研究課題/領域番号 |
23K20835
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補助金の研究課題番号 |
21H01059 (2021-2023)
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 基金 (2024) 補助金 (2021-2023) |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分14020:核融合学関連
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 瑞樹 筑波大学, 数理物質系, 教授 (30235189)
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研究分担者 |
皇甫 度均 筑波大学, 数理物質系, 助教 (00870908)
江角 直道 筑波大学, 数理物質系, 准教授 (20321432)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2024年度)
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配分額 *注記 |
17,420千円 (直接経費: 13,400千円、間接経費: 4,020千円)
2025年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
2024年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2023年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
2022年度: 3,510千円 (直接経費: 2,700千円、間接経費: 810千円)
2021年度: 6,630千円 (直接経費: 5,100千円、間接経費: 1,530千円)
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キーワード | 表面ナノ構造 / 水素リサイクリング / タングステン / 水素吸蔵特性 / 重水素吸蔵特性 / 水素透過 |
研究開始時の研究の概要 |
核融合原型炉のプラズマ対向材料候補であるタングステンとヘリウムとの相互作用により形成される表面ナノ構造が、水素同位体吸蔵特性や水素リサイクリングに及ぼす影響を明らかにすることを目的として、タングステンへのヘリウムプラズマ照射により表面ナノ構造を有する試料を作成し、特徴の異なる2種類のプラズマ生成装置を用いて、その表面ナノ構造試料への水素同位体プラズマ照射実験を行う。プラズマ照射中の分光測定や水素透過量測定及びプラズマ照射後の昇温脱離測定等を通して水素同位体吸蔵特性や水素リサイクリング特性を調べる。さらに、試料表面へのレーザー照射によるナノ構造溶融の影響も調べる。
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研究実績の概要 |
小型プラズマ生成装置APSEDASに設置した水素透過プローブを用いて、タングステンを透過する重水素フラックスへのヘリウムプラズマ照射効果を調べた。試料は厚さ0.1mmであり、表面研磨と超音波洗浄後に900℃で焼鈍を行った。この試料にヘリウムプラズマを照射し、2日間真空中に放置した後、重水素プラズマを照射した。ヘリウムプラズマはRFパワー200Wで生成され、空間電位は37.5eV、試料へのフラックスは1.0×10^20 He m^-2 s^-1、フルエンスは3×10^24 He m^-2であった。重水素プラズマは400Wで生成され、空間電位は29eV、試料へのフラックスは5.6×10^20 D m^-2 s^-1であった。この重水素プラズマ照射中にタングステンを透過する重水素フラックスは、2.3×10^17 D m^-2 s^-1であった。ヘリウムプラズマを照射しない試料に対して同様の重水素プラズマ照射を行った場合には、重水素透過フラックスは2.5×10^18 D m^-2 s^-1であったので、ヘリウムプラズマを予め照射することによって、重水素透過フラックスが約9割低下することが分かった。これは試料表面にヘリウムバブルが生成され重水素の透過が阻害されたためと考えられる。さらに、重水素プラズマ照射中に透過フラックスが一定となった後に、ヘリウムガスを入射して重水素・ヘリウム混合プラズマを一定時間照射後、ヘリウムガス供給を停止して重水素プラズマ照射を継続した場合には、重水素透過フラックスは長時間にわたり減少し続けることが分かった。 さらに、YAGレーザー照射とプラズマ照射を同時に実施できるシステムを用いて、重水素プラズマ照射中にパルス幅0.2ms、繰り返し周波数10HzでYAGレーザーを照射したところ、レーザー照射によりブリスタリングの抑制と重水素吸蔵量の低減が観測された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度整備した水素透過プローブを用いてタングステンの重水素透過特性に対するヘリウムプラズマ照射効果を明らかにすることができた。また、YAGレーザー照射とプラズマ照射を同時に実施できるシステムを構築し、タングステン試料への重水素プラズマ照射中にYAGレーザーを繰り返し照射することが可能となり、レーザー照射による興味深い結果を得ることができた。また、タングステンの繊維状ナノ構造の重水素吸蔵特性に関して、重水素の低温脱離に関する実験データを得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
研究を進めるための実験装置である重水素透過プローブ、YAGレーザー照射システムの整備がほぼ整えることができたので、引き続き実験を進めてよりよいデータの取得と解析を進める。また、透過プローブとYAGレーザー照射を組み合わせた実験を行い、水素透過に対する間欠的熱負荷の影響を明らかにする。さらに、タングステンの繊維状ナノ構造の重水素吸蔵メカニズムに着目して実験を進める。
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