設計し、人工ナノ筋肉内への組み込みを検討した。フォースセンサは、バネとして機能する部位とバネの伸縮に応答して蛍光シグナルを変化させるレポーター部位から構成される。そこで、バネとして機能する部位に蜘蛛の糸を構成するペプチドを利用し、両端にcy3,cy5色素を配置してFRETシグナルが検出される設計を行った。人工ナノ筋肉を構成するDNAオリガミへの連結を行い、設計通りにラベルされるところまで確認できたが、ラベル率が思いのほか向上しなかったため、ペプチドベースでなく、一本鎖DNAをバネとして用いる設計に変更を行った。DNAオリガミに始めから組み込まれる設計となるため、フォースセンサのラベル率が100%であり定量性の高い計測が期待できる。また、cy3,cy5のFRETシグナルの検出だと2色を力測定に用いる必要があり、アクチンやミオシンなどを同時に観察できないため、cy3とクエンチャのペアに変更を行った。これによって、バネの伸展に伴ってcy3の蛍光強度変化が観察され、1色観察で力測定を行うことができる。 以上のように修正を施したDNAオリガミのフォールディング条件を決定し、精製および原子間力顕微鏡を用いた観察を行ったところ、設計通りに作成できていることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォースセンサの設計を根本から見直す必要があったため、当初は計画からやや遅れていたが、見直したおかげで100%のラベル率が可能な、より良い設計を進めることができた。当初計画では、フォースセンサを組み込んだ人工ナノ筋肉の設計を行うのが、初年度の目標であったため、おおむね順調に進展していると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
次のステップとして、フォースセンサが組み込まれたDNAオリガミに筋ミオシンを連結し、ATP存在下でアクチンの滑り運動を観察する。私どもが行ったシミュレーション予測では、筋サルコメア構造の持つミオシンの厳密な空間配置によって、特徴的な時空間パターンを持つ力学場を生み出すことが示唆されているため、まずは、ガラス基板上にランダムに吸着させたミオシン集団の力学場の観察を行い、次に、ミオシンの空間配置が制御された人工ナノ筋肉内の力学場の観察を行う。空間的なパターンは通常の蛍光顕微鏡の空間分解能で検出できない可能性もあるため、コンフォーカル顕微鏡や超解像顕微鏡の利用も想定しながら実験を進めていく。
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